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【特定商取引法】「ガス料金の提案です」

2023年5月11日、消費者庁は、電気、ガスを供給する株式会社CDエナジーダイレクト、株式会社3Backs、株式会社ライフデザインに対して、訪問販売に関する業務の一部を停止する行政処分を行いました。
訪問販売業者【株式会社CDエナジーダイレクト、株式会社3Backs及び株式会社ライフデザイン】に対する行政処分について (caa.go.jp)

CDエナジーダイレクトは、中部電力ミライズ株式会社と大阪ガス株式会社が50%ずつ株式を保有しています(会社概要 | 企業情報 | 株式会社CDエナジーダイレクト (cdedirect.co.jp))。
中部電力ミライズ株式会社は、中部電力株式会社の電気やガスの販売子会社です。CDエナジーダイレクトは、中部電力という大手電力会社と大阪ガスという大手ガス会社のノウハウをもとに事業を行っていると思われます。

今回の行政処分で違法とされた行為に以下のようなものがありました。

家庭を訪問販売してピンポンした営業マンが、勧誘目的が明らかでないとして、CDエナジーダイレクトの行為が違法だ!と消費者庁は言っているわけです。

でも、ピンポーンってインターホン鳴らしてきた人がいて、「ガス料金のご提案でお伺いしてます」と言われると、「それ、ガスの勧誘でしょ(怒)」(イライラ)と思うわけで、勧誘目的は明確ではないのか?という気がしますね。

悪質訪問販売の手口として、「アンケート取らせて下さい」とか「消火器の点検です」などと販売目的を隠して接近して、心の準備のない消費者を商品販売の勧誘に引き込むことが多かったのですが、この特定商取引法3条は、これを防ぐために、勧誘行為を始める先だって、氏名、商品等を明らかにすることを義務づけています。
「ガス料金の提案」というのではなくて、きちんと「○○会社です。ガスのご契約のため」ですとはっきり言わないといけないということですね。

勧誘する側としては、「ガスのご契約のため」なんて言うと、応対した人からは、「ガス料金のご提案」以上に固そうな話で、なおのことインターホンに出てもらうこともなく勧誘できなくて終わってしまいそうですが、特定商取引法3条は、消費者の強い味方になっているということですね。

一方で、勧誘する訪問販売を行う会社としては、特定商取引法を守ろうとすると、細かく細かくトークスクリプトやマニュアルを準備して、営業マンを教育し、説明内容に細心の注意を払わないといけない。あらためて、特定商取引法を見直しましょう。
消費者庁のサイトはこちら
訪問販売|特定商取引法ガイド (caa.go.jp)

本稿の内容は、消費者庁などに確認したものではなく、弁護士である当職の見解を示したものです。



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