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SePT独舞Vol.23 スズキ拓朗「GHOST」(シアタートラム)

2022年6月25日(土)・26日(日)の2日間3公演のSePT独舞Vol.23 スズキ拓朗「GHOST」を、三軒茶屋のシアタートラムに見に行ってきた(25日18時の回)。
今週になって、ロックスター有限会社(コンドルズ制作部)からDMが来て、あ、これは応援すべきだ、と思い、今日の夕方時間があいていたので当日券で入場。心配していたけれど、劇場はそれなりに沢山のお客さまが入っていたと思う。

チラシ画像(トップ画像に拝借)が最後のシーンを用いているのでいわばネタバレであるが、舞台の左方手前にトイレットペーパーが沢山積んであり、ダンスの途中でそれらを積んだり手にして踊ったり、そして最後は身体に巻き付けていく。
積んである以外にももう少し幅の広いロール紙(キッチンペーパー位?)が舞台に吊るされていて、ここにはお題が掲示される。「はかをつくる」「えらぶ」「ゆいごん」など。これは、「死」をテーマとしたダンス作品で、墓を作り、遺言を書き、二つの扉から天国か地獄を選ぶ、その過程が、スズキのソロダンスで表現される。
マイムによる心臓の鼓動、へのへのもへじなどを書きつけた遺言が背後の白いスクリーンに展開される中ティッシュの箱から、天冠みたいな三角形の布が引き出され、両腕にぐるぐるとトイレットペーパーを巻き付けていくクライマックスシーンは新体操のリボン競技をもっともっとダイナミックにしたような美しさ(アフタートークで言っていたけれど、1ロール90mあるトイレットペーパーを12ロール分位両腕で回しているので重量も半端ない!)。

コンドルズの創設メンバーはわたしよりほんのちょびっと年上で、それと較べると拓朗くんは超若者!、と思っていたが、実はもう今月で37歳になったということで、あれれ超若者ではないのか。もっと若い時は永遠にでも踊り続けられる感じだったのが、体力の限界みたいなものが見えてきて、その限界感がダンスに深みを与えている、と、アフタートークで石渕聡さんが言っていて、本人も同意していた。だから、今日は2公演だったけど、13時の回より18時の回の方がより表現力が高まっていたのではないか、と自己分析していた。
アフタートークの時に古賀剛さんが、会場にアンケート取って、クライマックスシーンは「美しかった」か「哀しかった」か「苦しかった」か挙手させてたけど(わたしは「美しかった」)、会場の感覚はほぼ同数?
最後(ここネタバレです、明日、じゃなくてもう今日だ、見る人注意)、巻き付けたトイレットペーパーを全部解きほぐし(ここは本人が思ったより時間かかったとのこと)、舞台に表示された扉から逃げるように客席奥へ駆けあがるエンディングは、死の世界から逃げ出し生還するイメージ。

約1時間の公演だったが、一人だけで舞台で激しく動き続け、マイムの表現力も見事で、強い主張を見る人すべての心に残すことが出来る、力強い公演だったと思う。

客席で見ていた石渕さんがクリップボードの紙にびっしり書いたメモを持って舞台に上がり、アフタートークで自分の解釈をどんどん語り続け、それが見た人の記憶を補完する見事な効果を持った印象。ジントクさん、古賀さんもナイスフォロー。決して内輪受けではなく、コンドルズと別の場でスズキ拓朗として表現するものを見せてくれた公演だった。

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