見出し画像

【連載小説】一途な気持ち 1話 彼女への思い

#一次創作 #連載小説 #一途な気持ち #彼女への思い  

 今日は俺の誕生日。大好きな田下律子たしたりつこが祝ってくれるらしい。とは言っても、交際しているわけじゃない。付き合いたいとは思っている。でも、律子がどう思っているか分からない。馬が好きで、本州からわざわざ引っ越して来たらしく、牧夫をしている。

 俺は大山大輔おおやまだいすけという名だ。年齢は26歳で、職業は実家の農家を手伝っている。トマト、米、野菜を作って農協に出荷している。本当は札幌か東京で生活したい。都会は何でもあるから。こんな山奥じゃあ、出逢いもない。律子はいるが果たして交際まで発展するかどうか分からない。

 家は両親、俺、弟、祖父母の6人暮らし。祖母が趣味で好きな花を植えている。主にパンジーが多い。祖父は農家を手伝っている。
大道道子だいどうみちこさんという、パートが来ている。多分、60代だろう。はっきりした年齢は訊いたことがない。大道さんは、家の農家で働くようになって10年くらいは経つのではないだろうか。よく働くおばさんだ。

 今の時刻は16時過ぎ。律子の牧場の仕事は、19時から夜飼いと言って、この時間から餌や水を与えている。だいたい30分くらいかかる。前に遊んだ時も夜飼いが終わってシャワーを浴びてから、町におりてきた。町までおりてくるのも約20分はかかる。だから会える時間は20時半くらいになる。

 俺の誕生日はレストランを予約してくれたらしい。23時まで営業している。何とも嬉しい話しだ。仕事を終えてから来てくれるから疲れているだろに。休みも月に数回しかないらしいし。大変な仕事だ。訊いた話しに寄ると給料もそんなによくないようだ。

 今は19時頃でそろそろ出かける支度をしようと思う。まずはシャワーを浴びる。季節は夏だから、汗臭くならないように入念に体を洗う。お風呂場から上がって、黄色いTシャツとベージュのチノパンを履いた。そして少量の香水を振りかけた。レモンスカッシュの香り。いい匂いだ。髪の毛は短髪なのでドライヤーで乾かし、そのままにしておく。セットをできるような長さではない。以前、髪をセットできるくらいの長さまで伸ばしたことがあるけれど、似合わない。俺には短髪が似合っているようだ。

 律子の存在は僕の両親は知らない。高校生の頃、スマートフォンをアルバイトをしたお金で契約した。彼女のスマートフォンは親に買ってもらったらしい。当時、俺はすぐにメールアドレスと電話番号を教えてもらった。もちろん俺のも教えた。この頃から僕は律子に気があった。

                            つづき……


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?