#6 変化は「均衡」である / JINENコトハジメ
・ Podcast「JINENコトハジメ」の文字起こしを中心としたpostです
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【Podcast #6】
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【文字起こし #6】
山田:
皆さんこんにちは。JINENコトハジメのPodcast第6回を始めたいと思います。
このPodcastは「自然経営って何?」っていうことを、発起人の1人である私山田の立場から語っていくという趣旨です。今日の聞き手は前回に引き続き秋山さんにお願いします、よろしくお願いします。
秋山:
よろしくお願いします。
秋山 瞬 / Shun Akiyama
慶應義塾大学卒業後、新卒で設立2年目の人材系スタートアップ企業に新卒1期生として入社。ベンチャー企業の経営幹部層に特化したヘッドハンティング・人材紹介を通じて、IT業界を中心に5年間で100社超の採用・組織コンサルティングに従事。
新規事業責任者や関西支社長を経験した後、「次世代を担うリーダー創出」を志し、2009年に株式会社ネットプロテクションズに参画。
2011年 人事総務グループのゼネラルマネージャーに就任し、ワーキンググループ制度をつくり、全社員で行ったビジョン策定の企画も実施。
2013年 主事業である「NP後払い」決済のセールスグループマネージャーを経て、2017年に執行役員に就任し、企業アライアンスを行うビジネスディベロップメントグループを立上げ。
2018年には、マネージャー職を廃止した人事評価制度『Natura』をリリース。
ビジネスディベロップメントグループと人事総務グループを兼務し、事業・組織双方で「つぎのアタリマエ」づくりを目指す。
社外でも10年以上継続する朝活の主催や『ティール組織』著者を招いた500名規模のカンファレンスの世話人として従事。
山田:
今回は前回に引き続き、自然経営をどういうふうに捉えるの?という組織の概念を3つに分けているうちの3つ目をお話をさせていただきます。
今日のテーマは何かというと、「変化は『均衡』である」。均衡って変換が難しいんですけど、あの動的平衡の「衡」と均等の「均」で均衡です。
この回の言葉が実は今のところしっくりきていない感があって、暫定的に「均衡」と言っています。
ただ中身でこんなこと言いたいというのは明確に語れるので、言葉がこれかなっていうのは僕も若干ハテナがあるという前提を置きつつ、中身はこういうこと言いたいんだなということを一緒に話ができれば嬉しいなと思ってます。
秋山:
お願いします。
山田:
ではこの「変化は『均衡』である」ってなにを大事に言いたいかというと、自然経営を実践する組織において、「変化ってどうやって起きていくんだろう?」ということを話したいと思っています。
言いたいことは結構明確にあって、森のメタファーをイメージしてもらうとすごいわかりやすいと思ってるんですけど、そもそも森って完成形のイメージなんて誰も持ってないじゃないですか。ビジョンもないし司令塔もいないし、設計図もないし、っていう状態で森って作られてますよね。
じゃあどうやってその状態が出来てるかっていうと、森の中に一つ一つの構成員というか要素というかである植物や動物が、それぞれが自分の最大限に熱量を発揮している。植物であればより高く伸びるとか、
種を増やすとか、動物であれば子孫が繁栄するとか。
そこにいる生き物たちが種の保存を最大限にしようと全力でやっていて、その結果として常に全体も変化し続けながら、その時々で調和しながら、結果として森は出来ている。
自然経営っていう運営で目指す変化っていうのも同じだと思っていて、大前提としてそこに関わっている一人一人の熱量をまずすごく大事にしようっていうことがあって、それぞれが「私がこの組織にとって良いと思うこと」や「私がやりたいって思うこと」を進めていくことで、結果的に組織全体としても良い変化が生まれているっていうことがすごく自然経営っぽい組織全体の変化だなと思ってます。
なので、ミクロな視点で捉えたときに、ある人がいいと思ってやりたいことと、違う人が言っていることが、「それ逆じゃない?」みたいになったりとか、ある種、機械的に管理したい組織からいったら、生産性が低いとか、無駄だみたいなことも中には起こることもある。
ただ、よりマクロな視点で捉えれば、そこで多少のエラーが起きたとしても、それ自体が変化のプロセスの中で意味があるよね、というふうに捉えながら、結果、組織全体が良くなっていくことなんだと思ってます。
このメタファーがすごい良いなと思ってるのって、組織を構成する1人が、必ずしも「この組織全体にとって本当に良いって何だろう?」っていうことに向き合ってなかったとしても、そこに所属して何か熱量を持ってる人だとしたら、その人の見えてる範囲がそんなに広くなくても、その人の良いと思ってる活動が組織全体の活動に、全体が見えてなくても結果として近いベクトルで動いてるっていうことで、結果的に動いていくんだよねっていうことで、全体としての変化が生まれていくってことなんだろうなと思っている。
そういう捉え方で組織の変化って起こるのがいい。
ちなみにその「均衡」っていう、ちょっと普段使わない言葉を敢えて使っているのは、もともとは河合隼雄さんの中空均衡構造っていう話から来ていて、ちょっとだけそこの補足をさせてもらいます。
個人的に自然経営という言葉をつけたときから、日本的な組織の運営ってなんだろう?みたいなことにものすごく興味があって、秋山さんとは色々お話をこれまでしてるのでよくご存知だと思うんですけど、
その中で河合隼雄さんが、真ん中の「中」に「空」と書いて中空均衡構造と中心統合構造っていう対比をしています。
この中空均衡構造というのは、日本の神話の中から見た日本的なメカニズムとして言っていて、中心統合構造っていうのは西洋とかじゃないかって言っている。
中空均衡構造って、日本では真ん中は「空」で、その周りに色んな人がいて、周りの人たちが動的に関わりながら、結果的に色んなものが入ったり出たりしながら、均衡状態を保つことで変化が進んできたのが日本的な構造。
中心統合構造って真ん中に強いリーダーがいて、その人が統合する、その人の判断によって全てに1本の線が通るみたいな構造だっていうのが違うと言っている。
日本って、神話を紐解いたところから含めて、真ん中にいる神様は何もしないんだけど、周りにいる人たちが色んなことを受け入れながら変化していくっていう話をしている。
なので均衡って、静止した状態じゃなくて、常に変化して、それぞれの部分の間にはダイナミックに関係がいっぱいあるんだけど、全体としては調和してるみたいなことが「均衡」だって言い方をしていたので、言葉としては、さっきの森のメタファーとすごい近いこと言ってる感じがするので、しっくりきてる感はあるんですけど、難しいなこの言葉ってことで、ちょっとまだ何かないかなと思ってる感じはありますっていうところですね。
秋山:
なるほど。なんか1個質問してみたいなと思ったんですけど、自然経営は関わってる人の熱量が大事っていう話がありましたが、その中で、やりたいことやってるよねっていうのが、それこそ機械的だと「生産性」だったりとか「ROI」みたいな話で判断されるんだと思うんですけど、そこの意思決定軸、判断軸みたいなのが、もしかしたら自然経営の方って変化してるのかなっていうふうに思いました。そのときの、その判断軸って何なんだろうって、そこは1個じゃないみたいなイメージ、それがまさに中空、中心が1個の判断軸だとしたときに、その中空って言ってたようなものなのかなって聞いてて思ったんですけど、その辺のニュアンスも少し聞きたいです。
山田:
ありがとうございます。これも時間軸で変化してるなっていう感覚がすごくあって、定常運転というか、今までと同じような進み方をしてるよねっていうときって、判断軸みたいなもの自体もそれぞれの中にる。
「私はこれがいいと思います」っていう中で、その「良い」が何かとか、「幸せ」が何かとか、ということ自体を人それぞれ判断していいよねっていうもので、すごくいいんだろうなと思っている。
そこの共同体にいる人たちは、集まってる以上には何らか判断軸に重なるところがあるから一緒にいるよねっていう前提とすると、一生懸命にそれを言語化してこの軸だって取らなかったとしても、だいたい同じような「良さ」を目指せるようねっていう状態でできるんだろうなっていう感じで捉えてる。軸が1個っていうのも、「だいたいこの辺」っていう感じでそれぞれが割と無自覚にできてるなっていうのが、定常状態の気がしています。
一方で、例えば組織として、唯一の何を選択しなきゃいけない状況ってときとしてあるじゃないですか。
例えばこの間、社団法人の自然経営研究会だと、代表理事をどうしようかっていうのって、立ち上げて2人で2年目から8にして、3年目どうしようかっていう問いが立ったときに、それって「色々あっていいよね」と言いつつも、最後1個に決めなきゃいけないんです。
そういうときって、判断軸をパチッと決めようっていうことまではいかないんだけど、今この組織において大事な判断軸ってこの辺だよねっていうことを判断に関わる人、関わりたい人の中で、「だいたいこの辺大事にしたいね」っていうことを一緒に見ることは大事な気がしている。
それは普段の活動、通常状態のときと、1個に決めなきゃいけないっていう問いに直面している状況では、ちょっと振る舞い方が違うかもなっていうふうに思いました。
秋山:
なるほど。やっぱりその「均衡」っていう言葉で言ったときに、これって僕のイメージだと「釣り合った状態」なんですけど、調和が取れてる状態なんですけど、これが固定的に見えちゃうのが、ちょっとなんかニュアンスの捉え違いなんだろうなっていうふうに思っていて、まさに動的平衡みたいな変化し続けるんだよっていうところだったりとか、動き続けてる、もしくは流れてるものだよっていう、そういうニュアンスが捉えられると、よりしっくりきそうだなって思いました。
山田:
そうなんです。何かいい言葉ないですかね(笑)
本当言いたいことはおっしゃる通りで、さっきの森のメタファーしても森とか止まってないし常に変わり続けてるし、それに調和してるというか、結果的にそこで状態が成り立ってるじゃないですか。
ってていうように変化していくんだよっていうことだし、そういう動的に動いているものだっていう感覚と、それを誰かがこのときにこうしようって青写真を書いて決めるみたいなことではない。前回の話であった目標を「達成」したいことを先に置くんじゃなくって、その動的に平衡してる、動いてるって状態自体を持続したよねっていうことの方が自然経営は大事だって分かってくれるのが、すごく大事だと思っている。
なのでいい言葉が欲しいな、って悩んでいます。
秋山:
たしかになあ。僕が今ので聞いてて思ったのは、「循環」が近い感覚はありました。その1個1個見ればそのときの状態ではあるんだけれども、長い目で見たらそこの中では巡り巡っているっていう、なんかそんな印象を受けました。
山田:
確かに「循環」という言葉がより近い感じがするのは、動的な感じがすごく含まれるじゃないですか。言葉の中に。
「均衡」っていうと確かに釣り合って止まってるっていうニュアンスにより近くなってくるので、その方が近いのかもしれないんですね。
秋山:
「均衡」を目指してるわけでもないじゃないですか。
山田:
そうですね、結果論ですね。
秋山:
結果生まれたのが「均衡」であるっていうのと、「均衡」を目指すは、さっきの「達成型」と「状態型」の違いと同じような。
山田:
そうですね、まさにその変化は「結果」であるみたいなことも思ったんですけど、すごい静止している感じがあってなんか違うんだなみたいなのがあったので、確かに循環は確かに良い言葉な気がします。
でも、言葉が本当に最後もうちょっと選びたいなって気はしつつ、目指していたい状態はこんな感じっていうのがイメージができてくるものになってきたので、うまく伝わる言葉があると嬉しいなという感じがしています。
秋山:
きっと言葉の限界はあるでしょうね。
山田:
その話しちゃいます?(笑)
なので、モノローグ、ひとり語りしないっていうこともやっぱり大事だなと思っていて、僕の言葉だけでは絶対出てこない話が出てくるので、そこからなんとなく見えてくるっていうことなんじゃないかなという気がしています。
秋山:
おっしゃる通りで、やっぱり言葉に持つイメージってみんな人それぞれ違うと思うんですけど、こうやって話していくことによってニュアンスは非常に伝わった感覚があるなっていう感じがあります。
山田:
ありがとうございます。ということで第6回目、一旦スタートのタイトルは「変化は『均衡』である」と言いましたが、言葉自体は変わるかもしれませんが、この辺の概念について今日はお話をさせていただきました。今日も秋山さんありがとうございました。
秋山:
ありがとうございました。
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