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アナモルフィックレンズ

最近全然カメラ触ってないのはカメラに意識が向いていないからだと思う。
なので、ここでカメラの話をする事で、気持ちをそっちに向けられるならと思って、書いてみる事にした。
私が使っているのはCANON EOS6Dで、丁度子供が生まれるというのを理由に2014年に買った。かれこれ10年弱使っている。
始めて使った瞬間、なんてきれいに撮れるんだ!と感動したのを覚えている。そして、一眼レフを買った事で陥ると噂されている「レンズ沼」に見事にハマっていく。
しかし、幸か不幸か懐に余裕もないので、新品のレンズなど買えず、ひたすら中古で程度が良く財布にも優しいものをオークションで買っていた。
そんな感じで買ったレンズで写真を撮っていると、段々自分が好きな雰囲気というか被写体というかが解ってきて、私の場合、メチャクチャ高精細できれいな写真というよりは、古ぼけた汚い雰囲気の写真とか、あまり解像度に拘らず、何となくノスタルジック感のある写真を撮る様になっていった。
そんな中で、通常、写真の画角は3:2もしくは4:3が主流なのだが、もっと映画みたいな横長の写真が撮りたいなと思い、色々調べているとアナモルフィックレンズという特殊なレンズがある事にたどり着いた。

アナモルフィックレンズ


アナモルフィックレンズは、レンズの形状が通常と異なり、撮影物の横方向の情報を圧縮して撮影し、その情報をカメラのセンサー画角に収める。そうすると横に潰れたような画像ができるので、それを今度はレンズの比率で横方向に引き延ばすと映画の様な横長の画像になるのだ。

x2のアナモルフィックレンズで撮影した画像
編集で横方向を2倍に引き延ばした画像

実際、アナモルフィックレンズは映画撮影などでは使われている。ただ、写真用のレンズとしては当時販売されていなかった為、昔の映写機に使われている古いアナモルフィックレンズにアダプターを噛ませ、一眼カメラ用のレンズに取り付ければ撮影できる事が分かった。
ただ、アナモルフィックレンズの情報は日本語で説明しているサイトがほぼ無く、英語のサイトを翻訳して調べていたので結構大変だった。
元々、シネマチックな動画を撮影する場合、カメラもレンズも一般向けの基材ではなく業務用の基材が多く、そしてかなり高額な為、なかなか趣味で手が届く世界ではない。そこで、一眼レフカメラで映写機に使用していたアナモルフィックレンズをマウントしてシネマチック撮影をしている海外の人のサイトやYouTubeを、手あたり次第観ていた。
最初に買ったのはSLR Magicの Anamorphot 1.33x 50というレンズだ。
これは倍率が1.33倍で、アスペクト比3:2の写真の場合は1.995:1の画像になる。動画の場合はEOS 6Dのアスペクト比は16:9の為、一般的にシネマスコープサイズと言われる2.39:1の動画を撮影できた。厳密に言うと、動画も4:3で撮影できるのだが、そうすると画像サイズが640x480に制限されるので、使えたものではなかった。
ただ、写真の場合、1.995:1はシネマスコープサイズとは言えないので画像の上下をトリミングして2.39:1にする必要がある。動画の場合だと、そもそもイメージセンサーのアスペクト比3:2を上下カットして16:9に変えて無理やり撮影している事から、結果的に画像の情報がかなり切り取られてしまうのと、動画の場合、確かにシネマチックなサイズになるのだが、個人的に2.39:1のアスペクト比だと横長感が弱く、昔の2.66:1のサイズが好きなので、2倍のアナモルフィックレンズに変えようと考えた。

だが、同じSLR Magicの2倍のレンズがかなり高かったので、色々探した結果、メルカリでかなり程度もよく値段もお手頃だった、KOWAのProminar16-Hを購入した。上にある2倍比率の画像はそのレンズで撮影したものである。
この2倍のレンズだとアスペクト比3:2で写真を撮ると3:1の比率、16:9の動画撮影だと3.56:1となる。
これはちょっと長すぎる。
ただ、アナモルフィックレンズの特徴で、レンズの焦点距離が広角側に進むにつれて両サイドがケラレる。ケラレるというのはレンズのフードや枠が写真隅に移り込んでしまう現象だ。
大体、焦点距離50㎜以上無いとケラレが発生するので、写真でも動画でも画像の両サイドをトリミングする必要があった。画像が横に長すぎたのが幸いして、ケラレ部をトリミングしても全く影響もなく理想的なアスペクトの2.66:1に調整出来た。
ちなみに参考写真の方は3:1のままである。

なんだよ。結局、1.33でも2.0でも画像をトリミングする必要があるじゃんか。
でも倍率を2倍にした事で、目的にしていた横長画像は十分すぎるサイズを得られたし、しばらくは満足していた。

2020年くらいからかな?スマホのカメラの性能が向上した事で、スマホで商業レベルで映画や動画を撮影する人が増えてきた。その流れでスマホ用にもアナモルフィックレンズが登場したり、カメラブームによってマイクロフォーサーズ向けのアナモルフィックレンズなども発売されるようになった。
同時に一眼レフカメラの動画性能も向上し、16:9のアスペクト比で240Pの高速撮影できるカメラも出始めた。
そうなってくると、アナモルフィックレンズで超スロー撮影とかしたくなりだして、
10年近く使ってきたからそろそろ…
と、買い替えも考え始めた。
でもね、カメラってホント高いんだよなぁ。
簡単には買えないよ…宝くじ当たんねーかな…ボーナス出ねーかな…
と現実逃避に走る。

逃げても変わらないのでサッサと諦めて今でも6Dを使っているのだが、
少しでも性能を上げたい
なるべく金がかからずに
という思いから、以前からその存在は知っていたが、有志が作成したCANONのカメラをハックするMagic Lanternというカスタムファームウエアアドオンをカメラに組み込んだ。
それを入れる事で、通常では6Dで撮影できないRAW動画(生の画像データの連番動画)などを撮影したり、ライブビューでピーキングもできたりと色々遊べる。
ただアナモルフィックレンズを使う場合、まずアナモルフィックレンズを使いたい焦点距離のレンズにマウントして、それをカメラに装着するのだが、この記事のヘッダー画像の様にマウントするレンズによっては長さも重さもかなりなもんになる。

カメラ側につけているカールツァイス SONNAR 135mm F3.5
左からKOWA Prominer16-H、SLR Magic 77mm Rangefinder、マウント用のアダプター

そうすると、カメラ側のマウントに負荷がかかるのと、アナモルフィックレンズとマウントするレンズの接続部にも負荷がかかるので、レンズサポーターを使って負荷を抑える必要がある。
また、アナモルフィックレンズを使う場合、オートフォーカスが使えない。
だからって訳でもないが、基本的にはオールドレンズでマニュアルフォーカスのレンズばかりで買っている。
安いし、それでいてそれぞれレンズの特徴があって面白いから。
ただ、オートフォーカスが使えないだけでなく、アナモルフィックレンズと、マウントするレンズの両方でピントを合わせるという「ダブルフォーカス」が必須になる。
ただこれが非常に厄介で、一々被写体ごとに両方のピントを合わせないといけないのと、レンズの絞りによって全くピントが合わない。
それを軽減する為にレンジファインダーというアダプターをアナモルフィックレンズの先端に取り付ける事で、ある程度はシングルフォーカスできるようになる。
そうすると、
レンジファインダー+アナモルフィックレンズ+カメラ本体+レンズサポーター
という構成になるので、結構、っていうかかなり重い。だからスナップ感覚でパシャパシャ撮れないので、三脚に載せてじっくり時間をかけて撮影する必要がある。
まぁこれはこれで楽しいんだけど、
気軽に写真撮りに行くか~
とならない。
だからだろう。最近カメラ触っていないの。
あそうか。
理解した。

気持ちをカメラに向けるために書いてみたが、気持ちが離れていた理由が分かった、そういう記事になったようだ。
でも、せっかくなのでその不自由さを感じながらまた写真を撮りに行ってみようかなと思えたのも確かである。
ちょっと考えたのだが、アナモルフィックレンズを一眼レフカメラではなくて4K撮影出来るハンディーカムが家にあるので、それにどうにかくっ付けたら、もっと楽に動画は取れるんじゃないか?
それやってみよう。
今度。

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