電帳法対応の闇?

電帳法(電子帳簿保存法)について毎日のようにCMを見ると思います。企業側の対応でも、電帳法対応や、インボイス対応など追われているのではないでしょうか?本日は、この対応に関する「闇」にフォーカスあててみたいと思います。

電帳法とは?

電子帳簿保存法ウィキペディアを見ると

電子帳簿保存法は、情報化社会に対応し、国税の納税義務の適正な履行を確保しつつ納税者等の国税関係帳簿書類の保存に係る負担を軽減する等のため、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等について、所得税法、法人税法その他の国税に関する法律の特例を定める日本の法律である。

出典:ウィキペディアより

とあります。国税調査が簡単になるようにするための法律なのですね。脱税などを簡単に見つけられるためのもの。早い話国税のための法律ですね。
今までは、帳簿を繰ったり、関係書類を探したりと大変だったわけです。それを簡単にできるためのあくまでも御上のご都合というわけです(苦笑)

必要となる要件

これには、真実性の要件、可視化の要件というのがあります。
簡単に言えば、「これは本物ですよね?改ざんされてませんよね?」「簡単に見つけられますよね?」ということ。

タイムスタンプ

この中で、タイムスタンプ、金額、相手先とありますが、この内容、データでもなんでもないことに注意する必要があります。つまりデジタルデータでいうべき「定義」が非常に甘いのですね。
タイムスタンプですが、これって、結局は「これくらいの時期にあった取引」くらいの意味しかないわけです。
また、金額もそれに対する「単位」という概念はありません。
相手先も単に表記されている程度なので、表記のブレとか考慮していません。
要は、使う側から見れば、「ある時期に、金額これくらいのものがあるよね?相手先の名前程度分ければ十分」というのが見え隠れするわけです。

これ、「電帳法タイムスタンプ」と定義するべきものです。通常の厳格なタイムスタンプとは意味が異なります。
「きちんとタイムスタンプを電子署名などで記録しておく必要があります!」なんて騒いでいる自称電帳法コンサルとかいますが、果たして必要なのでしょうか?
本来デジタルデータであるのであれば、発注日、受渡日など明確に定義された日付データであるべきです。ですが、実際の対応などを見ていると、受け取り日付でOKとしていたりします。
要は、「これくらいの時期に・・・・」程度の検索なわけです。国税は「時期、相手、金額」でおおよその検討を付けるわけなので、この要件が満たされれば十分なわけです。
それに対して、第3者の厳格な電子署名付きのタイムスタンプが果たして必要か?ということなわけです。
重要なのは「真実性の要件」となります。改ざんできないような「業務プロセス」を決めれば良いだけです。

電帳法用システム

そもそも会社名も名称レベルでOK、金額も単位はいらない、というようにデータベースとしては非常に不十分なものと言えます。つまり、その程度のものなわけです。これに対してどれだけ費用をかけるべきか?

電帳法対応を見ると、検索のためのデータベースをベンダー側が用意しているケースがあります。
この機能は、デジタル化された帳票自体に加え、日付情報、取引先名、金額などの情報を検索用インデックスとして保有しているものが多いようです。
早い話、電帳法にあわせた仕組みということですね。

将来の本来あるべきDX

ここだけ見ていると、正しいようにも見えますが、もう少し将来像を考えてみるとどうでしょうか?

本来あるべき管理システム

元の帳票イメージを保有した状態で

  • 日付情報はきちんと定義された日付が記録され、

  • 相手先企業も企業コードなどで特定

  • 請求書番号、関連する注文書番号なども連係

  • 金額、単位などの必要情報もデジタル化されているデータオブジェクトが必要ではないかと思うわけです。

要は、伝帳票システムの拡張型ですが、これを中心として、すべての企業内文書をデジタル化すれば良いわけです。
こう考えるとこの電帳法対応で使う仕組みは非常に中途半端なわけですね。少なくとも、数年後後には使い物にならない仕組みになるのが目に見えます。

入出力I/Fの工夫

紙やファックス、電子メールなどで文書が外部とやり取りされていると思います。これは相手企業の対応状況が異なるので、やむを得ないように見えます。ですが、ここにも解決方法はあります。そこだけインターフェイスを作り、専門部署(ないし、専門会社)にやらせてしまい、内部処理はすべてデジタルで行うというのが最終像と考えます。
ここも伝帳票対応で中途半端にやっているところありますね。

全体を見ずに局所対応になっている「闇」

要はDX対応を局所的に見ると、こういうことになってしまう良い例と言えます。まぁ、ベンダーは儲かる話ですけど、企業側からみたら余計なコストが将来かかるというお話なわけです。(苦笑)
なので「闇」と言ったというわけです。




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