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内視鏡室でタイムアウトを始めました

こんにちは、内視鏡技師のエンドーです

私は、主に、内視鏡室の管理、スタッフ教育をしています


今回は、主に内視鏡で働くコメディカルに向けての記事です


最近は、内視鏡室でも間違いを防ぐために、タイムアウト を導入している病院も多くなってきました

でも、タイムアウト導入って言っても、

何から始めればいいの?

どんな項目を確認するの?

って思いますよね?

今回は、タイムアウトを始めるまでの3つの工程について書きたいと思います。

みなさんの、明日の仕事の参考になれば嬉しいです

工程は以下の3つです

1、導入前の情報収集

そもそも、なんでタイムアウトをしようと思ったかですが、

・鎮痙剤の選択間違いが起こったから

・同意書がないのに、外来コールドポリペクトミーをした(患者さんには説明されたいましたが、同意書を預かっていなかった)

・病院機能評価で患者確認の方法を確認されたから

・他の病院でも、すでに実施されていおり、トレンドだから

患者確認の方法はもちろんありますが、医師、看護師と患者さんっていう3者での確認方法ではなかったんです

もっと、安全に検査をすることを考えると、患者さんにも一緒に確認してもらうのが1番ですよね

そこで、他の病院がどうやってタイムアウトをしているのか情報が欲しい!と思ったので、日本内視鏡技師会の過去の抄録を参考にしました

日本消化器内視鏡技師会の会報誌や、学会のサイトで過去の抄録を閲覧できます

日本技師会の会員であれば、事務局にメールでパスワードを確認すれば、閲覧が可能になります

地方の技師会も同じように抄録が見れるので、私は、そのために地方の技師会にも入っています

他の病院の方法を知る、トレンドを知るのは、どんなことでも大切です

先人の知恵を借りるために、とにかく記事を探しては読みまくります

そこから、どんな項目を確認するのか、どうやって進めていくのかを考えました


2、タイムアウトの内容

以下の項目を確認しています

1、患者氏名・生年月日

2、内視鏡画面に表示されている氏名が間違いないか

3、抗コリン剤の禁忌疾患の有無と用意する鎮痙剤の確認

4、抗凝固剤の有無(内服があれば休薬期間も確認)

5、アレルギーの有無・内容

6、同意書の確認

7、検査目的

8、検体の数・生検部位の確認(検査後)

この項目は、他の病院のものを参考にしました。それに加えて、当院で鎮痙剤の間違いと、同意書を預かっていなかったインシデントが起こったので、そこから検討しました

過去のインシデント事例も見直しました

全部、間違いが起こると重大なインシデントに発展しかねない項目だと思います


3、タイムアウトの実施

タイムアウト実施にあたり、医師も含めてスタッフ全員に同じ項目を確認してもらうための工夫が必要です

他の病院では、内視鏡画面の下に項目を書いた用紙を貼る、記録用紙に項目を書くことが多いようです

当院では、確認項目を患者、医師、看護師のパートに分けて、それぞれのセリフ・何で確認するかを書いた確認用紙にしています

例えば、医師「お名前と生年月日をお願いします」患者「はい、〇〇 〇〇です」看護師「診察券で確認する」という確認項目を一覧表にしています

項目だけを一覧にしなかったのは、確認する材料(診察券、問診票、記録用紙)も統一したかったからです

他の理由として、タイムアウト導入時は、スタッフが、タイムアウトに慣れていないので、戸惑いがありました。セリフを用意すると、そのまま読んで確認するだけなので、慣れるのも早かったように思います

医師からも「ああ、こう言えばいいのね」と確認の方法が統一しやすかったですし、看護師は「どこで(診察券・問診表・記録用紙)確認するのかわかりやすい」という意見がもらえました


タイムアウト導入後

タイムアウトをする前の半年間と、実施後、半年間のインシデントの内容と件数です

実施前:5件→歯の欠損 2件・鎮痙剤間違い 2件・同意書がなかった 1件

実施後:0件

歯の欠損に対しては、ESDで起こったので、ESDの術前訪問も開始しているので、そこで確認するようになりました

インシデントはいろんな要因で起こるので、タイムアウトを実施したから、0件になったわけではないと思います。でも、インシデント発生を少なからず予防してくれるようです。


でも、タイムアウトの難しいところは、実際は、全員が協力的ではないことです。

内視鏡で必要ある?と思う医師や看護師もいます

次回は、協力を得るために工夫したことについて、書きたいと思います














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