よりフェアで流動性あるエネルギーマーケット実現を目指して
enechainの祖業であるマーケットプレイス事業で、市場流動性の非線形な成長をリードしている執行役員 ブローカレッジ本部ゼネラルマネジャーの大津さんにインタビューをしました。
enechainは、国内最大のエネルギーのマーケットプレイスを運営するスタートアップです。"Building energy markets coloring your life" をミッションに、その規模が100兆円を超えるといわれるエネルギー業界が抱えるあらゆるペインを、テクノロジーの力でアンロックし、業界全体のDX実現を推進しています。
本インタビューでは、大手総合商社や燃料トレーディング会社でのキャリアを経て、なぜenechainに入社したのか、その背景とこれからの展望をお話しいただきます。読者の皆様にとって、enechainでのキャリアの一つの形を知る機会としていただければと思います。
決め手は「目指しがいのあるデカい夢かどうか」
ー過去のキャリアを見ると、ずっと石炭一筋だったんですね!
そうですね、なにか特別な理由があってというよりは、新卒で入社した双日で、最初に配属されたのが石炭部だったんです。もし入社時に別の商品に携わることになっていたとしたら、石炭や燃料という道には至っていなかったかもしれません。
ただ、仕事をする中で石炭というコモディティが嫌なら途中で辞めていた可能性もあるはずなので、その意味では好きで続けられたんだと思います。当初から今でも思うことですが、燃料って動かせる金額の桁がとんでもなく大きいんです。経済的インパクトがデカい。もちろん金はすべてじゃないですが、どうせ仕事をするのであれば、世の中に大きな影響を与えていたいと常々思っていたので、関心を持ち続けられたんでしょうね。
ーそんな石炭1つのキャリアから、なぜenechainを選ばれたんですか?
一つは専門性の幅を広げたかったんです。石炭については、それなりの知見を蓄積してきたと思います。その中で全く新しい別領域に足を踏み入れようという気は正直なく、これまでのキャリアをレバレッジとしてより大きなチャレンジをしたいと思っていたんですね。
そうすると進路のパターンは自然と限定されます。具体的には、石炭をさらに深堀りするか、燃料を燃やした先にある電力という市場に手を広げるか。僕が選んだのは、後者でした。実際に燃料のトレーディングだけをしていると、電力のことがわからないゆえに、お客様への提案が的を得ないことや、燃料という側面でしか力になれないもどかしさを感じていました。電力と燃料、どちらにも精通した自分になれば、よりお客様に届けられる付加価値も納得いくものになるだろうと思ったのが理由です。
もう一つの理由として、いつかスタートアップで働きたいという気持ちがあったんです。
正確には、スタートアップ企業そのものに関心があったわけではなく、自分の手でより大きな事業をぶん回してみたい、その確かな実感をいま以上に得たいという動機でした。大企業には大企業の面白みがありますが、その船の大きさゆえに守られていることも多くあります。一方、スタートアップはいかだのようなもので、自らの手で漕ぎ、海原の影響をもろに受けながらも、自分がその船の命運を握っているという手触り感やオーナーシップは強く感じられます。
僕の好きな言葉の1つに、
“Ships in harbor are safe, but that is not what ships are built for.”
ということわざがあります。
「港に置かれた船は安全だが、それは本来船が作られた目的ではない (危険があろうが、船は大海原に出てなんぼ) 」と言う意味です。
この言葉に初めて触れた時、「人生チャレンジしてなんぼだな」と思い、それ以来この言葉は心のどこかに刻まれていました。enechain転職の際にもこのフレーズがどこかで決断を後押ししたような気がします。当然、スタートアップへの転職に一切の不安がなかったかと言えば嘘になります。年収や生活水準が落ちる懸念だってありました。ただ、快適な環境に安住していては、自分がそれ以上のレベルに引き上げられることもないなと思い、決断するに至りました。
enechainのミッションが、自分のやりたいことそのものだった
ー数あるスタートアップの中で、なぜenechainを選ばれたんですか?
ボストン・コンサルティング・グループの友人から代表の野澤を紹介してもらい、他の創業メンバーとも話を重ねる中で、シンプルに目指しがいのある夢がそこにあったからなんですよ。
燃料の仕事を長年やってきて、電力市場にも足を踏み入れていきたいという思いもあった中、まさにenechainは電力も燃料も、あらゆるエネルギー価値を取引できる、フェアで自由な取引所をつくろうと創業した会社でした。当然、エネルギー業界に長いがゆえに、ゼロからマーケットをつくる難しさも痛感していた一方で、野澤を含め社員全員がそのミッションを本気で実現しようとしていたことに影響も受けて、人生一大のチャレンジをするならここだと決意を固めました。
enechainの給与水準は、他スタートアップと比較すると、決して低いとは思いません。が、おそらく商社やコンサル出身の方からすれば多少下がるでしょう。僕もそうでした。一方で、そんな足元数年の不便さよりも、手触り感を持ってどデカい事業を動かすロマンがあった方が、よっぽど自分の人生に悔いがないなと思ったんですね。
もちろん経済面でいっても、企業評価額が兆クラスの企業をつくろうとしていますから、約束はできませんがアップサイドの夢があることも1つかもしれません。それだけで決めたわけではありませんが、エネルギー業界は100兆円と言われる規模を抱える市場です。テクノロジーによってエネルギー業界を変えることによる経済的インパクトは、成熟した国内マーケットの中でもトップレベルに期待して良い領域だと信じています。
ー今後enechainで成し遂げたい事はなんですか?
一言でいえば、エネルギーマーケットをつくることですね。ミッションそのものですが、本気で実現してやりたいと思っています。
電力やその発電燃料である石炭・LNGといった資源の価格は、株式や為替のように日々乱高下しています。2022年2月のロシア侵攻を機に、ガスや電力の価格が跳ね上がったことは、みなさんもご存じじゃないでしょうか (もちろんロシア侵攻だけが要因ではありません)。
このようなボラタイルなエネルギー業界の中で、業界のステークホルダーが持つ「あらゆるエネルギーの価値を、いつでもどこでも、自由に取引したい」というド真ん中のペインに対して、オンラインのマーケットプレイスというド直球のプロダクトを、真正面から突き刺しにいっているのが私たちenechainです。
“Building energy markets coloring your life”ー エネルギーマーケットをつくることによって、エネルギー価値をよりフェアで自由に交換できる社会、ひいては脱炭素の推進やサステナブルな社会の実装に貢献したいと思っています。
一方、事業成長を推し進める上での課題も当然あります。大きく分ければ3つの課題があると自分の中では思っています。一つはテクノロジー側の準備、もう一つはビジネス側の準備、そして最後はテクノロジーとビジネスの融合です。
テクノロジー面ではクライアントのペインを解くソフトウェアの開発とそのアップデート、クライアントにとっての使い易さを追求したUI/UXの創造、それらの裏側にある膨大なデータ処理システムの策定など、挙げればキリのない数々のチャレンジに、enechainが誇る日本屈指の優秀なエンジニアたちが立ち向かっています。
他方ビジネス面においては、一見テクノロジーとは全く関係ないところから、しかし間違いなく同じ山頂を目指してマーケット環境の整備を行っています。詳細にはお伝えできないため、可能であればカジュアル面談などを通じてお話ししたいですが、エネルギー業界特有の商習慣や、金額のデカさをはじめとして、ビジネスが難しい要因が多様に存在しています。「テクノロジーの準備ができた、だからビジネスが伸びる」とは単純に成立しない以上、ビジネスチームが取引環境を整備する必要性があります。それこそ、我々ブローカレッジ本部が主として担う役割です。
これら両サイドの融合、つまりビジネスチームが取引の基盤を創ってテックに繋ぎ込み、取引量を爆増させるというのが我々の追求しているものですが、これをどのような形で融合していくのかというのが、テクノロジー単体、ビジネス単体の課題以上に重要なテーマです。この融合があってこその「非線形の成長」ですので、ビジネスがテックを、テックがビジネスを互いに理解しながらOne enechainとして事業を推進しています。
けっして簡単ではありませんが、今いる仲間とこれから迎える仲間を合わせたビジネスチームで創られたものが、テックの力で100倍の威力を発揮する-そんなことが体験できるかもしれない分、スリリングで類まれな機会だと思います。エネルギー史が塗り替わりうる変革期、その渦中でド直球にインパクトを与える仕事です。興味がある方にはぜひアプライいただきたいですね!
ー最後に、ともに働く仲間へ一言よろしくお願いします!
先ほどお伝えしたブローカレッジチームのマネジャーは、おそらく元電力会社出身の方や、エネルギーを取り扱う商社、エネルギーセクター向けの戦略コンサル出身の方が検討いただくことが多いかと思います。そうなれば当然、いまの生活レベルや年収を下げる懸念はお持ちになるでしょう。
私たちとしても誠意をもって、その方の理想とするライフスタイルに沿うオファー条件や働き方を提供したいですし、そのために組織基盤を日々固めているところですが、できることならリスクを加味した上でぜひ大志を持ってチャレンジいただきたい。それだけの価値が、この事業にはあると信じています。今この会社にいるメンバーたちも、きっと先行きの分からない不確実性を感じながらも、一歩を踏み出し、自らの手で確実なものへとカタチづくりために日々奮闘しています。そんな勇気とバイタリティーのあるメンバーと一緒に働けるの、最高じゃないですか。
“what ships are built for” ということわざにもある通り、湾の中にいて安全に日々を過ごすことよりも、大海原に出て社会を大きく変えるようなチャレンジをぜひ一緒にしてみませんか?
テクノロジーによってエネルギー業界を変革したいという志ある方と、ぜひ共に働けることを楽しみにしています。
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