【事例紹介・みんなで考える女性の健康プログラム】必須研修で「みんなで考える」 健保組合とのコラボヘルスで健康経営のさらなる推進を
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「健康経営優良法人」企業の取り組みインタビュー
東京建物株式会社×安田日本興亜健康保険組合 様
■ 取材企業 ■
[東京建物株式会社]
・業種:建設・不動産
・従業員:725名(2021年12月31日現在)
・所在地:東京都
・認定部門:健康経営優良法人 大規模法人部門 ホワイト500(2022年度)
・事業概要:
オフィスビル・商業施設等の開発、賃貸及び管理
マンション・戸建住宅の開発、販売、賃貸及び管理
不動産の売買、仲介及びコンサルティング、駐車場の開発・運営
リゾート事業、物流施設開発事業、資産運用事業、海外事業、不動産鑑定業
1896 年に旧安田財閥の創始者・安田善次郎によって設立された日本で最も歴史のある総合不動産会社。「信頼を未来へ」という企業理念のもと、現在は 2030 年ごろを見据えた「次世代デベロッパーへ」を長期ビジョンとして掲げ、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立することを目指している。
・会社HP: https://tatemono.com/
[安田日本興亜健康保険組合]
・業種:健康保険組合
・所在地:東京都
・事業概要:被保険者とその家族が健康で 心豊かに生き生きと働き、暮らすことの出来る環境づくりに貢献することを使命とする健康保険組合事業。76事業所、被保険者数44,040人。
・会社HP: http://www.ynk-kenpo.jp/index.html
近年注目されている「DE&I」。様々なところで耳にする機会が増えています。
「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)」とは、今では一般的な言葉となった「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」に、日本語では公正性と訳される「エクイティ」という考え方を明確に付随した言葉です。
米国に端を発したこの考え方は、経産省を中心に日本でも推進されており、ダイバーシティの中でも、「女性の活躍推進」は特に多くの企業が注目している分野です。
本記事では、以前からDE&Iを推進され、2022年度にemphealの【みんなで考える女性の健康プログラム(以下、本プログラム)】を導入いただいた東京建物様・安田日本興亜健康保険組合様へのインタビューをご紹介します。
企業と健保のコラボヘルスにはどんなメリットがあるのでしょうか?貴重なお話を伺いました。
―貴社のダイバーシティ推進部門の役割・ミッションをお教えください。
東京建物株式会社 西村さん(以下、東京建物 西村さん):
当社の健康経営・ダイバーシティ推進グループは2020年1月に人事部内に発足しました。メインで携わっているのは2名ですが、人事部を挙げて当社の健康経営ならびにダイバーシティに取り組んでいます。
また、社長が最高健康経営責任者として自ら旗を振り、組織づくりをしています。
2030年頃を見据えた長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げており、「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立することで、すべてのステークホルダーにとっての「いい会社」を目指しています。
この「すべてのステークホルダー」の中には、もちろん従業員やその家族も含まれています。
長期ビジョンの「いい会社」を目指す役割・ミッションも担っており、多様な人材が活躍できる環境や組織づくりが重要と考えています。
―D&Iの中でも「女性の健康」に取り組もうと思われた背景、きっかけ、これまでの取り組みについて教えてください。
東京建物株式会社 飯田さん(以下、東京建物 飯田さん):
健康経営というキーワードが出てきた2016年くらいから、健保様と一緒にコラボヘルスで健康経営を推進してきました。当時、女性の健康診断の受診率が50%台だったので、まずはそこから強化をしていこうと、2017年度から婦人科検診に注力し、1年で受診率を9割程度にまで上昇させることができました。また、当社の女性のみなさんはご自身の健康に非常に関心がある人が多く、それに応えたいという思いから、2019年から女性の健康づくりセミナーを毎年実施しています。
当初はどのくらい反響があるのかわからなかったので、対象を女性としてPMSに関するセミナーを実施し、2020年度からは対象の性別を問わず開催しています。2021年度には健保様とコラボヘルスで更年期のセミナーを実施しました。より多くの人に見てもらえるように、オンラインで行いました。
今後は興味がある方だけではなく、全員に知ってほしいという思いがあったため、2022年度は全役職員向けに必須研修で実施することを決めました。
安田日本興亜健康保険組合 中園さん(以下、安田健保 中園さん):
健保としては加入者の健康増進がミッションであり、また医療費の適正化も大きな課題です。
健保が独自に動くのではなく、加入事業主様を巻き込みコラボヘルスを行うことで、より広く従業員の方、やご家族の方の健康増進につながると思っています。現状76の加入事業主様がおり、それぞれの企業様と健康経営というキーワードを元に、どういった推進方法がいいか、常日頃協議をし、必要な施策を考えています。中でも東京建物様は健康意識が高く、新しいことへのチャレンジ精神も強いので、協業することが多いです。今回のemphealの『みんなで考える女性の健康プログラム』も東京建物様からご提案いただき一緒に進めることになりました。加入事業者様からの女性の健康に関するセミナーの希望は年々増えてきていると感じます。こういったセミナーをする中で、“なにか”を持って帰っていただいて、ご自身の健康に生かしていただけたら嬉しいですね。
東京建物 飯田さん:
当社の役職員についても健保様と協業していることで納得感もあり、参加がしやすいという声があります。我々としても、健保様とコラボヘルスを行うことにとても意義を感じていますし、健保様の協力があるからこそ、セミナーの参加率・理解の向上に役立っていると感じています。
―本プログラム利用の決め手や利用により期待したことをお教えください。
東京建物 飯田さん:
今年度は全役職員向け研修を必須で実施したいと考えていた中、emphealの女性の健康プログラムに出会いました。HP上の「みんなで考える」という言葉に魅力を感じて、「これだ!」と思ったんです。今までは主に女性に対してメッセージを発信することが多かったのですが、それだけでは全体が変わっていかないな、と。プログラムの中身も行動変容が可視化できるというものだったので、手応えが確認できることも今回期待した点です。
―これまで任意研修にて実施されていたテーマを、今回必須研修とされたことは大きな決断だったのではないかと思います。その背景や、思いをお聞かせいただけますか?
東京建物 飯田さん:
任意研修の参加者は元々健康リテラシーが高い傾向があるため、無関心層へのアプローチが必要だと感じていました。女性にまつわるテーマは社会課題だという認識を持っているので、相互理解を深めることが非常に大事だと思っています。必須研修をすることには、もちろんネガティブな声もありました。けれども相互理解を深めるには必要不可欠なものなのだという意思を持ち、実施しました。結果としては男性からも肯定的な意見が多く、頑張って良かったな、と思っています。
健保さんの大きなサポートにより一歩踏み出せました。
―本プログラムの良かった点や特に印象に残った内容などあれば教えてください。また、導入後後社内にあった変化があれば併せて教えてください。
東京建物 飯田さん:
プログラム実施前後の理解度が可視化された点が非常によかったです。通常の研修では数値やグラフで可視化された結果として見えることはありません。社員の満足度も高く、特に男性の満足度が非常に高かった点は驚きでした。女性側からは「みんなが同じように悩んだり、困ったりしていることをみんなで共有できたのがよかった」という感想をいただきました。男性側からは、「これまで積極的に女性の健康について情報収集をする機会がなかったため有意義だった」というポジティブな感想のほか、「今後、産後の不調や不妊の治療にともなう不調についても知っていきたい」という意見がかなり出ていました。
実は、プログラムを実施する事前のアンケートの「聞きたいこと」の質問で、男性側からは「女性従業員にどう接していいかわからない」、「セクハラと受け取られるのが怖くて声がかけられない」という状態にあったということを担当者としても初めて知りました。
また、産後のサポートについて重要性は頭ではわかってはいたものの、データを見ることで腹落ちをしたこと、知識として理解が広まったのもよい点でしたね。研修動画はアーカイブ視聴もできたので、自宅でご家族とご覧になった方もいたようです。「みんなで考える」良い機会にして頂けたかなと思います。本プログラムが家族や同僚への配慮のきっかけづくりになっていったら幸いです。
安田健保 中園さん:
セミナーに関しては、「事前アンケートを振り返りながら研修を受けられたのがよかった」という声や、「知らないことを知るきっかけができた」という声がありました。また、次回以降については「ぜひ家族も一緒に参加したい」という声もありました。
プログラムについては、研修の前後のアンケートの結果から、レポートの中に生産性損失額を推定いただいて、受講後の効果を数字的に示していただいたのは初めてでした。健保側が主体の施策では、どうしても参加者が少なくなるので、事業主様のご協力は必須です。労働生産性が今これだけあって、講習会をすることでこれだけの効果が実例としてある、という具体的な数字をお示しして事業主様に今後提案できるというのは非常にメリットがあると感じています。
― D&I、女性の健康分野について、今後更に注力されたいことはありますか?
東京建物 西村さん:
現在、当社には様々な働き方をする従業員がいます。そんな彼らに寄り添い、公平な機会・公平な評価の仕組みづくりをしていければと思っています。また、新型コロナウイルス感染症の流行後、以前よりもコミュニケーションが減ったと感じています。仕事の話だけではなく、健康・趣味の話などが盛んになることはもちろん、コミュニケーション活性と情報共有への仕組みづくりも行い、エンゲージメントの向上などにもつなげていきたいと思っています。
東京建物 飯田さん:
今回のプログラムにおいて、アンケート結果では男性従業員の満足度が高かったという話をしましたが、女性からはもっと詳細な内容を知りたいという話がありました。今後も健保様と一緒にライフイベントごとに細分化したテーマを扱っていけたら良いなと思っています。
安田健保 中園さん:
男性に関しても気づかないところで課題があると感じています。今後は女性にフォーカスしながらも、たとえば男性の更年期に関する講習会なども実施していきたいと考えています。
DE&Iを推進されている企業と健保のコラボヘルスに関して、互いの関係性を強固にして継続的なお取組みを実施されることが重要であると感じました。
本日はありがとうございました。
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※取材、文:株式会社empheal(エンフィール)
取材日:2022年5月11日
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