見出し画像

個人的な財布の選び方 その1長財布

 このタイプがスーツと相性がいいとされているのにはいくつかの理由があります。まずは比較的ドレッシィな雰囲気があること。それから薄手なので内ポケットに入れてもスーツのシルエットが崩れにくいこと。スーツの内ポケットというのは意外に深さがあるので、長さが無いと取り出しにくいということもあります。どうもこの手の財布はスーツにあわせる事を前提としてつくられているようですし、スーツの内ポケットもこの手の財布を入れる事を前提に造られているような気もします。それではスーツに合わせる長財布はどんなものが良いのか考えてみました。
 
 素材はなんでもいいと思いましたが、スーツ用とはいえ実用品ですから耐久性を考えてコードバンを選びました。ブライドルレザーという選択肢もありましたが、革の質感が若干ワイルドなのでこれはツイードジャケット用にとっくことにしました。小銭入れはついていてもいなくてもいいですが、どちらの場合も小銭を入れるつもりはありません。スーツの内ポケットに入れる財布はなるべく厚さと重量を抑えて、そのうえで必要な収納を実現すべきです。その意味で札入部は総マチではなく片マチがいいです。どうも長財布というのは実用性よりも雰囲気を重視しているような気もしますが、ぼくはスーツの最も重要な機能は他人の印象をコントロールする事だと考えているので、その意味ではカチッとした印象を与えるためには長財布が最もそれに適しているのかもしれません。



 それからカード入れ。これは縦に入れるタイプと横に入れるタイプがあり ますが、横に入れる方が良いです。横入れタイプは開口部が内側を向いていますが、縦入れタイプは開口部上を向いていますので扱いを間違えるとカードが脱落する危険性があります。実際はこのポケットはかなりタイトにできているのでその可能性は低いのですが、 万が一を考えるなら、クレジットカードやキャッシュカードは横入れポケットに入れるべきです。それに、縦入れのポケットはカードを奥に差し込むまでの距離が長いのでカードの出し入れがちょっと面倒ですし、革が硬いうちは下手をするとカードを折ってしまう危険性もあります。ただ、ここには財布からはみだしてしまう長さのチケットとかを入れておくこともできますのですぐに取り出す必要があるものをちょっとはさんでおくのには便利です。そうすると、片側が縦入れ、反対側が横入れというのがいいと思いました。どっちにしてもこのカードポケットにいろんなものを入れて財布をパンパンにするのは禁物です。
 
 最後は色。黒い靴には黒い財布、茶の 靴には茶の財布というのが原則と言われることもありますが、やり過ぎると神経質な印象を与えかねません。色を合わせるのは靴とベルト、それと眼鏡くらいにしておいた方がいいと思っています。とは言え、いきなり黄色や紫の財布を取り出すのはひねりすぎなので、違和感のないところネイビーを選びました。ネイビーと言ってもいろんな色がありますが、コードバンの長財布ならかなり落ち着いた、ちょっと暗いところで見るとブラックに見えるくらいの感じ、いわゆるミッドナイトブルーです。明るい所に出た時に「あれ、その財布青かったんだ。」というくらいがちょうどいいかな、と。
 
  しかし、ここでひとつ問題に気づきました。ぼくは普段スーツをほとんど着ないという事です!仕事でネクタイをする必要がある時も大抵はブレザーで済ましてしまえるので、もうちょっとラフな財布でオフィシャルでもプライベートでも使える財布の方が便利なんじゃないか?というわけで二つ折り財布を検討してみたのですが、その話はまた別の機会にさせていただきとう存じます。

  追:ぼくが小学校に上がる時、父が鞄屋に連れて行ってくれました。ランドセルを買うためです。「どれがいい?」と聞かれたのですが、鞄屋に入ったのも初めてでしたから何がなんだか全くわかりません。父が「コードバンがいいんじゃないか?」と言って指差したのはピカピカの黒いランドセル。あまりにも光りすぎな気がしたので「あんなテカテカのやつはいやだ!」と言ったら「うん。もうすぐ小学校に入るんだから自分のものは自分で選びなさい。」という事になって、ぼくはもうちょっと落ち着いた黒い革のものを買ってもらうことにしました。三つ子の魂百までとはよく言ったもので、あれからずっとコードバンの光沢には馴染めないでいました。実はこの財布はぼくが生まれて初めて買ったコードバンなんです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?