船舶設計 工程管理~QCD適正化~
今回は「工程管理とはどんなものか?」についてお話します。
私は技術者として設計に携わってきました。
そして、私が設計をするに至ったきっかけが
船舶設計です。
まず、船舶には「巡視船」「艦艇」「商船」などの種類があります。
私は、「巡視船」と「商船」の
「機関部配管系統担当者」を担当していました。
加えて、「配管ユニット」のとりまとめ(工程管理)をしていました。
配管ユニットとは、
「燃料油供給ユニット」と「冷却清水ユニット」
と呼ばれる二つのユニットのことを指します。
配管ユニットの目的は一つの系統内にある、
機器の集約を行うことです。
ユニット化する以前は、
機器がバラバラに配置されてあり、
ムダが多かったのですが、
ユニット化したことで、
機器が一箇所に集約され、
作業効率もアップし、
必要リードタイムの削減に繋がりました。
私が担当する以前は、
中国にユニットの製作を依頼していましたが、
リーマンショックの影響による為替の変動(米ドル/円70~80台まで下落)により、
QCD全てにおいて、
マイナスになっていました。
(もともと、1ヶ月前後の納期遅れがあったらしい)
そこで、元々近隣のメーカーに、
ユニットの製作の一部を頼していたのですが、
その全てを近隣のメーカーに、
材料を支給し、製作依頼しました。
もともとは中国に製作依頼していたので、
中国規格(GB)の配管であり、
日本工業規格(JIS)の配管とは材料比が異なっていました。
近隣メーカーに材料支給することにより、
材質に於いても改善に繋がりました。
その結果、
必要納期に対して、1.5ヶ月の納期削減、
100万円/隻のコストダウン、
品質改善に繋がりました。
しかし、急激な納期変更は
機器担当者に負担を強いてしまいました。
機器の製作リードタイムは一定であるため、
全体で見ればメリットがあるものの、
機器単独で見れば、
過密なスケジュールになってしまいました。
「ユニットの納入が遅れると、
船全体の工程に遅れが生じる。」
そう考え、全体最適(ユニットの納入)を優先しました。
関係機器の全てのリードタイムを洗いだし、
いつまでに手配すれば、
予定通りいくのかを確認、共有。
そうして、結果が出ました。
この結果は私ひとりでなし得た結果ではありません。
PM、各担当者、現場の方々、
近隣メーカーの方々etc
支えがあったからこそであり、
みんなで出した結果です。
その後、
私は造船業界の不況と
機械設計をやりたい想いから
機械技術者としての道を歩むことになります。
若いうちから人をまとめる経験ができたことは、
私の考え方に大きく影響を与えています。
技術者はそれぞれの専門を持っています。
それらを組み合わせて
大きなものができあがります。
そして、それらを動かすには専門を持ちつつ、
幅広い知識と経験が必要です。
閲覧頂きありがとうございます。