10日目〜娘の変化〜
月曜日。
保育園が休園になってから5日目。
任意で娘のPCR検査を受けられることになった。
保健所もパンクしているようで
まだ濃厚接触者の範囲が特定されていないとの事だった。
恐らく感染はしていないと思ったが
休園でやる事も無いし、安心したくて
PCR検査を受けに行く事になった。
久しぶりに娘と二人で電車に乗る。
妊娠してから割と早めにつわりが始まり
数駅でも気持ち悪くなってしまっていたから
電車に乗るのは少し怖かったが
もう気持ち悪くなることもなかった。
娘は注射が大嫌いだ。
お茶を濁して病院に連れて行った。
看護師さん二人がかりで取り押さえられながら
何とか検査は終了した。
泣き喚く娘を抱っこして宥める。
外に出ると娘はすぐに機嫌が直ってホッとした。
娘は注射や病院が嫌いな割に
終わった後はその事を遊びに変えてしまうのが得意だった。
子供は嫌だった出来事も遊びにすることで
気持ちを整理していると聞いた事がある。
娘はお調子者だがとても繊細だ。
言葉や出来事を驚く程覚えている。
自分が4歳だった頃、こんなだっただろうか。
息子がいなくなってからも
娘は普段、特に変わらないように見える。
だけど息子の事は忘れていないようだ。
「次は赤ちゃんいつ来るの?」
「赤ちゃんまた来てほしいよね〜!」
一緒にいると赤ちゃんの話をよくする。
娘なりに感じる事があるのかもしれない。
息子がいなくなるより少し前から
娘は寝るのが怖いと言い始めた。
保育園の昼寝も嫌がり、保育園に行けない日もあった。
保育園の先生方にも協力してもらい
起きてても大丈夫と伝えて何とか行けるようになったところだった。
そして息子がいなくなった頃から
夜寝る時電気を消さないでと言うようになった。
理由はまだうまく話せないし
自分でもよくわかっていないのだと思う。
でも息子の事があって
漠然とした不安があるのかもしれない。
いつも明るい娘。
私は娘に助けられている。
息子を失っても普通に生活ができるのは
娘のお陰だと思う。
娘の不安をすぐに取り除く事はできないかもしれないが
私は今日も娘の手を握り
明るい部屋の中で眠りにつく。
娘は最近夢を見るらしい。
娘の寝顔を眺めながら
楽しい夢を見ているといいなと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?