(68) おとまりごっこ
「ママ、いってきまぁす」
「ママ、おやすみなさーい」
信くんと かっちゃんは、パジャマのまま、エレベーターに のりました。
10かいの 3ごうしつの ベルを ならすと、おにいちゃんが きた! と、しゅんちゃんが 大よろこびです。
3にんで へやに しきつめた ふとんの 上に、どうんと ころがって、 おしっくらを やりました。
それから、まどから、ずっと 下に ひろがる ひかりを みつめます。
「はなび、みえないねぇ」
しゅんちゃんは、いつも そう いいます。
「また みえるよ。しゅんちゃんが 4つに なったらね」
信くんは、いつも そう いって やります。
なつやすみの あいだの、おまつりの よるに、はなび たいかいが ありま した。ママは、信くんと かっちゃんを つれて、10かいの ともだちを たずねました。それが、しゅんちゃんの へや だったのです。
そのとき、まどから たくさんの はなびが みえて、3人で ずいぶん はしゃいだあと、そのまま あたまを そろえて、ねむって しまいました。
その日から、もうなんども、10かいと 3かいの 〈おとまりごっこ〉が、つづいて います。
「おにいちゃん、おしっこ」
信くんと かっちゃんは、すっかり はりきって、りょうがわ から しゅん ちゃんの 手を とりまし た。おにいちゃん だもの。
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