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ジョージ・オーウェル『動物農場』を読んで考えたナポレオンのこと

先日、ジョージ・オーウェルの『動物農場』を読んだ。

この作品は、動物たちが人間に対して反乱を起こして自分たちの国を作る話に見せかけた、社会に対する風刺と批判に溢れた寓話だ。

社会批判という情報はなんとなく知っていたけれど、ほかに何も知らない状態で読み始めた。ジョージ・オーウェルについてもほぼ何も知らず、スペイン内戦に反フランコ側で参加したことだけは知っていたので、資本主義批判でもするのかなと読むまでは思っていた。すると、真逆の共産主義、ソ連批判だった。どうやら共産主義の話っぽいことは読み始めて数ページで気付いてそっちか~くらいの気持ちだったのだけど、ここで個人的に衝撃の文字を目にした。―ナポレオン

登場人物として―そもそも人物ではないのだけれど登場動物と呼ぶのも違和感がすごいので人物としますね―ナポレオンという豚が現れた。

ほかの動物たちは、スノーボールとかベンジャミンとかモリ―とかボクサーとかなのに一人だけナポレオン。

ナポレオンなんて佐藤レベルにありふれた苗字ならまだしもそういうわけでもないだろうに絶対わざとだよね?なんでナポレオンにしたの??どういう意図?しかもこの人絶対悪人でしょ!え、ナポレオン嫌いなの?と出てきた瞬間から疑問符で頭がいっぱいになった。

そして読み終わってみるとナポレオンは完全にスターリン。
ナポレオンの登場からこの話が終わるまで、「この人をナポレオンって名前にすることに意味がないわけがないだろう」と思っていたのに、特にそこに触れた記述もなくて疑問が宙ぶらりんすぎて悲しい。ググっても動物農場のことしか出てこないし、ただの意味のない深読みならそれでいいのでジョージ・オーウェル有識者の人いたら本当に教えてください……

ちなみに、なぜわたしがナポレオンにこんなにこだわっているかというと、ナポレオンのことが大嫌いであんな男が英雄扱いされるなんでありえないと思っているから。

以前ナポレオンが嫌いすぎて―というより英雄扱いされていることが気に食わなさすぎてという方が正しいかもしれない―フランスでのナポレオンの扱われ方について調べたことがあった。

ここの記事にもあるようにナポレオンなんて皇帝になってから完全な独裁者だし、ちょっと戦争がうまいだけの粗野な人間じゃないかと思っていて、英雄扱いされているのが本当に理解できないので、この記事を読んでやっぱりそうだよね!?となんかうれしくなった。

そもそもみんなが自由に平等に暮らすために革命が始まって、ロベスピエールやロラン夫人やダントンのような革命家たちが、やり方は間違ったかもしれないけど革命のためにたくさん頑張って、そのなかで共和制になるために王も王妃も殺されて、革命家たちも貴族もたくさん死んでいったのに、なんで最後にちょっと戦争がうまいだけのあなたが皇帝になってんの??みんなあなたを皇帝にするために死んだわけじゃないんですけど!!革命の理念への冒涜だ!!という話なんですよ。戦争強いし功績が多いのはわかるけど、皇帝になったの本当に最悪。

なのにナポレオンがフランス革命の代名詞みたいに思われてるの許せない。ロベスピエールが知ったらきっと憤死する。

あとはナポレオンは子どもが産めない妻を捨ててこともあろうにハプスブルクの女と結婚したり、そのくせにハプスブルクの皇女だったマリーアントワネットやフェルセンを侮辱しまくったりしたことも人間としても超絶嫌いすぎてむりです!どの面さげてハプスブルクの女と結婚してんの。絶対関わりたくない!!知性が感じられない!野蛮!!嫌い!!!あんなに革命でしんどい思いをしたフェルセンに向かって「王妃の愛人」って馬鹿にするなんて人として最低なので、あの世で地獄の炎に焼かれながら永遠にプロメテウスと同じ目に合っていてほしい。

とまあ、こういう感じでナポレオンが嫌いすぎるせいでナポレオンのことが嫌いそうな匂いがしたジョージ・オーウェルのことがちょっと好きになったという話です。

12月からフランスに行きます!せっかくフランスに行くのでできればPCの前にはあまり座らずフランスを楽しみたいので、0.1円でもサポートいただけるとうれしいです!少しでも文章を面白いと思っていただけたらぜひ🙏🏻