わたしの好きな詩 mes poèmes préférés
「詩…!詩なんて語れない」
それが、今月の「お茶代」の課題を見た時の感想だった。「お茶代」とはわたしが参加している文学サークルで、月の最初に発表されるお題に沿った文章を書いたらひとつにつき100円をもらえる仕組みだ。しばらく休止されていた「お茶代」が再始動するにあたり、ジユー課題で何か書こうと思っていたのに「詩……」みたいな気持ちだった。(ちなみにもうひとつのジユー課題のテーマは笑いで、ユーモアゼロの自分にはもっとダメだと思った)
でもそんな詩に触れてこなかったわたしにも、なぜか好きな詩がふたつほどあるので、その詩を紹介したい。ちなみにどちらもフランスの詩です(安定)
ひとつ目は『Les Roses de Saadi』。マルスリーヌ・デボルド-ヴァルモールによる『サーディの薔薇』という詩だ。
好きな人に薔薇を届けようとして、服の帯に薔薇をたくさん挟んでたら、服の結び目が弾けて薔薇が海に向かって散っていってしまった、みたいな内容の詩なんですが、薔薇の鮮明すぎる赤さとかむせ返りそうな薔薇の香りとかが詩から伝わってきて最高すぎるんです。情景描写も天才的で読んでいると目の前に映像が浮かぶようで、9行の短い詩なのにこの詩から映画作れそうなくらい。そしてめちゃくちゃロマンティックで耽美的。あと服の帯というところも古き良きヨーロッパって感じでとってもいい……ノスタルジーが溢れてる。
もうひとつ好きなのが、『Liberté』というポール・エリュアールの詩。
ポール・エルアーリュは、ナチス政権下のフランスで文筆活動を通じてナチスに抵抗した詩人だ。1942年に発表された『自由』というタイトルのこの詩は、ナチスに占領され絶望の暗い海に沈んでいたフランス人に、再び希望の光を灯したのだとか。こうしたことが積み重なってド・ゴールに繋がっていったんだなと思うともう……ただただ好きでしかない……というか好きとかいうレベルじゃないんですけど語彙が貧弱すぎてそれを形容する言葉が好きか愛しかない。
で、詩の話。
この詩は21節で構成されていて、最後の21節以外は、ほぼ下記と同じ作りだ。
それぞれの節は J'écris ton nom で終わり、基本的にSur(〜の上で)から始まる3行で名前を書く対象物が示される。その対象物は身近で実際に触れられるノートのようなものから、希望のような抽象概念までさまざま。そうして上記のような構成の節が20回繰り返されたあと、君の正体が明かされるわけです。
えぐい……(語彙力の死)
これきっと実際に読んでもらわないと感覚としてわからないと思うんですけど、同じような作りだけどそれぞれ読んだ時の感触が違う各節が20回繰り返されたあとのこれ本当にやばくて。自由ってワードが出てくる時に頭をぶん殴られるし自由!らぶ!ってなる。めちゃくちゃかっこいい。自由を何よりも愛して大切にしている者として、何もなくてもこんな詩好きにならずにはいられないのに、その上にとんでもない歴史的背景があるの、なんかもうやばくないですか??これだからフランスは好き。読むためにめちゃくちゃ自由とフランスがとっても好きだなと思う詩です。というかわたしのなかではフランス=自由みたいなところあるからフランスが好きということは自由が好きということで、自由を愛するということはフランスを愛することなのかもしれない。なんと言ってもLiberté Égalité Fraternitéの国だし。
そしてなんと本人による朗読があったのでぜひ聴いてください。さいっっっっっっっっこうです。(あと文の構成が単純だけど単語はたっくさん出てくるから語彙力強化にいい気もするのでフランス語勉強中の人は特にぜひ)
絶対1000字すら書けないと思ったのになんだかんだ引用除いても1500字くらい書けた。一部ただのフランスの話になった気がしないでもないけど、これは詩の話ということでいいでしょうか。
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