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安全な内視鏡室にするために!薬剤の投与間違い

こんにちは、内視鏡技師エンドーです

私は、そこそこ件数の多い内視鏡室で内視鏡技師・看護師として活動しています

主な仕事は、内視鏡の管理とスタッフ指導、内視鏡看護の取り組みです

今日は、安全な内視鏡室にするための取り組みの中で「鎮痙剤の投与間違い」を防ぐためにしていることを紹介します

薬剤の投与間違いは、重大事故にも繋がります


間違いを防ぐ鍵は、検査室と病棟看護師の連携です

でも、病棟看護師が正しい申し送りをしてくれるとは、限りません

特に、緊急入院の患者さんとなれば、既往歴を把握する前に、内視鏡出棟を言われることも、しばしば・・・・

そんな、病棟看護師の現状も踏まえた上での対策が必要になってきます


鎮痙剤の投与間違いが起こりやすい理由

1つ目の理由は、検査室と病棟看護師の、温度差です

ほとんどの病院が、入院中の患者さんは、病棟からの申し送りを受けて検査をしますよね
でも、その申し送りで「ブスコパン禁忌疾患はない」と申し送られたけど、実際は禁忌疾患があって、誤投与してしまうことが多いのではないでしょうか

副作用として、投与1分後には、心拍数が倍近くまで上がることや、前立腺肥大の方は排尿できなくなり、導尿が必要になることもあります

どちらもブスコパンの効果が切れると、改善しますが、患者さんにとっては実害のあるインシデントです

実は、病棟の看護師は、ブスコパン禁忌疾患の患者さんにブスコパンを投与すると何が起こるのかを知らないことが多いです
(もちろん、禁忌疾患は知っていますよ)


2つ目の理由は、情報収集をする時間の確保が難しいことです

検査室の場合、たくさんの患者さんの既往歴を全て把握する時間がないことが、現状ではないでしょうか

外来の患者さんには、問診票を渡して記入してもらいますが、入院中の場合は、申し送りに頼るしかない時があります

それは、病棟も同じで、特に緊急入院ですぐにERCP!止血内視鏡!となると、情報収集する時間もなく、検査室から呼び出しがかかります

お互いが、時間なく内視鏡処置が始まることは多々あります

そういう時ほど、インシデントが起こりやすいことを意識しないといけません


鎮痙剤の投与間違いを予防するためにしている3つのこと

1、タイムアウト

検査を始める前に、患者、医師、看護師で以下の項目を、
病棟からの申し送り記録用紙とIDカード、同意書を使って確認します

・患者氏名、生年月日
・ブスコパン禁忌疾患の有無
・抗凝固剤内服の有無
・アレルギー
・オピオイド内服の有無
・同意書

情報収集の時間が確保できなくても、医師、患者本人に確認することで、検査直前に間違いに気づくことがあります

この方法が、インシデントを予防するには、1番有用だと思います


2、病棟への勉強会

内視鏡技師が病棟に出張して勉強会をします

主に、検査の正しい出棟の方法、ブスコパン・グルカゴンGの鎮痙効果の比較、鎮痙剤の副作用、抗凝固剤の注意点をスライドを使って講義に行きます

当院の内視鏡技師は、私1人なので、そこそこ忙しくなりますが、技師が数人いる病院では、分担してできるのでオススメです

勉強会は、内視鏡に必要な知識を知ってもらえるので、間違いを防ぎやすくなります

それに加えて、病棟看護師が疑問に思ってるけど、普段聞けないことも聞いてくれるので、私も、病棟看護師の困りごとを知ることができます
それが、今後の活動にも繋がります

病棟看護師と友好な関係を持つことは重要です!


取り組みの効果

タイムアウトを開始しての効果が、一番わかりやすく、半年で投与間違いのインシデントが3件から0件になりました


インシデントを防ぐためには、起こった時の振り返りの対策も大切ですが、普段からの環境作りを積み重ねていくことも重要です


この記事が皆さんの明日の仕事の役に立てば嬉しいです

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