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抗議ですか?

 たまには勘が狂うこともあります。
言ったかしら?言っちゃったかな?
指摘されると、私の言葉っぽいようにも。

ヘンテコな自信がありまして、例えば、その人の書いた字や文章を見るなり、読むなりすると、その人の性格的なものが判ります。それはあくまでも私流の統計によるものですが。
おおよそは、ピタッとあたります。
また、声を聴くと、外見が予想できます。
太っちょさん、痩せてガラガラ、
ちょっと太めさん、丸顔さん、四角顔さん、年齢など。

 きっと○○さんは、筋肉質でがっちりタイプ、フェミニスト、あと、たぶん女好き、

 きっと○○さんは、ふっくら系、
ナチュラルファッションで、でも、
持ち物にこだわりありそう。自分のこだわりのある面にだけ神経質などなど。


「彼、ちょーおでぶさんよ、きっと、
甘いものには目がなくて、知識の殆んどはネットで仕入れている。難関国立大卒だけれど、偏狭的な面もある」
そんなことを社内の人と話した、確かに。

その人、Wさんとして、私は全く悪気なんてなくて、Wさんとは、仕事の関係で電話と、メールのみの接触だった。

そのWさんが、今日目の前に現れました。びっくりでした。外見が全く違いました。名刺の交換をした時点で、あれあれ私の勘は大きく外れたなぁとは、私の中に描かれていたWさんのイメージは間違っていたなぁと、瞬時に気付かされたのですが。

 Wさんは、儀礼的に挨拶を終えると、

「仕事の件については、先日お話しました要領で進ませて頂きます。
今日は、たまたま急ぎの用ができましてこちらに来ましてね、ついでと言っちゃあナンですが、あなたに抗議しておかなければと思いましてね。」

抗議?何の抗議?この暑い日に、朝も食欲なくて、麦茶だけ飲んで、出社してきて、いまだ食欲なくて、まさか熱中症じゃないかなとビクビクしているのに、、何の抗議?

「お忙しいようで大変ですね、Wさま、、ウィルス騒ぎもありますし、、台風の心配も出てきましたから、、、お帰りはいつ頃ですか?」

「いえ、今夜最終便で帰ります。」

「それがよろしいですね、、。で、W
さま、、抗議というのは。」

「ベリーさんにお聞きしましてね、
僕、ちょーおでぶさんですか?
僕はこうみえても、読書好きを自認してます。
それに、どちらかというと紙本好きです。
心外です。
まったく。
僕は独身ですよ、嫁はいません、、それを、まさかにです、僕が女性に相手にされないからと想像されませんでしたか? 
勝手なことをおっしゃらないで頂きたい、、僕の顔、あなたにとっては、あなたの美意識には醜いかもしれませんが、僕自身は、醜いとは考えていません。」

ベリーさんは、なんでもオープンで、全てを曝して契約に結びつける主義なのは分かるけれど、秘密よなどとは言わなかったけれど、私が軽いのりで、Wさんの声と、メールの文章より知らない人を想像して、言っただけなのに。そんな事を話題にしなくてもよいのに。

悪気なんて、さらさらなくて、少なくとも、この人イヤな人だと感じたら、決してその人についての話などしない、興味がわく、好い人と感じたから、ああじゃない、こうじゃないと想像してみた、、口に出したのは悪かったけれど。


真剣に謝りました。
ただでさえ小さい体をアリさんほどに縮めて、平身低頭、謝りました。

すると、Wさんはプッと、我慢できなくなった風に、吹き出して。

「冗談です、、冗談です、、。
ベリーさんはベテランですよ、、万が一にも僕がこんなことで抗議する人間だったら、僕にあなたがこのように言ってるなどは教えませんよ。
ベリーさんとは長いお付き合いですから。
あなたに会ってみたかった、それが正直なところです。
小憎らしい人だと思いましてね。

一度会ってみたかった、、。
満足です。会えて。
今後とも、うちの会社も僕も宜しくお願いします。」


なーんだ、、ペタペタ頭を下げて損した、、なーんだ、びっくりだった。

あ、でも、この冷や汗感、悪気はなくても、不用意に人様のことを口に出すのは今後はやめよう、、思うだけならば許されるのだからと、強く思い決めました。しかし、

Wさんは、私を小憎らしい人と言った。
小憎らしいとは何だ?
彼こそ会ってもいないのに、私を小憎らしい人と思い込んでいたのだ、ふいと口にしてしまったようだけれど。

W様、お疲れさまでした。
今後とも、こちらこそ、宜しくお願いしますね。あなたは、とても爽やかな人ですね。イメージは爽やかです。
一言多いようですが、それはご愛敬、私も同じで、つい一言多いので。お許しを。