父と娘(短編台本)

  宮崎。親戚の葬式のため東京から実家に戻った娘。

部屋

父「いつ帰るとか」
娘「まだ決めちょらん」
父「休みは?」
娘「一応3日取ったけど…バイトやから適当で大丈夫よ」
父「ならいっちゃが」
娘「うん」

父「かずひとさんは仕事ね?」
娘「うん。今日の夜来てくれるって」
父「わざわざや」
娘「向こうが来たいって言ったからいっちゃが」
父「ならいいが」
娘「宮崎観光もなかなかできんし、いい機会やろ」
父「海でん連れてったらいいが。」
娘「そうね、ドライブでも行ってくるわ」

父「元気でやっちょっとか」
娘「元気ないように見える?」
父「そうじゃねえけどよ、飯は食っちょっとかて」
娘「じいちゃんみたいなこと言うがね」
父「なん言いよっとか」
娘「そっくりやが、じいちゃんとお父さん」
父「あんなに腹出ちょらん」
娘「だんだん出てくるが」
父「親父やから、似るわ」
娘「音痴はばあちゃん譲りやろ?」
父「子守唄が音痴やったっちゃが」
娘「お母さんが歌うまくて助かったわ」
父「ふん」

父「帰るまでちゃんと飯食っちょけよ」
娘「なんね、ご馳走してくれるとね?」
父「食いたいもんあるとか」
娘「うーん…」
父「焼肉か」
娘「いや、お母さんのご飯食べたいな」
父「最近あんまり作らんけどね、母ちゃんも忙しいわ」
娘「そうね。…今日は私が作ろうかな。なんがいい?」
父「料理できっとか」
娘「なん言いよっとや、これでも一応奥さんよ?」
父「こんなちんこめかったのになあ」
娘「知らんよ」
父「お父さんと結婚する〜て」
娘「言っちょったね。」
父「あんころはかわいかったがね」
娘「今はかわいくないとね?」
父「かわいいわ〜。でんお母さんの方がかわいいわ。世界一の嫁さんやからね」
娘「そっくりよ」
父「え?」
娘「かずひとさん。お父さんに。」
父「…」
娘「お皿洗ってくるわ。晩ごはん、考えちょってね」

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