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健康経営コラムvol.15 負から“陽”へ変わったスパイラル。本当の居心地のよさを求めて

※本記事は2分で読むことができます。

「健康経営優良法人」企業の取り組みインタビュー
協栄金属工業株式会社 様

■ 取材企業 ■

・企業名:協栄金属工業株式会社
・業種 :製造
・従業員:82名(男性67名、女性15名)
・所在地:島根県
・認定部門:中小規模ブライト500
・会社HP:https://www.kyoei-kakeya.jp/?_fsi=jF4AP3ac

赤字経営に労災事故の多発… 悪循環をストップさせた、障がい者雇用の思わぬ効果

「当時は、社員がみんな下を向いて歩いていました」と、小山久紀社長は振り返る。今でこそ、『地元の魅力ある職場』として県知事から表彰されるまでになった協栄金属工業株式会社。しかし十年前はどん底だった。
2008年のリーマンショックのあおりを受け、同社も経営危機に陥った。赤字が続いて大量解雇を行い、残った社員への負荷は増えるばかり。「労災事故も増えて、度々救急車が会社に来るような状況。毎月誰かが辞めていきました」と、“健康経営”とはほど遠い職場だった。
そんな悪循環を止めた一因は、障がい者雇用。もともと若者の少ない過疎地で、離職者も続出。「とにかく人手が欲しい」と2012年頃から力を入れ始めた取り組みが、会社に思わぬ変化をもたらした。それぞれに合わせた仕事の振り分けや、体調に合わせた勤務時間の管理、スタッフが孤立しないような配慮も徹底した。障がい者雇用の割合は徐々に増え、今では雲南市トップの8.98%。「みなさん、非常にまじめで仕事の水準も遜色ない。弱者救済ではなく、大切な戦力です」と、これに併せて経常利益も徐々に回復していった。
意外な“副産物”はもうひとつ。「周囲の社員の面倒見がよくなって、優しくなったんです」と、会社全体の雰囲気が変わり、社員同士の関係も良好に。この取り組みは新卒教育にも行き届き、コロナ禍で状況が一変するまで新卒社員の離職率は六年連続でゼロ。周囲からの評判も取り戻し、今では新卒採用の絶えない会社へと生まれ変わった。

健康経営とは、“居心地のいい会社”を作ること

小山氏が社長に就任し、健康経営に本格的に取り組み始めてから約十年。「決して、健康経営はキレイごとではありません」と振り返る。当初の目的は、倒産危機からの脱却。黒字経営に引き戻すためには、人材の確保と生産性の向上が課題だった。
人材確保のための障がい者雇用から始まり、従業員の定着を図るために定期健康診断の徹底やメンタルヘルス対策も強化した。工場勤務につきものの暑さ対策のため、空調の整備や屋根の遮熱塗装なども実施。心身の負担を減らすような職場環境を整えていき、ストレスチェックによる高ストレス者の割合も年々減少、会社としての利益も順調に上がっている。

結果は数字としてだけでなく、従業員の行動にも表れた。「積極的に意見を出してくれる社員が増えました」と、社員のアイディアで月一回の職場美化活動や、外部から講師を招いた勉強会が実現。自ら行動を起こすようになり、自然と社員の表情には自信や誇りが戻っていった。
「社員は財産です。その社員の居心地がいい会社を作ることが、言葉を換えると健康優良企業なんです」。誰もがうつむいて働いていた十年前。今では、国内有数の健康優良企業としてスポットライトを浴びるまでになった。

※取材、文:株式会社empheal(エンフィール)


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