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  2重窓を入れた日

今日は2重窓の作業員が来る日。あいにく私の通院と同じ日なので、義姉に出迎えだけ頼んで、8時半に近所のかかりつけ医へ電動自転車を走らせた。体調に変わりはないと伝え、処方箋をもらって、大急ぎで帰宅。9時20分だったかな。

夕べ工事所の所長にTELした時には、午前中は所長ひとりで来て、後から
ひとり来るといい、終るのは夕方になる話だったのに、すでに所長も含めて4人の大男達が、ガレージで作業を始めていた。

朝の9時半なのに、今日の暑さは早くも30度近い感じだった。ガレージの屋根を通して、陽射しが照りつけるので、全員汗まみれ! それぞれ扇風機付きのシャツを着ていて、音付きで動き回っている。

私はすぐに2リットル瓶に2本、麦茶を用意して〈氷入り梅ジュース麦茶〉と〈氷入り単純麦茶〉を、椅子の上に乗せ、いくらでも飲んで、と ガレージに持ち出した椅子の上に置いた。

2重窓とはどういう風につけるのか、知りたかった。想像がつかなかったのだが、なんだ、元のガラス戸をそっくり外して、縁をすべてはずし、2重窓をはめ込んで、また元の形に戻すのだとわかった。新しい部分にふたつ目の鍵がついていた。開け閉めは、全体に重くなった感じがする。

何しろ数が多いのと、窓の手前の荷物をすべて下ろす手間もある。前日に、私もあちこち動かして窓を外しやすいようにしたつもりだったのに、玄関、手洗い、洗面所の窓まわりなどは手つかずのままだったので、細々した物を下ろすのも、皆やってくれて、仕事はどんどん捗り、最後のガラス窓拭きをすべて完了させたのは、12時半だった。

義姉と私のランチは毎日11時半頃なのだが、今日は終るのを待つことにした。彼らもあれだけ汗をかくのだからと、羊羹を大切りにして、麦茶といっしょに出したら、にこにこしながら、おいしそうに食べてくれた。

その間所長は、私にすべての戸と窓を点検させ、鍵の開け閉めを教えてくれた。義姉も加わって、留守をする時の2つ目の鍵のかけ方をやってみた。 所長がガレージに戻った頃には、3人は麦茶のお代わりもして、残っているのは羊羹ひと切れだった。所長は味わう暇もなく、大口のひと口で頬張ってしまい、皆笑い声を上げていた。

「こんなに早く終るようにしてくれて、ほんとに有り難うございました」と、深く頭を下げながら、窓やガラス戸や道具の山を乗せた車を見送った。 私がそう言ったのには、理由があった。

昨晩急にTELが入り、親友の死去を知らされ、通夜が3日の夕方6時に
カトリック教会で行われると伝えられた。それで所長に電話し、5時20分には家を出たいので、何時頃に作業が終るかを知りたいと伺ったため、所長は予定を変え、一気に4人で作業にかかることにしてくれたのだ。

そのお蔭で、3時からカレーを作って、4時過ぎには義姉と夕飯をすませ、予定通り5時20分に出かけられたのだった。

「今日は遅すぎる昼ご飯と、早すぎる夕ご飯だったね」と義姉と笑い合った。その日の自分の通院や作業の賑やかさで興奮気味で、その時にはまだ、長年の友の死の真相も知らず、その知らせの重さが心に届いてなく、実感がまるでなかったのだ。


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