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もうすぐ新しい本が出ます。

 7月3日にポプラ文庫から新刊が発売されます。
 新刊や既刊について話せる場が欲しいなあと前々から考えていましたので、今回の発売に合わせてnoteを始めてみました。

『花守家に、ただいま。星合わせの庭先で』
 ポプラ社 2024/7/3発売
 ISBN:978-4-591-18231-4

 ポプラ社さんから本を出すのは『千年桜の奇跡を、きみに 神様の棲む咲久良町』以来約5年振りです。千年桜はポプラ文庫ピュアフルからの刊行でしたが、今回はポプラ文庫から発売されます。

 今作は「家族」をテーマに物語を書きました。
 最近ですと『10年後、きみに今日の話をしよう。』(マイナビ出版)も同じく「家族」を主軸に据えて書いた作品でしたが、今回は“血の繋がりのない家族”というものを描いています。

 主人公である花守桜子は、一年前に夫を亡くしてから、義母である花守五十鈴とふたりきりで暮らしています。今の生活にようやく慣れてきたと思った頃、桜子と五十鈴の暮らす家に、夏凛と名乗るひとりの少女が訪ねてきました。夏凛は、夫・花守透の元妻との子。死んだ夫の娘でした。
 訳あって父親に会いに来た夏凛は、その日から父親のいない花守家で暮らすことになります。桜子はもちろん、祖母である五十鈴とも、実は血の繋がりがない夏凛。血縁関係のない家族三人暮らしの日々が、のどかな海辺の町で始まります。

『花守家』の舞台は、愛知県の三河地方にある渥美半島という小さな半島です。太平洋と三河湾に挟まれた温暖な土地で、サーファーに人気の場所でもあります。
 三河を舞台にするにあたり、私が小説を書く上で初めて挑戦したことがありました。それがキャラクターに方言を喋らせることです。
 以前、出身地である愛知県安城市を舞台した物語を書いたことがあります。その際には方言を使いませんでした。この土地で使う「三河弁」って、文章に起こすと違和感がある気がしていたんですよね。関西以外の人が使う関西弁みたいな感じと言いますか、一応私はネイティブなんですけども、なんとなく嘘くさくなってしまう感じが嫌で、小説に三河弁を使いたくなかったんです。
 でも今回、舞台を渥美半島に設定してキャラクターを考えたとき、自然と方言で喋らせることを決めていました。実際に書いてみて違和感があったらやめようとは思っていたのですが、いざ蓋を開けてみると案外しっくりくる。たぶん今作のキャラクターたちがそうさせたんじゃないかなと思っています。彼女たちが物語の中で確かに生きている、そう説得させるために必要なものが土地に根付いた言葉であり、それを喋ることこそ、この物語において違和のない自然なことであったのでしょう。私自身も「なんで前は使わなかったのかな~」と謎に思うほどにノリノリで書かせていただきました。訛らせるのって楽しいね。
 そういうわけで、今作の登場人物の半分くらいが三河弁を喋っています。三河弁って聞いたことないよ~って人がほとんどだと思うので、こんな言葉なんだなと知ってもらえたらいいなと思っております。三河の民の皆さまは、馴染みあるなと感じてくださると嬉しいです。
 ちなみに三河弁と一括りに言いましても、実は西三河と東三河でちょっと言葉が違ったりもしまして。私は西三河の出身なのですが、作品の舞台は東三河。なので私が普段使わない言い方も作中ではしていたります。方言って面白いね。


 noteでは、作品の紹介や裏話(商業・趣味作問わず)、私がなんとなくこっそり語りたいことなどを不定期で書いていくつもりです。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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