(43) 早わざ
星さん、花粉症の具合はいかが? 先日のパーティに欠席なさったので、お会いできなくて残念でした。
あの日、パーティの前に、あなたもご存じの中村さんと、Sデパートの3階で待ち合わせしました。彼女は衣装道楽なの、ご存じでしょう? 着飽きた服を、いつも私に回してくれているの。おしゃれでセンスのいい人だし、サイズも私と合うので、ほんとに助かってます。
その時も、彼女に頂いたワンピースを着ていたら、 「あなた、まだその服を着てるの!」と、会ったとたんに言われました。
「この方がよくない? どう?」
彼女はその時も持って来てくれてた紙袋から、うぐいす色の、とろりと柔らかいワンピースを、取り出したの。
「すてき! それ、とってもいい」と私が喜ぶと、彼女はあたりを見回して、 「ここで着替えちゃいなさい、見張っててあげる」と、背を向けました。
で、私やっちゃったの。うぐいす色のワンピースを頭からかぶって、その下で古い服を脱いで、なんとかワンピースをひっぱり下ろしたとたん、目の前の壁だと思っていた所が、スーッと開き、どやどやと人が現れて、仰天しました。
エレベーターのまん前だったの! 近くに洗面所もあったのに、あんな所で大胆にも着替えしたなんて!
メガネを忘れると、恥も見えなくなるのね。おお、はずかし!
服は着心地満点で、他の人にもほめられたけど、会場で思い出すたび、背中がくすぐったくて、吹き出しそうで・・。でも会は、14人で、近況を話し合って、ほんとに楽しかったです。今度はぜひご一緒しましょうね。
くれぐれもお元気でいらしてね。 堀 京子
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