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#007 需給調整市場とは?どんな目的で作られたの?わかりやすく紹介!

みなさん、こんにちは。
ENECHANGE株式会社、新規事業開発室の中村です。
今回は需給調整市場について、ポイントをしぼってわかりやすくご説明します。

主な電力取引市場

前回は容量市場についてご紹介をしましたが、他にも電力を取引する市場があります。今回は電力を取引する下記3つの市場をピックアップし、ご紹介します。

卸電力市場(スポット市場、ベースロード市場など)
電力量(kWh価値)と取引する市場。
小売電気事業者のなかには発電設備を持たない事業者もいます。そうした事業者が、需要家に供給する電力量(kWh)を調達することができるのが卸電力市場です。

容量市場

国全体で必要となる供給力(kW価値)を取引する市場。
将来に必要となる供給力(kW)を取引する市場で、4年後の供給力が取引をされます。詳しくは「#004 容量市場とは?どんな目的でつくられたの?」や「#005 容量市場のスケジュールと応札条件をわかりやすく解説」をご参考いただければ幸いです。

需給調整市場(調整力公募)
短時間で、需給調整に貢献できる調整力(ΔkW、デルタキロワット)を取引する市場。

需給調整市場とは

将来の供給力と取引する容量市場に対し、需給調整市場は短時間で調整力を提供するという点に特徴があります。

電気の安定供給には「同時同量(需要と供給のバランスを整える)」が欠かせず、このバランスが崩れると大規模停電になどの事態につながってしまう可能性が高まります。

この需給のバランスを整える役割を一般送配電事業者(TSO)が担っており、そのバランス維持のための調整力を扱うのが需給調整市場なのです。

需給調整市場、導入の目的

資源エネルギー庁「需給調整市場について」には、下記の記載があります。

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これまではエリア内(例:東京電力エリア、関西電力エリア)で調整力を公募していた(調整力公募)のですが、2021年からは需給調整市場としてエリアを越えて調整力が確保できるようになりました。これにより、価格を抑えつつ安定的に調整力を確保することが期待されています。

再生可能エネルギー拡大も影響

脱炭素社会を目指すにあたり、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの拡大は欠かせません。再生可能エネルギーは原子力や火力などによる発電と比べ、気候に影響を受けるため計画的に発電量を予測することが難しい特性があります。再生可能エネルギーが増えるほど、需給のバランスを整える難易度が高まっているのです。

こうした環境下においても需給のバランスを整え、電力が安定供給できるよう、需給調整市場では、応答時間ごとに商品(取引)が設定されており、効率的で安定的な運用に応えようとしているのです。

次回は需給調整市場の商品(取引)について

各市場の役割のほか、需給調整市場の役割や導入目的などをご説明しました。次回は、需給調整市場の商品(取引)について、ご説明します!