MSX

ファミコンを買ってもらえなかった。
理由は、皆が持っているから。
違うものを買うのなら良いけど、欲しい理由を説明できるものを選べ。
そう言われた。
欲しい理由って言われても、そんなのゲームをやりたいという理由しかない。
だけど、その理由だと納得してもらえそうにない。
ゲームはやりたい。でもそれにプラスで何か出来る様なものってなんだ?
そう考えたどり着いたものがパソコンだった。
でも、当時小学校5年生の私にはとてもじゃないが、気軽に買ってくださいと言えるような額ではなかった。
あの時代、パソコンといえばNECのPC8800シリーズとその上位機種であるPC9800シリーズ、シャープのX1、富士通のFM-7という機種が、国産PCではある意味ハイエンド機で、本体20万くらい。専用のモニターやら入れると40万近い価格だった。
8ビットのパソコンでだ。PC9800は16ビットだ。
もちろんそんな高価な物では勝負できないので、もっと安くて目的を達成できるアイテムはないのか調べていると、ありました。
MSXである。
MSXは上記したハイエンド機程の性能はないが、ファミコン向けソフトを販売しているメジャーメーカーも、同じタイトルのゲームをMSX向けに販売していたし、一応パソコンなので、プログラミングも出来る。
専用モニターも要らず、普通のビデオ端子付きのテレビならOKだった。
ただそれでも本体価格は平均5万円と、ファミコンに比べると倍以上した。
しかし、私の選択肢としては、MSX一択しか無かった。
意外とMSXを販売しているメーカは多く、ソニー、東芝、シャープ、カシオ、ヤマハなどなど、結構パソコンと関係なくね?みたいなメーカーも出していて、その中でバランスが良く安い機種を探した。
本当はMSX2というMSXよりグラフィック性能が改善された機種を買いたかったのだが、更に値段が上がるのでこれは我慢して、
National製FS-1300
を選んだ。
そして父親にMSXを買って欲しい理由をプレゼンする。説得するネタとしては、とにかくゲームだけじゃなく、プログラムを覚えれば色々な事が出来るのだという事を、マネーの虎だったらボコボコにされるだろう内容で一生懸命伝えたと思う。
結果的には結構すんなりとマネー成立してもらえた。
結局は、人と同じ事をするより違う事をやれ、という父親の教えだったのだが、結構この時の経験は、これ以降の人生で生かされていく事になるので、変に感謝している。

そして、ここから私のパソコンライフが始まる。
やっていたのはほぼゲームだが。


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