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あつすぎて なつきにけらし しろくまの ひやもちもちに うもれていたい



あっっつーーーーい!
もう「暑い」というより「熱い」っていうかんじ。まるで自分がおなべの中の材料になった気分。お父さんとお母さんが子どもの頃には暑くても外に遊びに行けるくらいだったらしいけど、今のこんな暑さの中じゃあ、とてもじゃないけどムリムリムリ。かたゆでのゆでたまごになっちゃう。
こんな日には、涼しい部屋でしろくまをだっこしてすごすに限りますよ〜。砂漠でオアシスを求める人みたいな顔で、ふらふらと部屋にいそぐ。
「ただいま、しろくま〜」
倒れこむいきおいでそのまましろくまに抱きつく。ああひんやりして…
…ない…むしろほっかほかしてる。
「あれ〜?しろくま、どうしたの」
しろくまを抱き上げると、テロンテロンだ。とけきっている。顔も真っ赤で頭からゆげが出そう。
「ちょっとしろくま、大丈夫!?」
「…おかあさんに、ぬいぐるみといっしょにおひさまにあてられたのであ…る…」
いきもたえだえにそれだけ言うと、しろくまはそのまま床にべよ〜んとのびてしまった。しろくまはおもちとアイスでできてるんだもん、そりゃ暑いの苦手だよね。
「ありゃりゃ…冷やしてあげなきゃね。しろくま、小さくなれる?」
手のひらサイズにちぢんだしろくまを、こっそり冷凍庫に入れた。
わたしも氷をたくさん入れた濃いめのカルピスを作って飲んで、体を冷やして休んだ。
しばらくして冷凍庫からしろくまを取り出すと、ぺったんこのままカチカチになっていた。
「ヤットカラダガカタマッタノデアル!」
しろくま、声が高くなってるし、しゃべり方もいつもよりなんていうのかなあ、コキコキしてる。
「でもまだ元どおりじゃないね。どうしたらいいかなあ」
手の中で少しもみもみしてみると、だんだん粘土みたいな感触になって、いつものしろくまっぽい形に戻ってきた。
「ふう〜、ありがとうであ〜る」

それからしろくまは、時々こっそりと冷凍庫に忍びこんで涼むのにハマっている。

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