知らない人んち(仮)第3話 設定とプロット『暗室は子供が絵を描く場』

設定

〇ゲスト6人
出前を配達に来た。
ピザ、中華、寿司、そば、ハンバーガー、釜飯。

〇暗室
暗室は子供たちが自由になんでも絵をかいていい部屋だった。
壁には作品がびっしりと貼ってあった。

〇きいろ

新進気鋭の芸術家。主に映像アートの作品を手がける。
作風は黄色を全面に押し出した幼児のような絵と映像を組み合わせた作品だった。
最近、人気が出てきて、作品が高値で売れることも増えてきた。

きいろは自分の知らない作品が、自分の作品としてブラックマーケットで流通していることをジェミから知らされ、幼少期にここで描いた作品ではないかと疑い、得意の映像を使いながら調べに来ていた。

きいろは色覚障害で視覚にハンデキャップがあった。
彼女がもっともよく認識できる色が黄色だった。
それは里親の元で判明する。

〇ココア

缶が黄色い。

〇ジェミ
若手の美術商。きいろの作品を取り扱う。

〇アク
メガネ会社の研究者。

アクは花を黄色に塗ってしまうきいろをからかい、きいろが花瓶を払い落として割ってしまう。
謝る機会も得られず、ずっと後悔していた。

〇キャン
アーティストを目指しているがまだ芽が出ない。

〇アク、キャン、ジェミの名の由来

竹田からもらったアーティスト・ネーム。
きいろはもらえないまま里親に出された。

〇竹田の後悔
きいろの色覚障害を分からず、きいろが描いた黄色ばかりの絵を認めることができず、きいろに名前がほしいとせがまれても名前を与えなかった。
きいろのいない時には自由といってもあんな絵を描いていけないとアク、ジェミ、キャンにいい、絵を破り捨てていた(それをきいろが目撃していた)。

後に伝え聞いたきいろの障害を知り、子供を守り、夢を与えるために養護施設を運営し、
自由に絵を描いていい部屋を作ったのに、きいろを深く傷つけたと思い悔いていた。
そしてきいろが芸術家として認められるようになったことと知り、喜んだと同時にもしきいろがやってきたときのためにこの家に住んでいた。


第3話、あらすじ。

アクとキャン、きいろとジェミが1階の和室のふすまを隔てて対峙していた。
アクは開けようとするが、きいろとジェミがふすまを抑えていて開かない。

玄関のチャイムが鳴った。
キャンとアクが対応する。
出前が次々とやってくる。6人。
ピザ20枚、スシ10人前、かつ丼5人前、釜飯5人前、ハンバーガー5人前、ラーメン餃子セット5人前。
持ってきたものが玄関先に積みあがる。
若い女性ばかりの出前持ちは愛想よく礼儀正しい応対だったが、金額を合計すると82400円。

アクが頼んでないと言うと、和室の向こうから頼んだという声がする。
アクが払えないというと、出前たちは豹変して、たいへん乱暴な言葉遣いで代金を請求する。
中には、ネットでそのやりとりを生中継をする出前もいる。

和室の向こうからは返事がなく仕方なくアクが払おうと財布を開くと、現金は2万円ほどしか入ってなかった。あったはずのクレジットカードもなかった。
キャンに助けを求めるも姿も返事もなく、大騒ぎする出前たちを振り切ってアクはお金を下ろしてくると言って外出。
すると和室の扉が開き、ジェミが笑顔でカードを見せ、支払いを済ませた。

きいろ、ジェミ、キャンはリビングで出前の品を食べながら話をする。
きいろの絵らしきものがマーケットに流通していること。
それがここで描いたものではないか、と。
そしてそれなら誰がマーケットに流しているのか、を知りたいということ。

3人は暗室の封印を解き、中へ。
暗室の中は昔、自分たちが描いた絵がすべての壁を埋め尽くしていた。
でもきいろには、黄色以外は退色しているように見えていた(青は少し退色気味)。
壁を埋め尽くした絵をよく見ると、所々に元の壁が見えた。

アクは、息を切らせながらもコンビニが遠すぎることに文句を言いつつ、玄関を開けた。
すると出前の6人の姿も積みあがった出前の品もなく、あがりかまちのところにアクのカードが置いてあった。
2階のほうに人の気配があった。

アクは1階の小さな鏡で身だしなみと息を整え、昼に入手したバッグをもって2階の暗室へと向かった。

3人に合流したアクは出前の件で文句を言いながら、バッグの中からメガネケースを取り出し、きいろに渡した。
それはアクが商品化に携わった色覚障害を補正するメガネだった。

アクに促され、きいろはメガネをかける。
その途端、暗室の中にびっしりと貼られた絵が鮮烈な色をもって彼女の目に飛び込んできた。
きいろは驚き、一度メガネを外して裸眼で部屋を確認してから、今度は恐る恐るメガネをかけた。
きいろは、多くの人が見ている世界の色をはじめて見た。
全身を震わせながら、きいろは部屋をぐるぐると回り、絵に目を走らせていった。
そして時折、これが赤? これが緑? これが紫? と3人に興奮を隠さず確認していった。
ひまわりばかりが描かれた一角があった。

きいろ「やっぱり、ここらへんはわたしが描いた絵だってすぐ分かるね」

そのとき、階下から陶器が割れる大きな音がした。

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