会計年度任用職員制度~求められているのは正規職員様の給仕係~

今回も会計年度任用職員制度の闇を暴いていきます。

「公務員のお仕事」といえば皆さんはどんなイメージがありますか?
・年金、健康保険、マイナンバーカード、死亡届、婚姻届け・・・諸々の窓口で手続きの受付
・一日中机に向かってパソコンのキーボードかたかた
・知事とか市長とか偉そうな人達の周りにいて立っている(実際頭数揃えるために呼ばれただけの人もいる)

大半の方はこんなイメージだと思います、間違っていませんよ。しかし、これは所謂「人目につく職員達」なんです。実際には、役所以外の公営施設(図書館や児童館等)にも公務員はいますし、土木、警察、消防、自衛隊なんかもバリバリ現場職の公務員ですね。

さて、平成から派遣職員をはじめとした非正規社員急増が話題になり、そして令和に入ってからは公務員界隈でも非正規職員急増が話題に上ることが増えました。

令和以降、全国的な非正規公務員はおよそ全体の4割程度にまで置き換えられています。もはや役所の窓口で見かける職員はほとんどが非正規職員と言っても過言ではありません(同じ非正規職員でも官公庁や自治体が直接雇用する職員と派遣会社経由で雇用される職員等細かい違いはあります)。

そこで皆さん気になりませんか?
そんなに非正規職員を増やしてばかりで国や自治体運営は大丈夫なのか、と。

筆者の答えはずばり「何も問題ありません」です。

まず、そもそも公務員のお仕事は国家公務員と地方公務員で大きく分かれています。

国は、国会で国会議員が議決した内容を省庁がまとめて発布し、それらは都道府県庁から全国自治体へと通達される事で全国民に普及されるようになっています。

つまり、最初に国家公務員が大枠を決める仕事があるものの、公務の大半は公務員全体で大きく人数を占める地方公務員が受け持っているのです。

地方公務員は都道府県庁はじめ全国自治体の職員、警察職員、病院職員、教育委員会職員等になります(とにかく多い)。

これらの職員は地方自治に関わる公務を遂行する職員であり、全国国民に対して公共の福祉や公共サービスを提供するのがお仕事になりますから膨大な人数になるのは必然です。

ここで一番重要な事は、「地方公務員=自治体の仕事は全国どこでも一律同じである」という点です。例えばどこの都道府県、どこの市町村に住んでいても住民票や各種届、選挙、病院の保険受診、年金等同じサービスを受けられますよね?

水道、学校給食、道路、橋、河川、港湾などのインフラ管理も自治体によって民間委託、縮小、廃止等の差はあれどどこでもやっています。

自治体ごとに違いが出るのは住民数=自治体規模が違う事によりますが、基本的にはどの自治体でも同じなのです。



いつものように前置きが長くなりましたが、先に述べた通り全国自治体に課せられた業務、地方公務員に求められる職能=業務遂行能力、スキルは同じです。法改正によって変更はあるにせよ役人のお仕事は変わりません。

普通の人は次に考えるはずです。仕事内容はどこでも同じ・・・じゃあ仕事量は?

近年のマイナンバーカード普及事業やコロナワクチン事業等直接国民に対応する事務が増えたことから総量的に増えているかと思いますが、世間一般で指摘されている通り役人は「無駄が大好き」です。

無駄な会議、無駄なレク、無駄な資料作り、無駄な手順、無駄な作業・・・etc。公務員がこなす仕事の大半が「無駄」で占められていると言われていますが筆者の直接見た印象も同じでした。

最近は全国的に官民問わずDX(デジタルトランスフォーメーション)という名で業務効率化を進めてきていますが、そもそも無駄を排せず現状のまま効率化をしようなんて間抜けな事をしています。
※本来のDX化は業務効率化というより業務最適化であり、徹底した無駄の解消及び労働者の利便性確保がテーマ

従って、当面はAI活用とかデジタル活用という低次元なデジタル推進活動の喧伝をしていくでしょう。なにせ無駄を全部解消してしまったら大半の公務員は暇になりますから(笑)

というわけで、仕事量=公務も人口減少に合わせて無駄が省かれて洗練される事で少ない正規職員と大量の非正規職員で十分に回せるようになります。というか、現時点で既に回っているので問題ないのでしょうね。
※その代わり、会計年度任用職員が大きく割を食う官製ワーキングプア状態



すいません、ようやくここから本題なんです。

官公庁と全国自治体で大量に置換が進んでいる非正規職員ですが、業務内容が全国自治体で共通しているのは説明した通りで、あとはそれら業務をこなす頭数を揃えるために非正規職員が大量に求められている・・・というのが現在の状況です。

「じゃあ窓口業務で忙しいんじゃないの?」というのは事実です。しかし窓口がない職場もまた数多く存在しているんですよね。

市町村は直接住民に対応するわけでいわば最前線です。
一方で法改正や連絡業務等を国が直接1700余りある市町村に直接対応するのは現実的ではありません。

そこで全国都道府県庁が合間に挟まり、国と自治体をつなぐわけです。これらもまた、少ない正規職員と非正規職員が遂行します。

筆者がまさにその口でしたが、公務?法規?なんだそれ状態の民間労働者が何もわからずに省庁職員や市町村職員からの電話応対やメール対応に追われるわけです。

ただ、これは職場による違いですが正規・非正規問わず職員の忙しさに結構ムラがでるようです。2020年頃はコロナが猛威を振るった時期でしたから健康福祉、病院関係の所属は相当辛かったでしょうね。
※筆者はコロナで特に困らなかったのでそこまで辛くなかった

で、そこまで忙しくない大半の職場は先ほども言ったように本当に必要な業務と大半の無駄をして過ごしているわけですが、そうなってくると職員から気軽にお茶くみとか掃除を依頼されるわけです。それは本当に必要な公務なのか・・・?

会計年度任用職員の賃金は決して高くありません。基本給が低いことに加えて正規職員には当然のように支給される手当がないからです。
※通勤手当も恐らく総務省のガイドライン通り「費用弁償」扱いでしょう

最近になって期末手当=賞与に加えて勤勉手当も支給されるようになったらしいですが、人件費を調整するために恐らくどこかで割を食う計算になっている筈です。それに、基本報酬が増えればその分所得税や保険料等に課税増されてゼロサムに近くなりますから結局非正規職員の手取りはあまり増えないでしょう。

それでも、会計年度任用職員一人当たり年間200万はくだらない税金が投入されているのは事実です。

正規職員は公費で年間200万円払っている非正規職員を著作権法違反と知りながら新聞記事の電子的複製をさせるのみならず、お茶くみや弁当の買い出し、掃除に食器洗い等給仕係のように使っているのが現状です。あまりにも壮大な「無駄」です。

不思議なのは、これが恐らく日本全国で起きている事象でありながら税金を支払っている日本人有権者が何も言わない事ですね。

確かに過去、政府はマスコミを使って公務員バッシングや給与カットを扇動し、実際に人事院勧告で公務員給与の削減を行いましたが果たして意味はありましたか?

結局、官製ワーキングプア制度を合法的に実施して公務の現場で低待遇低賃金非正規職員を大量に生み出しただけではありませんか?

正規職員の意識改革は起きず、相変わらず無駄を高評価して非正規職員を無駄に利用している現状は却って公務員倫理を悪化させているだけです。

そして、会計年度任用職員制度を運用して一番儲けているのは国会議員です。歳費削減をお題目に非正規労働者を大量運用して浮いた人件費を自身の政治資金にしたりキックバック目的にばらまいて裏金づくりに邁進している。また、この現状を認めず政府与党を支持してきた日本人有権者の怠惰な政治意識と無教養が現政府与党を擁護しているのです。

公務員は公僕といわれますが、侍従すべき国民が怠惰で遊び惚けて現実逃避している限り、公務員の無駄と官製ワーキングプア制度は解消されません。

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