青空文庫
サン・テグジュペリ氏の著作権は、既に切れている。しかし『星の王子さま』として、日本で初めて訳した内藤濯氏の翻訳権ばまだ生きていた。でも有り難いことに、許可を取ることなく使用出来る青空文庫に、大久保ゆう氏が翻訳を提供されていたので、よませていただくことにした。
タイトルもあえて、『あの時の王子くん』とするほど、挑戦心とこだわりをもって訳されているのだが、実は、ほとんど平仮名で書かれている。原語での意図を汲んで、子供でも読めるようにとの事なのだが、朗読するにあたっては、とても読みにくかった!!言葉の切れ目が、分かりにくいのだ。更にプリントアウトした原稿は、A4サイズの横長なので、横長に続く平仮名を目で追うのも難しい。だから、ひとつの言葉ごとにマーカーを引いたり、斜線で区切ったりと、カラフルな書き込みでいっぱいになった。
紙をめくる音が入らない工夫もした。挿絵や余白などの字のない部分は、蛇腹のように折り込んでテープでとめて、なるべくコンパクトにまとめた。1度の録音に、原稿は3枚位に収めた。
もちろん最初からそう出来た訳ではなく、試行錯誤の結果だった。だから読み終えた原稿は、使いこなした辞書みたいに手に馴染んで、ぼろぼろだけど愛着がある。まだ綺麗なまま残っている原稿も、残り少なくなった。やはりちょっと、寂しいものだ。
『 あの時の王子くん −星の王子さま− 』第8話 聞いてみて下さい。