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小屋に出会う2「小屋とトタン」
こんにちは。小屋の魅力を伝えたいということで始めたページの2回目です。
立ち寄ってくださり、ありがとうございます。しばしお付き合いいただければ幸いです。
私が紹介しているのは、畑や田んぼ、漁港などに佇んでいる物置小屋や作業小屋です。内部には農機具や漁具など、そこで働いている人たちが必要としているものが収納されています。
日本の小屋はトタンだらけ?
そんな小屋の写真を見た方の多くが「トタンが多いですね」とおっしゃいます。そう言われてみればご指摘の通り、トタン壁の小屋が圧倒的で、そうでないものを探すのが大変です。
小屋の魅力を伝えるのに避けては通れない、小屋とトタンの関係について考えてみたいと思います。
トタンといっても様々
まずは具体的に写真を見ていきましょうか。埼玉県川越市の小屋です。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16363478/picture_pc_a2e57d61036d40907eca781897dd6dc9.jpg?width=1200)
まだ傷みもなく、窓も扉もないのでのっぺりしていて無表情です。これぞトタン小屋というお手本のようです。
![A91A9839-2補整_しまうま](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16356818/picture_pc_b3f1cf1435bf5e23e0be15a63f751586.jpg?width=1200)
では、こちらの小屋はどうでしょう。青い部分はどうやら手塗りのようです。錆も少し出てきています。
扉やトタンのつなぎ目の収まりが綺麗で、スッとしていると思いませんか。美しい佇まいです。(宮城県白石市)
ツギハギはトタンのお家芸
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16361911/picture_pc_e4485fb3df98dd85f30547559672f8c2.jpg?width=1200)
おっと、見事な全面トタンのツギハギです。なんだか愛嬌がありますね。端材のツギハギ利用はよく見受けられます。
ここで一つ見逃せないのは、右側の窓部分が半透明なポリ塩化ビニル(塩ビ)の波板で覆われている点です。拡大してみましょう。
なんと!小技が利く
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16366010/picture_pc_8cab3f81bd1a34fe3ebdb4d3e4b7dade.jpg?width=1200)
トタンも塩ビも波板の規格が同じだからこそできる技です。こうした点は便利ですね。それにしても冬は寒そう!(宮城県栗原市)
トタンは錆てこそ
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16365516/picture_pc_2a402989272d253bead9c6d9111af1ef.jpg?width=1200)
トタン=錆と思い込んでいるのはレトロマニア、廃墟マニアの方ですね。いや、味があって私も好きですけど。(埼玉県志木市)
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16367905/picture_pc_d0ee98aaad868e3f77fffe3d16599ad0.jpg?width=1200)
この小屋もツギハギのトタンで覆われていますが、壁の左上部分に壁の下地が見えています。明るく拡大してみると、、、
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16368051/picture_pc_769f4dace4b29ffc9924bd0f5896a403.jpg?width=1200)
土壁でした! あらためて小屋全体を見回すと、瓦屋根で立派なつくり。トタンは土壁の劣化を防ぐために後から打たれたもののようです。トタンは古い小屋も覆っているのですね。(兵庫県南あわじ市)
さあ、ざっと見てきました。
実はトタンは合理的
トタンは大量生産された工業製品で、どこででも安価に手に入ります。それゆえ、お金をかけない小屋の建築にはぴったりな素材です。特徴的な波型の形状は縦への強度が強いという特性も持っています。
トタンは鉄に亜鉛をメッキしたものです。表面に傷がついて鉄がむき出しになったときに、亜鉛が先に錆びることで、鉄が錆びるのを防ぐのだそうです。これを犠牲防食というのだとか。つまり鉄は長期間、無傷で強度も落ちないということなのです。
なんと!!これなら日本中トタン小屋が席巻するのも無理もない!
古い小屋も土壁を塗り直したり、木の板張りを打ち直したりするのにはお金がかかります。それだったら・・・とトタンを打ってしまった方が安上がりなのです。
でも味気ない、、、
うーん、そうなんです。確かにそれは否めません。新しいトタンはのっぺりとしていて味も素っ気もありません。小屋を愛する者としては合理性よりも味わいを大事にしたいところです。
でも写真をご覧いただいた通り、トタンの状態にも色々あることがおわかりかと思います。ペンキが塗られていたり、ツギハギだったり。サビもあったり。そこに一つ一つの小屋の個性が立ち現れています。
![A91A9813 補整_しまうま](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16384027/picture_pc_dd871102ee212d49f9809ed19d95ab14.jpg?width=1200)
気が付けば
無機質なトタンという素材の小屋も、所有者によるカスタマイズや時間の経過とともにいつしか風景の中に馴染んで、私たちの前にあるのです。
無表情と思っていた小屋が何年も経つうちに、気が付けば味わい深い小屋に成長?しているかもしれません。経年劣化ではなく経年優化と思って温かく見守っていこうと思います。
2019.11.27
(つづく)
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