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小屋とそうじゃないものの境界2

ここ数年、物置小屋、作業小屋の写真を撮り続けているうちに、「果たして小屋とはなにか?」という悩みを抱えるようになりました。それを書いたのが前回でした。

簡単にまとめると、オフィスのロッカーは畑に置かれたら小屋といってもよさそうだけど、では冷蔵庫はどうなんだろう? 何かを収納していたら、冷蔵庫も小屋としていいのではないか?という悩みです。
下の写真のような状況ですね。

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私は写真を撮るにあたり、小屋を「屋根と柱があり、雨や風、日射しを避け、物を収納するための、または作業をするための建築物。壁はなくても構わない」と定義しているのですが、厳密に「屋根と柱」という形状にこだわるなら、冷蔵庫はやはり小屋とは言えないか、、、というところで話は終えました。

そして!
 記事アップ後にSNSを通じて知人のSさんから、「古いワンボックスカーも小屋になっちゃうの?」という問い掛けが届きました。
そう、そこなんです! クルマに限らず役割を終えたものが、新たに小屋になれるのか?という問題が提起されたのです。

Sさんが頭に思い浮かべたのは畑などに置かれたクルマのこと、つまりはこういうことですね↓。写真はトヨタの初代ハイエースです。

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収納の役割をしっかりと果たしていますので、私の中では立派に小屋です。分類するなら「役割転用型」とか「廃車小屋」となるでしょう。

転用型といえば、ワンボックスカーのほかにも、トラックの荷台や鉄道の貨車も結構多く見られます。

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こちらの荷台には柱と屋根がついていました。もう完全に小屋です。テールランプの形状からかなり古い車の荷台だと推測できますが、サビが少なく、きれいな状態です。石の台座で荷台を地面から浮かせていることからも所有者がこの小屋を大事にしていることがわかります。

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これは、小屋と一体化して建てられています。内部では接合部分がどのようになっているのか、とても興味が湧きます。仕切りがなければ、相当に広いスペースが確保できているはずです。トタンのサビ具合といい、ペンキの剥げ具合といい、味わい深くて、眺めていて飽きのこない小屋です。

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屋根付き貨車です! わざわざ屋根をつけているところにこだわりを感じます。雨どいのしつらえも丁寧で、持ち主の几帳面さが伝わってきます。

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こちらは政治家の後援会事務所として活用されていました。背後の民家の壁と色を合わせていて、さり気なく景観に配慮しているところがさすがです(笑)。


そして私がこれまでに出会った一番大きな乗り物転用型の小屋は船室です。漁船ではなく、遊覧船やプレジャーボートの船室でしょうか。知識不足でわかりませんが、船室はユニットで取り外しできるものなのでしょうか。
エアコンの室外機が背中に乗っているので、事務所として使われているのかもしれません。

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これらのクルマや貨車、船室は最初の役割を終えた後に、まさか自分は小屋になるとは思ってもいなかったでしょう。どのような巡り合わせでそこに辿り着いたのかはわかりません。しかし、彼らは幸か不幸か新たな役割を与えられ、日々全うしています。
いつの日かその役割を終えた時に、撤去されるのか、そのまま草木に覆われて朽ちていくのか、いずれにせよ、第二の人生を送っている彼らには「よく頑張っているね」と思わず声をかけたくなる愛おしさがあります。

そうそう、最初にお見せした初代トヨタハイエースの小屋はイタチの家にもなっていました。
なんだか一冊の絵本になりそうなシーンだと思いませんか。

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(つづく)
                              2020.02.05 


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