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海外事例から見るエネルギーテックの未来-エネルギーテック勉強会#4-

2020年3月3日、第4回エネルギーテック勉強会が開催されました。株式会社シェアリングエネルギーと株式会社エナーバンク、株式会社X-Scientiaが共同主催する「エネルギーテック勉強会」は、20兆円という巨大なエネルギー市場を、クリエイティビティとテクノロジーを駆使して、イノベーションの創出にチャレンジすることに関心の持つ人達のコミュニティです。

業界の基礎知識、国内外のユースケース紹介、最新技術など、エネルギーテックの全体像の理解と最前線の情報の共有に重きを置いています。お互いの知見をシェアしあう双方向的なコミュニティを志向しており、エネルギーテックをテーマに、さまざまなコラボレーションの創発も期待しています。

今回の開催テーマは「30'sが描くエネルギーテックの未来」と題して、前半のキーノートスピーチは海外を中心にエネルギーテックの事例と世界観をご紹介し、後半のパネルディスカッションでは国内のエネルギーテックの可能性とチャレンジ、エネルギー業界でのキャリア等について議論します。


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久保 直嗣 | AC Biode株式会社 共同創業者兼代表取締役社長CEO
世界初の独立型交流電池と特殊回路、プラスチックを解重合する触媒等を開発するAC Biode株式会社共同創業者兼代表取締役社長。商社にて12年間、アフリカ・中南米向けの機械、プラント、再生可能エネルギー等の営業・ファイナンスを担当、途中ブラジルに駐在。退職後英国に留学し、CTO水沢と共同で、日本と英国にて起業(AC Biodeは2社目の起業)、現在に至る。英国Cambridge大学、米MIT、欧州宇宙機関ESA、韓国ComeUp等のスタートアップコンテスト13件で優勝。英国Cambridge大学院経営学修士(MBA)、慶應義塾大学環境情報学部卒。元アマチュアボクシングフェザー級全日本3位、長崎県長崎市生まれ、ルクセンブルグ市在住。

1. 自己紹介(Introduction)

久保 直嗣さん ただ今ご紹介にあずかりました、久保です。 AC Biodeという会社を1年ちょっと前から、日本とルクセンブルクとイギリスで始めています。

講演をオンラインで話すのは初めてで、ギャグとか言っても多分反応がないと思うので(笑)今日は結構真面目に話をしたいなと思います。

最近、海外のスタートアップピッチコンテストにはよくでるんですけど、先週もアメリカでのオートモーティブ系のコンテストをZoomでやりました。(向こうも気を使ってくれました)
幸い決勝に選ばれたので次はさすがに現地に行くんですけども、最近コンテストなどもZoomでやるようになってきて、なんか変わってきたなというのは感じますね。
でも講演は初めてですので、宜しくお願いします。

今日は以下の3つの話を大体それぞれ10分くらい話をします。
まず始めに私の自己紹介と会社の紹介、次に海外の事例ですね。

私は過去イギリスに2年住んでいて、今はルクセンブルグ半分日本半分というような生活をしているので、ヨーロッパを中心に、そのほかにもアメリカとか中国とかいろんなコンテストの打ち合わせで回っているので、そのあたりの状況をお話しさせていただきます。

あとはエネルギーテックとはちょっと関係ないんですけども、スタートアップを始めたばかりのなので、その辺りの話をちょっとして終わるという感じにしたいと思います。

結構、我々のスタートアップはニッチというかマニアックなので、はじめの会社紹介で区切って、質疑応答を5分10分とか受けてですね、その後に2番以降の話をします。

我々の事業は主に2つありまして、一つは電池なんですけど先にちょっと触媒の話をしますね。

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我々は化学触媒を開発している会社なんですが、兼ねてから個人的にプラスチックにまつわる問題というのは非常に気になっていて、それで意気投合したCTOと会社を始めたんです。

ここに書いてある通り、多くのプラスチックのゴミは分別されればもちろんリサイクルできるんですが、食品のゴミや有機ゴミなど結構混ざってしまっているものが多いわけです。

これらの処分方法として今多いのは、燃やすか化学処理するかというところなのですが、我々がやりたいのは化学処理でダイオキシンやCO2を極力出さずかつ地産地消、現地で処理できる方法を見つけたいと思っており、それで開発したのがこの触媒です。

現在開発中で、あまり見せられないんですけどもやろうとしているものは、プラスチックと食品ゴミが混ざっていても、分けずにそれをそのままカーボンにし、それをバイオプラスチックや工業製品などに用いてリサイクルしていく事業です。

日本では一部販売をしていて、今後ヨーロッパや欧米にこの事業を展開していく予定です。もうすでに引き合いとかはいくつかいただいていて 、 まず第一段階としてこれを売っていくと。

第2段階では、今って有機物とプラスチックが混ざったもので分解してるんですけども、将来的にはプラスチック100%、例えばペットボトル100%とか、いろんな樹脂のものですね。プラスチックそのままでも分解するというところを目指しています。

例えばオランダがやっているオーシャンクリーンアップというものがあるんですけども、船の上や海岸沿いに触媒と機械を置いて、わざわざゴミを処理施設もしくは埋立地に持っていかなくても、現場で処理できるようにこの触媒を使っていくということを目指して今開発しています。

これが一つめの事業でして、もう一個目が電池の開発です。こちらをメインでやっております。

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電池って皆さんご存知の通り、モビリティや蓄電の転換期で非常に重要なものの一つである一方で、より安全性とか容量が求められているのも事実です。

去年ノーベル賞科学賞で受賞されてるってこれは非常に喜ばしいことなんですけども、冷静に考えてみると過去30年間リチウムイオン電池の原理原則はあまり変わってないんですよね。

基本的には材料の改善や様々な組み合わせの改善はできていますが、原理原則が変わっていないと。私と、CTOがちょっと考えていたのは、電池の送電、配電、あとモーターには交流直流両方のオプションがありますよね、用途に応じて。

一方、世の中にある電池は全て直流で動いているんです。これはどうしてかなというふうに思って、CTOといろんな話をして立ち上げたのがこの会社です。

ちなみにお話しする電池っていうのはあくまでもモビリティと蓄電用途であって、スマホとかパソコン向けはまだ考えてないですね。
これが先ほどお伝えした問題で、やっぱり新しい材料とか新しいタイプ(リチウム電池以外のもの)は、どうしても時間とコストがかかってしまうと。

それで考えたのが、次のものです。

バイオードというのは造語でしてアノードが-、カソードが+
これの中間なのでBiということでBiode、というふうに我々が名付けて、青いのがバイオード、つまり両性の電極。中間電極といいますか、それを入れてマイクロコンピュータの制御でスイッチを左の時がオン、右の時は off。これによって単体の電池で交流を作れます。

普通今の電気でも2個とか複数のスイッチと電池をつなげれば交流が作れるんですけど、これだと単体で作れるということで特許もとってまして、ヨーロッパで特許も国際的に申請中です。

試作品もできてまして、このように進めてますと。

あまり詳細とはいかないんですけども、いろいろメリットがあります。例えば安全性とかですね、コンバーターインバーターを小さくする、もしくはもう一緒にするというようなメリットです。

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ちょっとマニアックな話になってしまったら恐縮なんですけども、安全性が高まる理由というのは今ある電池の電位を中間で分けて半分にしますので安全性が高まると。これはそういう試験結果もとれてきています。

あとは先ほどお伝えしたコンバーターインバーターをなくすと言いますか、小さくするということも今考えてまして、
例えば三相交流という3つ層が重なった交流をモーターで使うものは結構あるんですけども、そういう時にわざわざインバータを介さなくても、小さな制御装置でそれぞれ単相の交流電池から交流を出せばよりシンプルで、小さな回路になるんじゃないかなということを考えていますね。

それでは、電池の事業をやられてる方とかスタートアップエネルギー関係の方で多分質問色々とあるかと思いますので、ここで一旦切って、質問等何かあればお受けしたいと思います。

視聴者1 Q.ロードマップはどんな感じですか?

久保さん なるほど。今ですね、先ほどお見せしたような試作品はいくつか出来ておりまして、協業先も日本とヨーロッパで見つかっており、一緒にやっていこうという意向書もいただいています。

これをもとに最初は産業用ドローン向けに来年の第一四半期には実証実験を行って、そ れでどれくらい効果が出るのか試してみたいですね。いきなり車にはいけないので、ドローンみたいな小さなものから始めて、eバイクとかeスクーターとか、だんだん実績積み上がって言ったら車、もしくは空飛ぶ車にも使えると思っているので、そういう車とか宇宙、あと蓄電関係ですね。

風力発電って交流で発電するので、それをそのまま(周波数の問題さえ解決できればですが)専用の電池に蓄電するとか、そういうのもやっていきたいと思っていますね。

視聴者2 Q.どんな市場、どのような状態の国で買われることをイメージされていますか?

久保さん 国は、日本とヨーロッパをターゲットにしています。

用途は高電圧のモビリティと蓄電ですね。蓄電でも主に風力とかなどの交流で発電する再生可能エネルギー向けを考えてい
ます。太陽光パネルは直流で発電するため、今はどれだけメリットあるかをまだ実証できていないので、風力のような交流で発電するもの向けですね、蓄電の場合は。

視聴者3 Q.どうして海外を拠点にしているんですか?

久保さん 欧米を拠点としている理由というのは、もともと商社で12年働いて、こういう業界でIPPとか設備関係の営業と財務をやってましてその後イギリスに留学1年間してたんですけども、現地を気に入ってこのアイディアも思いついたものですから、CTOと一緒にイギリスと日本の両方で会社を作りました。

イギリスで作った理由というのが、我々が開発する電気回路の一部の設備の開発拠点はイギリスのケンブリッジ大学だったんですね。そこで色々シナジーもあったので、もう現地で作りました。あとはあの資金到達であったり、後で話すんですけどもスタートのピッチコンテストの数と賞金の額とか、諸々の待遇や条件が、ヨーロッパの方が全体的にいいなと感じたので(私個人的には)まぁちょっと大変なんですけども、両方の拠点をキープして今進めてますね。

視聴者4 Q.周波数は切り替え可能なんでしょうか?

久保さん 可能だと思いますね。
ざっくり言いますと、インバーターとコンバーターの周波数を調整するものを電池の側に持ってくるようなイメージです。

ただどうしてもそこでできない場合は、我々の使う電気回路の出口って直流で出るような回路になるので、既存のインバーター使えば周波数の問題が解決されるのかなというのも一応バックアップで持っています。

視聴者5 Q.蓄電放電ロスはどうでしょうか?

久保さん これはまだ実験中なので、ちょっとどれぐらいかと言いにくいんですけども、全て冒頭に申し上げた通り材料とか新しいタイプの開発は非常に大変ということは商社の時代から感じていて分かっているので、全て既存の材料と既存の電池の製造工程をそのまま使います。なのでロスとかそういうのは多分今のものとあまり変わらないのかなと思ってはいます。

それもあって研究開発は他の新規材料の開発比べると早く安く済むと思っています。

2.EnTech, eco system in the UK, Europe, US, China, UAE (On hardware, science)

久保さん 私はイギリスにいたので、これは向こうで話題になった写真の一つなんですけども、イギリスは食事が本当に美味しくなくてですね。非常にいいところなんですけども(笑)私が現地にいた時はブレグジットの話が非常に盛り上がっていて、この写真もよく出回っていたので載せさせていただきました。

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結構いろんな方にイギリスって今どうなの?とかStartUp始めるのにどうなの?って聞かれるのですが、いいとか悪いとかそれぞれあるので、後ほど説明します。

まず食事は美味しくないんですけど、自分で自炊すれば結構色々美味しいものが食べられます。

それから、ケンブリッジ大学にいたんですけども、あまり意外と日本で知られてなかったなぁと思ったのは、ロンドンとイギリスって電車で1時間くらいなので、同じスタートアップのエコシステムとしてカウントされる時もあれば別になる時もあるんですが、ヨーロッパでも最大規模のシステムをケンブリッジ市内で持っています。

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人口13万人ぐらいの小さな町なんですけども、結構強いのがたくさんあります。
下に書いたものは一部ですけども、例えばソフトバンクさんが買収したarmは半導体の設計の最大手といったところで、かなり首位を占めています。ここもケンブリッジ市内で作られましたし、アマゾンのアレクサの開発拠点も今ヘッドクォーターはケンブリッジにあって、やっぱりコンピューターサイエンスとかバイオサイエンス系、あとはAI、半導体系はかなり強いですね。私も知らないいろんなスタートアップがあって、上場もヨーロッパとかイギリスでされています。

その他には日本で関係するところですと、下の3つのロゴですけども まずSMAP ENERGYさん。日本のエネチェンジさんは実は元々ケンブリッジで SMAP ENERGYをイギリスで展開されています。
あとは丸紅さんがazuriに、確か三菱商事さんがBBOXXに出資されています。

こういうアフリカのオフグリット地域に太陽光を使って色んな地域にエネルギーを広げているところもケンブリッジとか、後ロンドンあたりのシステムから始めて結構いろんなスタートアップは出てきてます。

大学がやっぱりそのまあスタートアップのスピンアウトの中心になってまして、この2番のケンブリッジネットワークというイベントとかですね、いろんなイベントが大学の周りでは大学主催もあればスタートアップで既に上場した会社がまたケンブリッジに戻って主催するというものもあって。
やっぱり理系が強いので、ポスドクとかPHDの方限定のピッチコンテストとかですね、賞金で何百万円かもらえて、かつVCの出資も決まりみたいな、そういうコンテストも毎年結構ありますね。

最後のこのスピードデーティング "speed dating" って、結構日本でも最近いわれ始めてるんですけども、理系の方はどうしてもイギリスとかこういうところでも問題になっていてそのアイディアは凄くてもなかなかビジネスにできないとということでMBAの人とか、ファイナンスやってる人との間で3分づつとか5分ずつ話合って、1日て何十人と会ってですね。その中で気に入った人をお互い選んでスタートアップを作るという風なイベントも結構大学であったりしましたね。

私がイギリスでビジネスを始めた理由の一つも、これで知り合った方と今一緒にやっているということもありますね。

次にイギリスが抜けたEUの話にちょっと変わりますけども、EU の傘下にクリーンエネルギー系のアクセラレーターとかインキュベーター、後VCで出資を行うような組織がありまして、一番大きいのはこのEIT InnoEnergyという、もしくはClimate Kickというところです。

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これは EUの組織である一方でVCとしても活動をしていて、我々の株の一部もInnoEnergyが持っています。

EUにはヨーロピアンバッテリーアライアンスっていう電池のアライアンスがありますし、いろんな補助金とかが今後も見込めそうなので、ここの出資を受けているというところになっています。

あと2番目で今はそのEUの話をしたんですが、民間でもクリーンテック系で出資し始めたところが多いですね。シードと言うより、シリーズA,Bあたりで入れる事が多いです。特に多いのはEV系のチャージステーションの技術とか、ソフトウェア系はよく出資しています。
あとは日本でも一時期話題になっていた、フリーエレクトロンという東電さんも入っている先進国のユーティリティが入ったコンペとかグループがあってですね。ここも結構イギリスは色々入っていて、当時私がいた時もアプライしたりして色々やり取りをしてます。

まあポルトガル系スペイン系いろんなところがあります。

Equinorが洋上風力とかに強いところですね。こういうのはテックスターズと組んで、ピッチコンテストであったりアクセラレーターとかをそれぞれ独自で持って進めているのが印象的でした。

これが民間企業の動きで、3番目は財団ですね。ひとつしか書いてないんですけども、ソーラーインパルスっていう太陽光発電だけで世界一周したのをはじめた財団ですけども、ここがスイスにあって同じようにピッチコンテスト、出資、色んなことをやってます。

最後4番目はエネルギーとかディープテック、もしくはハードウェア系に特化したイベントがかなりの数、個人的には日本よりも多くあるのかなと思っていて、自分昨日は世界最大規模のディープテック系のイベントでHello Tomorrowという、ちょうど来週パリでありますけども。あとは同じくパリでViva Technology、これはハードウェアだけではなくてソフトウェアも入ってますが、こういう大きなイベントをやってます。

私は日本人なので、日本でVCさんを回ったり、協業先を探したりなどしながら、日本でも事業を進めています。
それで、あくまでも個人的な感覚なんですが、スタートアップの投資家のバリエーションであったり諸条件というのは、私の場合はヨーロッパもしくはアメリカの方が日本の方からもらったものよりは、平均値的には良かったです。

先ほどちょっと話にあった洋上風力っていうのは皆さんご存知だと思うんですが、

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やっぱり中心なのはスコットランド、イギリスの東側、デンマークオランダ後国、このあたりが中心になっていていろいろ動いてます。

個人的に洋上風力はかなり興味があって、時間が会ったら何か関わりたいと思っておりますけれども、どうしても日本は自然的な 条件がちょっと不利になっているところもあるので、まずヨーロッパである程度実績を積んでそれを日本に持っていくというのはちょっと中長期的にやりたいなと思っているテーマです。

これちょうど3月1日に発表されたのでこれも載せさせていただいたんですが、私が今住んでるルクセンブルクは非常にちっちゃな街なんですけどもすごい豊かなところで、小さいからできるっていうものなんですが世界で初めて公共交通機関をすべてルクセンブルク人でも外国人でも、何人であろうとすべて無料にしました。

これは左に書いてあるバス、路面電車あとは電車、国内のものがすべて無料です。これ素晴らしくてですね、これはもうずっと現地で題になっていて、環境にもいいですし、どうしても貧富の差ってありますからそうした人たちを救う手立てになっている非常に面白い仕組みで車の数がどう減っていくのかということを今後見ていきたいですね。

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これは私が今まででたピッチコンテストのリストです。よくいろんな方にどうしてこんなにいっぱい出てるんだ、暇なのかって聞かれるんですけど、暇って言うよりは結構海外のコンペって決勝とか準決勝に呼ばれるとフライトホテルを出してくれるものが結構あります。

どうしてもヨーロッパと日本を往復するような形になっているので、僕はお金がなくて貧しいですから、まあこういうコンテストのタイミングを利用して結構行き来しているということを実はやってます。

今聞かれている方にエネルギーに限らずスタートアップの方がいらっしゃったら、海外のピッチコンテストは最近検索すればいろいろ出てきすので、ぜひでていただきたいなと思います。今後私も出る予定です。

やっぱり投資家や事業会社や先ほどお伝えしたような財団がいっぺんに集まるので、一個一個回るよりはもうこういうところで発表したがかなり早いし効率もいいのかなと思いますね。

時間結構迫ってきたので、他の国は少し駆け足でやりますけれども、私最初は実はアメリカで会社を作ろうと思っていて色々回ったんですが、先ほどチラッとお伝えした通りどうしても今の政権だと西海岸じゃないとなかなかクリーンテック系のスタートアップは受け入れられづらいということを個人的には感じました。
アメリカに本社おかないと出資しないという投資家も多いですし、個人的な感覚でもやっぱりヨーロッパがいいなーと思って、ヨーロッパにしたんですけれども、アメリカは確かに規模が大きいんですが、アメリカに行かないとなかなか出資が受けられなくてコミュニティに入りづらいというのは個人的には感じました。

中国はゆくゆくは始めたいと思っていて、いろんなコンテストに参加したり、打ち合わせも今いろいろ入ってますけども、ハードウェア系エネルギー系で強いのはやっぱりBrincとかHAX系で、もともと欧米の資本も入ってますしかなり深センとか広州のあたりでは色んなイベントとかやってまして、私も一時期出資関係話したんですけども、ちょっとバリエーションなどがあわずに話が一応終わってますから、こういう動きも中国はやっぱり南側でエネルギー系はよくありますね。

中東は1月に、World Future Energy Summitっていっていうのがエネルギーテック系では中東で一番大きなイベントで、コンテストの決勝に進出してフライトも出してもらってたので、丁度いってきました。技術そのものはまだ優位にはあまりないのかなあと正直感じましたけども、いかんせんお金が非常にあるので…ここは今後始まっていくのかなと思います。ただやっぱりどうしても太陽光中心になったり、従来のオイルやガス中心のものが多いのかなというふうに感じました。

個人的に注目しているのはブラジルでして、資源もいっぱいありますし、太陽光も風力もいっぱいできる。水力発電も発電全体の半分以上ありますから、何かこう面白いエネルギーテックが出てくるんじゃないのかなぁとは思っています。結構コンストラクションとかEPC系は強い会社いっぱいあります。
一時期Lava Jat (汚職対策)等によりいろいろな会社が汚職スキャンダルでダメになりましたけれども、少しずつ息を吹き返してきているのでブラジルが注目しているような国です。

3.Q&Aセッション

視聴者6 Q.どんなテーマや会社が久保さん的にアツいですか?

久保さん 私結構ハードウェア中心に見ているので、ソフト系のものはあまり答えられないんですけども、やっぱりEVはヨーロッパが世界で一番進んでいるので、EVの周りはいろいろなアイディアとか技術特許はかなり取られていて、一番多いですね。

あと意外に思われるかもしれませんけども、水素系のスタートアップも出てきていて、私は1社目のスタートアップが実は水素系だったんですけども、そのHPが一部検索で残っているので今でも時々欧州のCVCとかVCから連絡来てですね。

水素系はまだ狙っているところは結構あります。というのもイギリスとか、一部の国のガスのパイプラインは水素に耐えられるような素材になっているので、既存のパイプラインとかに水草を入れてクリーンにしていこうというような動きもあったりして。

日本はもちろん進んでるんですけども、どちらかというと大企業中心だったり政府が中心にやっていて、一方ヨーロッパは大企業ってよりはスタートアップが結構いろいろあって、思いつくだけでも10社以上水素系はありました。

そんなところがアツいといいますか、印象に残った会社です。

視聴者6 Q.ケンブリッジ、その他EUで行われているアクセラレーターのような会は、アジアでも同様に行われているんでしょうか?もしくはアジアでは開催されないのでアジアの人たちはヨーロッパに足を運ぶのでしょうか?

久保さん まずEU系なものはやっぱりEUですので、基本的にEUに会社がないと参加できないです。
ヨーロッパでは開催してないんですね。唯一中国がアジアではなぜか協定を結んでいて、 EU系のアクセラレーターは中国でもあります。

それ以外やっぱり基本的にはないと思いますね。
Shell と BP のものも、知る限りは日本にはないです。

アプライする時の条件のところに、ヨーロッパに拠点があることというのはあると思いますね。

ただ先ほどお伝えしたフリーエレクトロンというのは東電さん入っていますし、これは日本の会社でもアプライできるというものはあります。まぁ最近いろんなポータルサイトがあってf6s.com とかyounoodle.com とか色々あるんですけどもそこにメールマガジン登録できますから、週とか月何回か貰えるのでそういうところの情報を見て、日本に会社があっても参加できるかどうかなどを見て参加されるのもいいのかなと思います。

視聴者7 Q.公共交通無料化を導入検討するときに費用対営利比較をされると思いますが、項目はどのようなものがあるのか気になります。

久保さん 報道でも確かに批判賛否両論結構あってですね、車しか使えないような人っていうのも結構ありますし、陸つづきなのでベルギーフランス、あとはドイツ。まあ西側から通勤してくる人がいるんですね。
そういう人って通勤もバスか車で来るんですけども、そういう人は税金を払ってなくてこういう恩恵を毎日受けるということでこれはフェアじゃないっていうような批判もあって、ちょっとご質問の規模というのはわからないんですが、賛否両論あったというのは答えられますね。

あとはルクセンブルクは実はクリーンテックがまだ弱いので、そういうのは経産省も結構気にしていて、まあこういうその世界初のものをいくつかはじめて、それでクリーンテックを呼び込みたいというのは経産省の局長の方が話していたコメントですね。

視聴者8 Q.日本国内で水素系スタートアップが生まれにくいのはなぜでしょうか?今後の世界的な広がりを含め教えてください。

久保さん 私の理解ではまあこれエネルギーテックに限らず一般的に言えることですけど、どうしても日本のスタートアップの数、投資家な数、投資額というのは、アメリカはもちろんイスラエルとかヨーロッパに比べるとまだまだ少ないっていうのは統計に出ていますのでそれがまずあると思います。

後もう一つはどうしても大手がまあ強すぎると言いますか、ハードウェアでかつ大学のスピンアウトじゃない(我々もスピンアウトではないスタートアップなんですけども)ところだとどうしても大手が強くて、日本ではなかなか入りづらいというのは私個人的に感じていますし、そういうのは聞いたことがあります。

一方で欧州ですともちろん大手はいろいろありますけども、なんて言うんですかね、水素はまだそこまで、日本に比べるとまだ出てきていないのでスタートアップが入る余地があったのかなというのは思っています。

あとは一般的に、高リスクを恐れない方がやはり向こうのほうが多いなと個人的に思っていますね。

よく失敗したらどうするんだって話をするんですけども、まぁ失敗してもあの特にCV(履歴書)上むしろプラスになったりしてマイナスにならないんで、これでまたどこかに就職すればいいんじゃないのっていうような感じで気軽に考えてスタートアップする人が多いのと、あとは大学で経営の学位を取ったんで、まぁ一回リスクをとって逆にさっさと始めたがいいんじゃないかと。今はじめないといつやるんだと。失敗してもまた就職すればいいじゃん。そんな感じのメンタリティの方が多いので、まあ水素に限らずスタートアップは一般的にこんなのが多いのかなぁというのは感じています。

司会 時間になりましたので質問は以上とさせていただきたいと思います。今日は久保さん本当にありがとうございました。

〜〜〜こちらの書き起こしはエネルギーテック勉強会参加メンバーの宮澤さんに有志でご協力頂きました。これだけの濃い内容を文字コンテンツをフリーで開示できるのはこういったコミュニティのサポーターの方々のおかげです。この場を借りて感謝申し上げます。〜〜〜

本内容の動画は以下のYouTubeで視聴可能です。
(久保さんパート 26:30 - 1:06:48)

後半のパネルディスカッションはエネルギースタートアップ4名の経営者によるディスカッションです。こちらも全文書き起こしになりますので御覧ください。


第4回エネルギーテック勉強会は急遽Webでの開催とさせていただいたにも関わらず大企業、投資家、メディア関係者、ベンチャー経営者、官公庁、学生と多様な計70名の方にお集まり頂きました。

大手電力会社、大手新電力会社、建設会社、ベンチャーキャピタル、太陽光システム販売会社、メディア、大手メーカー、不動産仲介会社、研究所、大手通信会社、エネルギーベンチャー、省庁、リース会社、メガバンク、大学、エンジニアリング会社、石油会社、コンサルティング会社、カード会社、マーケティング会社 等


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