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泣けなかった涙はポップコーン

数年前、愛犬を病気でなくした。
病気が発覚してからべそべそと泣きたおしたのに
亡くなる前は全然泣けなかった。

あれから何年経っても
なにかのはずみでポポンっと愛犬のことを思い出すと
胸に何かがギューッと溢れて
涙になってぼろぼろと目から落ちてくる。

それはまるで、映画館にあるポップコーンのマシンに入った
ポップコーンマシンみたいだなぁと
ポロポロ涙をこぼしながら思った。

人は涙をぐっとこらえると
ザラッとしたものが体内に溜まって
不意に弾けてポロポロ出てくる。

なるほど、泣けなかったあの日の涙は
今私の中でポップコーンのもとになってしまったようだ。

そういえば愛犬の肉球は
ポップコーンみたいに香ばしくて
なんだかいい匂いだった。

そう思いだして、フフッてなってまた泣いた。

何年経っても、まだ弾け続ける私の中のポップコーン。
いつになったら在庫が尽きるのだろうか。


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