デルトラ・クエスト

『デルトラ・クエスト』 
エミリー・ロッダ作、岡田好惠訳、はけたれいこ絵、岩崎書店刊。
『デルトラ・クエスト』が全8巻、『デルトラ・クエストII』が全3巻。
前者ではデルトラのベルトにはまる7つの宝石を奪還し、後者では3つに分裂したピラの笛を取り戻し、影の王国に乗っ取られていたデルトラ王国が独立を取り戻す過程を描くクエストものの物語。「クエスト」なんて言うくらいで、なんかゲームっぽい。というか、構造みえみえ。1巻につき1個ずつ宝石を取り戻して、最後に乗っ取られていた王国を取り戻すんでしょ、って、なんかストーリー展開に不安がないよね。
と言いつつ、子どもが学校の図書館で、順不同に借りてきたので(人気があって、巻の順番、なんて言っていたらいつまでも借りられない)どうせ構造は見えているさ、と思って、来た順に読んでいたら、結局第1巻を読めないまま最終巻を読んでしまった。いつまでたっても第1巻は借りられないので、結局近所の図書館でリクエスト出して借りたが、何しろ最終巻読んじゃって、伏線は全部わかってしまっているので、今更最初の設定を読んでもなぁ、って感じに。反省:最終巻は最後に読みましょう。
細かい仕掛けとかはよく考えられているなー、と思う。また、誰が誰を裏切るかわからない暗黒の時代の中、誰を信じ、誰を疑い、一緒に冒険の旅に出るか、という迷い、そしてその迷いを突くような、あっと驚く裏切り、逆に敵と思っていた味方の登場とか、この辺は読んでいて確かにわくわくする。
ただ、結論が先にあるため、途中までの経緯を緻密に書いてきて、紙数が尽きたと言わんばかりに結末に向かってストーリー展開をはしょっている感じが、どの巻を読んでもする。このページ数でこれだけのことをするのは無理だったのでは?
また、地図があるようで地図がない(地図らしき絵が出ているのに、ストーリーを読みとくのに殆ど役に立たない)ので、先を急ぐわたしのような読者にはちょっと欲求不満。最初から何も描かないか、逆にもっと参考になるものを付けるか、どっちかにして欲しかったことであるよ。
と、きついことばかり書いてきたが、子どもと本の話をしようとした時に、取っ掛かりになる、そんなシリーズだった。まだこれからIIIが出る、という噂。IIのラストがあまりに駆け足だったので、これで大団円とは言えないもの、この先に期待。

(2004年06月29日のブログ記事の転載)

#読書 #デルトラクエスト #エミリーロッダ #岩崎書店 #最終巻は最後に読みましょう

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