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内視鏡専門医試験対策ノート⑤ 膵胆管合流異常、感染症、予想問題など

はじめに

消化器内視鏡専門医試験【2023年版】対策と過去問 の中でご紹介した書籍では網羅しきれない範囲を中心とした情報を本ページにまとめました。本記事オリジナルの情報というより文献やネットの画像等をまとめた内容が多く、どちらかというと「情報収集の時間と労力を節約する」内容ですが内視鏡専門医試験の内容に特化した分析をしています。

★2023/07:本記事に掲載されている内容を全て印刷可能なPDFを本文末尾に掲載しました(パスワード設定あり)。ぜひ印刷してご利用ください。



1.膵胆管合流異常、膵管癒合不全、輪状膵まとめ
2.遺伝子検査+免疫染色まとめ
3.マイナー感染症関連まとめ(スピロヘータ、エルシニア、寄生虫など)
4.EUS関連 ※
5.ESD関連 解き方のコツ ※
6.ポリポーシス関連 ※
7.治療薬関連 ※
8.予想問題
9.キーワード集 (約40個)

上記のような内容となっています。※印のついた4~7については情報量が少なく他の書籍をちょっとだけ補うおまけ程度の内容なので、予めご了承ください。





前提として、本記事を参照する前にまず「解答と解説 第5版」、「消化器内視鏡ハンドブック」、アトラスの内容を優先的に頭に入れ、それでも足りない部分を補う形で本記事を利用してみてください。

本記事の各項目内容が試験において出題される頻度はそれぞれ100問中1-2問程度と思われますが、基本的な部分を押さえたうえで「多数の受験者が十分準備できない範囲」を少しでも多くカバーすることが合否に影響を与えます。

内視鏡専門医試験は「解答と解説 第3版」など2010年頃の試験内容と最近の試験問題を比較すると試験問題が着実に難化しており、受験者の試験対策もそれに対応して高度になってきています。正答率が高い設問を確実にとった上で「他の受験者がやや苦手な範囲の設問」をとれるかどうかが合否の分かれ目となる可能性があります。

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無料公開部分サンプルとして、後半の内容一部掲載します
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 以上、無料公開部分のサンプルでした 
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では早速ですが膵管癒合不全関連のまとめからです。




1.膵管癒合不全、輪状膵、膵胆管合流異常

2018年、2019年、延期後の2022年2月と3回連続で1問ずつは膵管癒合不全や輪状膵に関する設問があり、今後も1問は出題される可能性が高い範囲です。
私は試験勉強の中でもこの範囲とEUS関連範囲が最も後回しになっていました。理由として

①臨床で膵胆管合流異常については経験があるが、輪状膵や膵管癒合不全については経験がなくイメージが湧かない→とっつきづらい印象
②「解答と解説 第5版」のp276問題25、p283問題29で解説を読んでも「腹側膵原基が回転する際の異常」など文章だけではよく分からず、学生時代のときから発生学って複雑で苦手…という意識もあり「ここは難しいし正答率低そうだから捨ててよさそう」と無意識にレッテルを貼っていた

という2点があります。
他の記事でも本記事の冒頭でも書いていますが、こういうちょっと捨てたくなる範囲こそ合否の分かれ目になる可能性がありますし、EUS手技関連の設問等と比べれば癒合不全や輪状膵の方がだいぶ得点しやすい範囲だと思いますので最低限の知識はおさえておきましょう。


1-1.正常な膵胆道の発生

個人的にはこの範囲、まず正常な膵胆道の発生を図で理解すればかなりとっつきやすくなると思います。
 (もしかしたら皆様国家試験の勉強で当然のように理解されているかもですが… 恥ずかしながら私はSantorini管とWirsung管についてずっとよく分からないまま消化器内科をやっていたのでこの試験でやっと理解しました)

まずは正常な発生につき下図をご覧ください。

膵胆道の発生(胆と膵 Vol.41(11), p1085-1092, 2020)

次に上図について文章による説明をごらんください。

膵胆管合流異常を理解するためには、胎生4週から12週までの発生を理解することが肝要である。

①まず胎生4週のはじめに前腸腹側に肝憩室といわれる突出が生じる。この肝憩室は原始総胆管(肝外胆管)、胆嚢原基と腹側膵原基の二つの突出部を有する。胎生4週の中頃には前腸の肝憩室対側に背側膵原基が認められる。

②胎生6週から内臓回転が始まり、腹側膵原基は原始総胆管とともに回転し背側膵原基の尾側下方に位置する。

③胎生7週には腹側膵原基と背側膵原基の癒合は完了し、遠位の背側膵管腹側膵管が癒合し主膵管が形成され、近位の背側膵管副膵管となる。

胆と膵 Vol.41(11), p1085-1092, 2020

発生学が苦手な私としては「前腸」とか「原基が回転」という表現をみるだけでおなかのあたりがヒュンッとしてしまうのですが、実は胆膵だけなら結構単純です。ポイントとして

・膵頭部(腹側原基)と膵体尾部(背側原基)はもともと別のところにいたのがくっついた(だから頭部と体尾部でランゲルハンス島の分布に差があったり疾患の発生頻度が違うのかな?と想像しました)

・もともと体尾部と腸管をつないでいた背側膵管の方が細く副膵管となり、あとからやってきたぽっと出の腹側膵管が主膵管となる

この2点を押さえておけば全体像を覚えていられそうです。腹側・背側がごちゃごちゃになりそうなときは「体尾部の方が膵頭部より背側にありそう」→「体尾部=背側」というイメージでどうでしょう。

ここまで理解したら、
 背側膵管=副膵管=Santorini管
 腹側膵管=主膵管=Wirsung管
この英語も結びつけておきましょう。個人的には
 ・SantoriniのS=サブ(副膵管)のS=「背中」のS
 ・WirsungのW=メイン(主膵管)のMを上下反転
という感じで何とかこじつけて覚えています。


1-2.膵管癒合不全

さて、正常の発生が理解できたら異常についてみていきましょう。引用が少し長いですが試験に必須な箇所は少ないので、適宜かいつまんでご覧ください。
下図をみると、「膵胆管合流異常も膵管癒合不全も、どちらも膵原基の発生異常の仲間なんだな」というイメージが湧くと思います。


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