ワキガ治療をして快適になった話

唐突だが、私は長年ワキの臭いに悩まされてきた。
そんな私が今年7月に治療を受けて、ワキ臭くない人間になったので、今日はそのことを書こうと思う。

気付き

自分の悪臭を自覚したのは10代の終わり頃だっただろうか。
同人イベントのアフターのカラオケでワーッと盛り上がり、腕を上げた瞬間、悪臭がした。驚いた。隣に座っていた人とエッて顔を見合わせたくらいだった。あの時隣に座っていた人、本当に申し訳なかった。その悪臭が自分のワキ付近からしているとわかって、私はそちら側の人間なのだということが分かったのだった。

自覚してからはそれなりに対応してきたのだ。いろいろグッズも使った。
でも会社の更衣室で他部署の先輩と二人きりになった時、先輩がおもむろに体臭対策について優しくアドバイスをしてきたことがあった。私は悩んでいるとも何も言っていないのに。まだ臭いんだなと悲しくなった。

そんなこんなで、ニオイ対策グッズはいろいろと試してきた。
制汗スプレー、汗拭きシート、ワキに直塗りするやつ、汗ワキパッドなどなど。どのタイプでも私にはAg+シリーズの製品が最強だったなあ。

今は家仕事なので毎日風呂には入らない生活になったのだが(不潔ですみません)、会社で働いていた頃は毎日シャワーを浴びていた。それでも1日働いて帰る頃には体臭が気になった。そもそもワキ汗が多いのだ。体感的に、汗が皮膚に付着したまま乾くと、よりニオイがきつい感じだった。ワキからすぐ汗を吸収してくれる布などがあると幾分かマシなので、四季を問わず袖ありの肌着が手放せなかった。

騙し騙しやってきたのだが、でもやっぱり臭いものは臭くて、家で仕事に集中できないこともあった。それで今年の7月に治療を思い立った。

治療方法

ワキガの治療方法はいろいろあるのだが、保険適用で4〜5万円程度でできるという「皮弁法」での手術をしたいと思い、皮膚科へ行った。そこで「ミラドライ法」を紹介されて、結局私はそちらを選んだ。

ミラドライ法は保険適用がされない自費診療であり、30〜40万円程度のお金がかかる。情報収集をする中で存在自体をフワッと知ってはいたが、高すぎるのでハナっから除外していた方法だった。だったのだが、私が行った病院では「モニター割引とかなんかいろいろ使うとミラドライが22万円になるよ」とのことだったので、思い切ってそっちにした。

5万円程度を想定して行った治療が22万円とはとんでもない予算オーバーだが、結論から言うと私はミラドライにして正解だったと思っている。

皮弁法はワキにメスを入れるので、術後が大変なのだ。皮膚を切るからにはもちろん縫う必要があるし、ドレーンを入れて血などを抜き続ける必要があるし、抜糸や経過観察のために通院も何度か必要である。あと、ワキガは治るけど多汗は治らないらしい。

一方ミラドライ法は、メスを使わないで、ワキに強いレーザーを当てる方法である。簡単に言うと「ワキの細胞を電子レンジ的な方法で加熱して、ニオイの原因の腺・汗腺・毛穴を殺す」みたいな話らしい。術後は、経過が悪くない限り通院の必要もない。多汗も軽減する。毛も薄くなる。

何より、説明資料としてお医者さんが見せてくれた皮弁法の手術写真・術後写真がけっこうグロかった。「耐えられる気がせん!」と思ったのが大きな要因であった。

診察

受付で渡された紙のアンケートに答えて、それを見ながらお医者さんとお話をした。アンケートではニオイの自覚症状的なものをチェックされ、「この内容なら保険適用での治療もできますね」との回答だった。数分間ガーゼをワキに挟んで、外したガーゼのニオイもチェックされた。恥ずかしかった。

説明書類と口頭で施術方法の説明を受けて、方法を決めて、手術の予約をして帰宅。

施術当日

当日は施術開始の1時間前に来院して、改めて説明書類などを確認し、同意書などを書いた。

ミラドライは、ワキに局所麻酔をして、意識のある状態で処置をしてもらう。施術前、ワキに注射で麻酔をするのが一番痛かった。お医者さんも「痛いですよね〜! すみません! でも痛いのは今だけなんで! ね!」みたいな感じだった。確かに痛いのはこの時だけだった。

麻酔が効くのを待ってから施術に入った。ワキにレーザーを照射中、オーケストラ風の音声が「デュワ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」と流れ続けるのがなんだかシュールだった。
手術はトータルで2時間くらいだっただろうか。2人がかりで左右からワキにレーザーをあててくれる。暇なので処置してくれるお医者さんと雑談していたのだが、「皮弁法は術後も大変だし傷も残るし、費用的にできるなら絶対ミラドライがオススメですよ!」と言っていたので救われた気持ちになった。

施術が終わった後は、痛み止めのロキソニンとアイシング用の保冷剤をもらって、保冷剤をワキに当てながら電車で帰宅。ワキがぼや〜んと膨張している感覚があって、麻酔特有のアレだと思っていたのだが、鏡を見たら実際に腫れていた。「腫れがある」と事前に説明があったので、なるほどね…(?)と思った。ワキが腫れる経験、生まれて初めてだったので新鮮だった。2段腹みたいになっていた。

術後

当日の夜に麻酔が切れてきて、痛み止めを飲んでも痛みがあった。歩く振動や、軽く突つかれるだけの衝撃でも「イタタタタタタタタ」という感じだった。翌日はワキを冷やしつつ1日ベッドで寝ていた。使いものにならない1日であった。ぽんちゃんさんが遊んで〜と胸のあたりに乗ってきたとき、その長い脚がワキに当たって痛すぎて笑ってしまった。ぽんちゃんさんに私の体調など関係ないのだ。無慈悲。でもそこが愛しい。

2、3日目くらいまでは痛みが続いていたので、ワキを閉じないよう常にφみたいな形になりながら過ごした。手術当日〜3日目くらいは仕事を休みにして、4日目くらいに再開した時にはもう問題なく仕事もすることができた。

ちなみにミラドライは、手術当日からシャワー浴がOKであると説明を受けた。皮弁法だと数日間はワキをお湯に触れさせないように…とか制約が多くて大変そうであった。

1週間くらいで腫れや痛みは取れたが、まだ感覚が鈍い感じがした。皮膚が遠くにある感じというか。感覚の鈍さは8月末くらいまで続いた気がする。

治療後の世界

ミラドライの治療後、たいていの人はワキ汗の量が9割減してほとんど汗をかかないようになり、数ヶ月かけて少し戻って7割減くらいに落ち着くらしい。私もそうだったので、この夏はほとんどワキ汗をかかずに過ごした。常に手放せなかった袖ありの肌着を使うことはほとんどなく、タンクトップやキャミソールを着ることがほとんどだった。ワキも無臭。な、な、な、な、なんて快適なんだ!!!!!

ワキ臭くない体を手に入れて気がついたのだが、家になんとたくさんの体臭対策グッズがあることか。これらを使う機会がなくなるのだと思うと嬉しいような寂しいような。……と8月時点では思っていたが、10月に入ったくらいからワキ汗が少し戻ってきたので、使う機会は全くのゼロにはならなそうである。これからもよろしくね。

治療した後に「実はワキガ治療したんよ」と報告すると友達はたいてい「そうなの!? ニオイが気になったことなかったけどね」と言ってくれたのでホッとした。あのニオイ対策の日々も無駄ではなかったのだなあ。

昔から香水的なものに関心はあったのだが、時間が経つとワキ臭と混ざり合って地獄みたいなことになりがちだったので、積極的に手を出せなかった。でも治療後はそんな心配もなく、好きな香りを身につけて楽しむことができている。

お気に入りの服にも自分の悪臭がつかない。幸せだ。

ミラドライの効果は半永久的だそうなので、これからの人生がワキ臭と縁遠くなるのだと思うとウキウキである。また一つ生きやすくなってしまったな。

報告は以上です。

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