見出し画像

ゼロから始める撮影部生活

動画系のカメラマンになりたい、カメラを握って仕事がしたいと思ったことはあるだろうか

そう思った人は、早速ネットで映像に関する仕事を調べてみるといい。

すると、映像のエディター募集やディレクター募集は沢山あれど、ムービーカメラやシネマカメラを扱う仕事の情報は本当に少ないことが分かると思う。

なぜか映像をやっている現役の人でこうした記事を書いてくれる人が少ないので、知識がない人にとってはどんな風な職種なのか誠に想像しづらい

そこで、今回は(CMを中心とした)撮影部について説明していく

1撮影部とは
2撮影部になるには
3仕事の楽しさ

4最後に

1撮影部とは

撮影部というのは、簡単に言うとカメラの周りに張って映像を記録する人たちのことだ。

「人たち」なので、複数人いる。
バラエティなどのカメラマンを見てカメラなんて1人で扱えるだろうと思う人もいるかもしれないが、映像を撮るのに実際に必要な動作は沢山ある

ズームをしたり、フォーカスしたり、上下左右に動かしたり、あるいは回転させたり、ワンマンでやるには少々手数が多い。

今は想像しやすいように、操作の話について話しているが、実際はカメラに収まる画の明るさや記録できる時間の長さ、カメラワークなどを先行して考えたりするなど、本当にやることは盛り沢山なのだ。

そこで、カメラを扱うカメラマンには助手の人たちがついている

基本的に助手はチーフと呼ばれるファスト助手(ファストとは呼ばない)からサード助手までいる

チーフはカメラマンが考えた画を成立させるために、機材の組み合わせや使い方を考えて現場を仕切り、主にカメラのアイリス(露出)を管理したりする。
故に撮影部の頭脳にあたる。

セカンドはカメラの設定や記録するメディアを管理、記録し、カメラの1番近くに張って主にフォーカスを手伝う(フォーカスブラー)
カメラマンの中には、カメラを一切触らずに動きまで助手にやらせるという人もいるので、そういう場合にはチーフやセカンドがカメラを操作する。

サード主にモニターを管理したり、機材を全体的に管理する
カメラは1台でも、カメラに関わる機材は沢山ある。
それらが、どこにあるのか把握しておかなければいけない。
チーフやセカンドがやること以外のことをやる、というのがざっくりとしているが的確な説明だ。

このように、撮影部はカメラに関わる仕事を分業して行っている

2撮影部になるには
撮影部になるには、専門学校や美大、芸大に入ることが1番の近道だ。
撮影部を生業としている教授やOBOGも沢山いるので、助手不足の昨今、すぐに仕事を紹介してもらえる(と思う)。

しかし、そうしたルートに縁がないあるいはなかった人に向けて書いている記事なので、それ以外の撮影部のなり方について紹介していく。

○機材屋に入る

撮影部は資格や学歴は全くといっていいほど必要がないが、入るにあたって多少の知識は必要である。

しかし、最初は知識も経験もないわけで、一切をどうしたらいいか分からないだろう

そこで、うってつけなのが機材屋に入ることだ。

機材屋は、撮影部に向けて機材をメンテナンスして、機材の組み合わせをコーディネートして機材の貸し出しを行っている

ということは、機材屋にいればお金を稼ぎながら沢山の機材が勉強出来る

主な機材屋さんは、三和映材社、ナックレンタル、小輝日文、東北新社、ビデオサービス、CRANK、アークビデオ、アークベルなどが挙げられる。

保有している機材の量もピンキリあるので、是非大きな会社に行ってもらいたいが、その分仕事の量も多いので、予めそこで働く人と話して仕事の内容を伺うことをオススメする

○新卒として制作会社お抱えの撮影部になる

制作会社のなかで、制作部に入ってプロデューサーをめざすには学歴は多少なりとも重視される。
少なくとも私大でいえばMARCH以上は必要だ。

しかし、撮影部に関しては大学、専門を出ていればどこであろうとあまり関係がない

面接に行って、映像への興味や関心とやる気示せば大抵の場合は採用してもらえる。

主には、小輝日文、レスパスビジョン、東北新社、ピクトなどがあげられる。

ポスプロを中心としたリクルートをやっているところでも、年によっては撮影助手を採用し始めるところもある

クリ博ナビなどの専門職向けの合同説明会で撮影助手の仕事がないか聞いてみるのも良いかもしれない。
当日にブースがなくとも、意外なところからコネクションが出来ることもある

ただし、新卒で採用される場合で気をつけてほしいのは、必ずしも撮影部としてはたらけるわけではないということだ。

試用期間などもあり、1年ほど経過した上で全く意図していない部署にいくこともあるかもしれないので、面接の際にはキチンと互いに意志を確認することが必要だ。

○カメラマンや撮影助手と繋がりをもつ

撮影部も人手が不足しており、現在はカメラマンの数よりサードの人口の方が少ないとも嘆かれている。

そのためチーフは猫の手も借りたいほど、助手を探しており、 ギャラの有無に関わらず荷物運びであっても声がかかることもある。

なので、撮影部になりたければ、誰かしらの撮影部と繋がりをもっておけば、あっちから仕事がやってくる。

仕事を重ねて、大学や会社も通過せずにフリーランスから始めることも出来なくはない。

このように、撮影部になる敷居はさほど高くない

けれども、撮影の現場があるのはやはり、東京や大阪、京都、福岡と少なく、地方にいる人はなかなか難しい
まずは、映像の仕事がある土地に出てくることが前提になってくる


3仕事の楽しさ
色んな場所で、色んな人と仕事ができる。
おかげで、田舎の出の僕でもだんだんと東京の地図が頭に入ってくるようになったし、部署の関わり関係なく、人と楽しくコミュニケート出来るようになった。
1年間事務職で働いていたときよりも、息苦しさがなく、本当に精神的にはフリーで働ける。

現場の緊張感と、達成感がある。
撮影は順当にいくことは少ない。
もう本番自体が運で決まる撮影もあるので、その分長丁場の時もある。
緊張感が高い時には、1カット撮り終えただけで、疲れがドッと来る時もある。
そうした大変さを超えて、映像が流れているのをみて達成感に包まれることもある。

日給について考えるようになる。
収入については、どんな人でも考えることだが、フリーランスになると、個人事業主になるので、1件あたりのギャラがどのくらい入ってくるのか敏感になってくる。
もちろん、お金のことだけで仕事をするわけではないが、長い時間働く仕事なので、費用対効果については考えざるを得ない。
ただ、こうした労働感覚は会社員を続けていたら身につかなかったことだろうと思う。

最後に
労働の過酷さを説くつもりは一切ない。
映像業務はキツい業界だから辞めておけというのは、耳にタコが出来るほど聞かされてきた
今この記事を読んでいる人も、まともな仕事なのかどうか分からないと思う。
けれども、やったことがない人に諌められるのはどうも釈然としないので、僕は続けている。
福利厚生もないし、収入は少ないし、一般的に見て体力的に長く続けられる仕事ではない。

それならば、撮影部以外も手に職をつければよい
世の中で景気が盛り上がっても、その一方で失業率が高くなっていることは必然なわけで、失業する危険はどんな仕事でもある。
やっぱり1つの仕事で生きていこうとするのは、株のシステムから分かるようにリスクが高い
だから、日本にも複業のシステムが根付いてほしいと個人的には考えている。

一見記事とは関係がないと思うかもしれないが、映像業界に不安を抱えながら、撮影部になって欲しくはない

飛び込む前に自分の中で生き方、仕事について予め考えてみてもいいかもしれない