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詩「詩かと思えば大抵シミ」

仕事中に思わず
詩を生んでしまう
詩が生まれてしまうと慌てて
デスクの引出におしこめる

でも上司に見つかった
仕事中に詩を生むなと言われてかなしい
利益を生めと言われてつらい

営業先では車の中に
詩を放りこんでいくから
失礼することはあまりない
それでも生まれてしまった時は汗をかいて
ひた隠す

営業車は詩でいっぱい
カーステから流れる音楽を食べて
詩はお腹いっぱい
勝手にシフトレバーを押そうとする詩がいるので
たしなめる

コンビニ弁当と缶ビールと詩を連れて帰宅
部屋は詩みたいな死体でいっぱい
今日も生まれてしまった詩をしげしげ眺めて
チキン南蛮をビールで流しこむ

第三のビールが終わってしまう
悲しい
詩が笑うのでむかつく
甲種の焼酎をロックで飲んでやる
詩がまとわりつくので
勢いよくひっぺがして
壁に叩きつけてやる

利益は生めない
詩もほんとうには生まれない
部屋は今日も詩みたいな死体でいっぱい
血の鉄臭さがわずらわしい

今日も部屋で画面上の女の子と眠るだけ
悲しいのに
詩が生まれるから
寝返りうって潰してやる

明日もきっと詩を生んでしまう
明日もきっと損失を生んでしまう
明日もきっと利益を堕胎してしまう
明日もきっと詩みたいな死体でいっぱい

詩みたいな 死体でいっぱい
詩みたいな 死体にまぎれて
詩みたいな

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