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document hunter – 鳥のドキュモン

ひとつのテーマで特集を作る際にはいつもマテリアルを集めることからはじめます。ざっくりとテーマとなりそうなことを決めて、そのテーマにつながりそうな事柄を片っ端から収集していく。今回だと鳥についての漠然としたイメージだけ持っていたので、鳥に関係のありそうな素材をいくつも集めてまわりました。

最初に行ったのはキャビネットの抽斗のなかのチェック。抽斗のなかにはストックとしてポストカードやら雑誌の切り抜きやらグリーティングカードが貯めてあるので、そのなかに何かテーマにつながるものはないか調べてみました。(キャビネットにはいつもドキュモンになりそうなものをいくつかの分類に分けておくことにしています。料理に使うスープ・ストックみたいなもので、ささっと作品を作るときにはこういう風に分けておくと便利です)もちろん、ストックだけですべてが完結することはないので、足りないなと思うものがあったらiPodのメモなんかに必要そうなものをリストにして書き留めておきます。そこで作ったリストを元に、余暇を利用してネットで取り寄せてみたり、あるいは街のお店を丹念に歩いてまわって探したりするわけです。ときには映画を見たり、本を読んだりして、アイデアにつながりそうなものを探してみたりすることもあります。そういうことを続けていると自然に必要そうなものが何であるかわかってきます。なかなか合わなかったピントがカチッと合うみたいな瞬間が訪れるのです。それまではよくわからないまま、あまり深く考えずにポケットのなかに何でも放り込むみたいに収集しているわけですが、一度歯車みたいなものが合うと、いろいろなものが目につくようになります。そんな風に自分の目当てのものがはっきりしてくると、普段意識しているレヴェルでは見えない事物がよりクリアになって見えてきたりします。目的を持つというのは結構大事なことのようで、いつもなら見落としてしまったり興味を持たなかったりするものが、急に輝いて見えたり、はっきりとした輪郭を持って見えてきたりするのです。

そうしてテーマの原材料となるものが蓄積されていくと、ようやくどんな形でまとめていけばよいか具体的なプランみたいなものが頭に浮かんでくるようになります。実をいうと、今回は春ということで当初<鳥>と<花>というふたつのテーマを軸にして”Birds and Flowers”という特集にしようかと思っていました。ですが、いろいろと追っているうちに”鳥”のドキュモンだけでも十分成立するような気配を感じたので、テーマをひとつに絞ることにしました。

そんなこんなでテーマを”鳥”だけに絞ってみても結構なドキュモンが集まりました。紙面と時間の都合上、それらすべてを額装して記事にすることはできなかったので、この場でいくつか紹介してみたいと思います。

1. オランダのHet Paradijsのポストカード。ワイヤーっぽいデザインの家のかたちがどこか不思議な感じを与えます。この家のかたちを利用して額装してみるといいかもしれません。

2. 北欧のKlaus Haapaniemiの鳥のカード。鳥のかたちが自然と調和するようにデザインされているので、とても美しいです。額装の材料としても使いやすいと思います。

3. レーザーカットでくりぬかれた鳥のグリーティング・カード。この手のカードに興味があって手に入れましたが、使えないまま終わってしまいました。

4. そういえばペンギンも鳥類でした。春っぽくなかったので使いませんでしたが、ペンギンはかわいくていいですね。

5. カレンダーの表紙。コラージュされた感じがとてもいいです。当初は鳥と花がテーマだったので選びましたが、結局使われず。

6. 鳥たちの柄のペーパーナプキンとPeter Sisの鳥の絵本。ペーパーナプキンでひとつくらい作品を作ろうと思いましたが、似たような博物画をNatural History Illustrationで作ってしまったので、これは別の機会に。

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