開催レポート:ゼミ「しあわせな暮らしを専門職が支えるコミュニティの始め方」現場訪問
エンパブリックでは3月9日からこれまで6回にわたって「しあわせな暮らしを専門職が支えるコミュニティの始め方~東京府中で”イン・コミュニティの医療福祉”を実践する糟谷明範さんと考える」と題して、特に医療や福祉の専門性を持った方々がどのように地域と関わっていくのかを考えるオンラインゼミ+現場訪問を実施しています。
今回は、4月9日(土)に実施された、府中での現場訪問の様子をお伝えします。
専門職が地域に入るってどういうこと?
これが、今回のゼミのきっかけでもあるシンクハピネスの糟谷明範さんが取り組んでいるテーマであり、問いでした。
医療や介護の専門職というと、具合が悪くなったときや介護が必要になった時に専門職の方がいる場所に行って治療してもらうといったイメージがありました。
しかし、糟谷さんは「体調が悪くなった後ではなく、日常的に健康や暮らしについて相談できるようにしたい」との思いから株式会社シンクハピネスを立ち上げ訪問看護ステーション事業を運営しています。
そして、地域の方々とより日常からコミュニケーションをとるためにカフェを立ち上げ、アパートをリノベーションして地域の方々が新しい取り組みを仕掛けられる場所をつくりました。
印象に残っているのは【コーヒーを淹れる医者がいるまち】という言葉。お医者さんがコーヒーを入れることにどんな意味があるんだろう?と思っていましたが、日常的に訪れたり話せる関係性をつくるうえで、病気になった時に行く特別な場所ではなく、日常から訪れる場所と関係性をつくっているのだと感じました。
現場訪問の様子
これまでのゼミではこうした糟谷さんの思いから、現在に至るまでのコミュニティ事業の展開をステージに分けて深堀してきましたが、今回はその話を踏まえての現場訪問ということで、「あの話題に出ていた現場」を実際に訪れることが出来ました。
当日は10名の参加者の方とともにシンクハピネスの活動現場である東京都府中市を訪問。
今回のゼミは全国からの参加者の方も多く、途中長野県からのオンライン参加の方ともzoomで中継を繋ぎながら、府中の歴史的な背景や現在の市民活動の取り組みなどを府中市市民活動センターの方から実際にお伺いしました。
その後、京王線でタマレの現場でもある多磨霊園駅に移動していよいよタマレの現場へ。
改めて感じた「その地域に住む」意味
皆さんは今ご自身が住んでいる地域とどのくらい関わっていますか?
なんとなく体調が悪いときに相談できる人は近くに住んでいますか?
私自身、大学時代から東京に住み始めて10年以上たちましたが、自分の住んでいる土地とは全くといっていいほど接点がありません。実家から離れて暮らしている人はもしかしたらそういった人も多いかもしれません。
今回、参加者の中にいらっしゃったタマレ周辺に住んでいる方々からは、
「まちを歩いていて糟谷さんと会えると嬉しい」
「タマレがあったから自分のやっていることを地元で継続的にできるようになった」
といった声をたくさん聞きました。
自分の住んでいる地域をこんなにも誇らしげに語れる人がいる地域は純粋に
楽しそうで、こういうまちに住みたいなと思ったのでした。そして、普段から話せる土壌があるからこそ、困ったときに相談できる関係性が出来るのだろうと感じました。
特にタマレの一室で活動している方のお話に出てきたニーズのある都心でも仕事はやっているけれど、地元の近くでやるからこそ、継続的にいろいろな人と関わりながら自分の思いを伝えていくことができる。という言葉がとても印象的でした。
オンライン化も進み、関係人口など定期的に地域と関わる人も徐々に増えるなど地域とのかかわり方が多様になっているからこそ、改めて「その土地に住んでいる意味」を深く考える機会になりました。
近くに住んでいるからこそ見える景色や生み出せる関係性があり、それは専門職側が地域に入るきっかけだけでなく、一人の住民としてとの土地に住んでいることの理由や安心感につながるのではないかと感じました。
糟谷さんの詳しい活動の様子は、こちらの動画でも紹介していますので気になった方はぜひご覧ください。そしてぜひ、タマレに遊びに行ってみてください。
タマレやthe town stand FLATの運営スケジュールは公式ホームページをご覧くださいね。
エンパブリックでは様々な活動を通じて地域や組織の中で新しい動きを生み出す人たちを応援しています。
専門家と住民主体の関係については、こちらの書籍でもご紹介していますので気になった方は併せてご覧ください。
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