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うれしい誤算

小川洋子さんの「とにかく散歩いたしましょう」を読んでいる。読むのはもっぱら移動中で、バスや電車の中、病院の待合室などである。この本、エッセイ集のはずなのだけれど、うっかりすると涙をこぼしてしまうお話が多く、その度に「やられた」と思う。なにせ外なのであって、あまり見目良いものではないからだ。エッセイ集だから気楽に読めるだろうとたかを括っていた自分を呪いつつ、しかし小川さんの丁寧でやわらかい言葉で綴られる日常のあれこれがなんとも愛おしく、読むのをやめられないでいる。

じゃあ家で読めばいいではないかと言われそうだが、どうやら今は読書は移動中に限られているらしいので、しばらくは突然おとずれる涙にヒヤヒヤしながらこの本を読むことになりそうだ。




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