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(112) したきりすずめ

あさごはんの ときです。かっちゃんは やきのりを 口に いれかけて ふいに いいました。

「ぼく した きられちゃうの?」

ママは びっくりの かおです。

「だって、したきりすずめは のりを たべて した きられたよ」

光ようちえんで、えほんを よんで もらったのです。

「こっちの のりだよね。ママ。のりを なめたんだもの」

信くんは、びんづめの とろとろした のりを とりあげました。

ママは また びっくりの かおになりました。

「くろい のり なんかじゃないのよ」

ママが せつめいを はじめた とたん、かっちゃんは、あれだ、とさけんで とんで いきました。こども べやから もって きたのは、チューブいりの 〈やまとのり〉でした。


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「これ おいしくないよ」と、かっちゃんが いうと、 信くんは うなずきました。

「すずめは きっと はらぺこ だったんだよ」

ママは ふきだしました。それから、こう いいました。

「ふたりとも、えほんの さしえを ちゃんと みなかったの? したきりすずめの おばあさんは、ごはんか、おこめの こなで、とろとろの しろい のりを つくったのよ。むかしは、しょうじを はったり、きものを ぴんとさせたい とき、そんな のりを つかっていたの」

「なあんだ、しろい のりかあ」と、ふたりは いいました。

ほんとに わかったのかな、じつぶつを みてないのに・・。

ママは、あとで つくって みせなくては、と おもったのでした。

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