つれづれ!『光る君へ』第14話
14話、『星落ちてなお』のつれづれ感想です。
あらら。兼家出家しましたね。
出家したのが5月でなくなったのが7月隠居したはいいけど、なかなか権力の移譲は難しいんだな~
そんなこんなで、道隆の独裁始まる。中関白家推しとしては、うまくやってくれ!!とにかく「長生き一番」お前は酒をヤメロ!と思ってしまうのだけど、言ってもしょうがない。。。史実だからね。
さて、定子が中宮になったのは10月。皇后と中宮が並び立つのは前代未聞というか、この時、后は3人いたんです。
で、前例がないと。
で、これで太皇太后、皇太后、皇后、中宮4人が並び立つ…ってころでみんな反対しています。要するに、自分の娘のために一つ役職つくろうぜ、って話で、それはまあみんな嫌な顔するよね。って話なのでしょう。
女性もこうやって位が付くと、収入も増えますし、人件費もかかりますし、かかるお金は増える、ってこともありますよね。いつだって貧乏に悩む朝廷ですからね。藤原氏、もっと税金払え。
ちなみに、太皇太后は、花山天皇のおとうさんにあたる冷泉天皇の后である昌子内親王で、皇太后は円融天皇の后で一条天皇のお母さんである詮子。皇后が円融天皇の中宮、藤原遵子です。冷泉上皇も円融上皇もお元気だから、ってものありますけど、天皇から上皇になったあと、后は基本的に后なんだな、って思ったのが最初の感想ですね。
上皇が二人いていいなら、皇太后も二人でいいんでは?とか今の認識だと思ってしまうけど、そういう「おしどり夫婦が二人三脚で頑張ります!」結婚でもない当時ですから、まあそうなんでしょう。
このごり押しがのちのち定子を苦しめる。
ブーメラン!!
道綱母がまだ出ていましたね。
って言い方はないか。史実的には兼家がなくなるだいぶ前にふたりの関係は終わっていたと思われますが、なくなる直前にも「道綱、道綱…」言ってました。睡眠学習!
道綱母が書いた『蜻蛉日記』は、平安女流文学の初期の作品になります。
「暴露系ブログ」と言いますが、別に暴露ではない。っていうか「日記」って今だと個人のいろんな思いとか考えとかつづるものですが、当時は広く世間に公開するものでした。だから、『蜻蛉日記』だって、「道綱母のプライベート日記」ではなく、「藤原兼家という高貴な血筋を持った三男坊と朝廷の官吏の娘(すごく美人で評判でなにせ、頭がイイ。そして教養がある)がこういう問答歌をしている公開記録」という話で「自慢にすぎません」とまひろが以前赤染衛門のいる倫子サロンで発言していましたが、それでいいんですよね。歌は世間に知られて歌われなければ意味がない。
恋歌は、秘めるものではなく、公開するものだったわけで、今の恋愛観とか、考え方で測れるものではないと思います。
新しさはそこに人の心のうつりかわりや、苦しみや、喜びが描かれていることで、それはいつだって人の心を揺さぶるものです。女性の手による女性の「心の動き」をえがいた作品が反響を呼ばないわけですよね。
そのへん、『伊勢物語』には無理があった。
道綱さんは、その後道長の仲良しになり、結構長生きします。
妾の子は明確に子どもでも出世コースが別れているのですが、そのうち「一瞬でいいからおれも大臣になりたい」って道長に言って道長を「ええっ…それはちょっと…いや、いくらなんでも…」と困らせる道綱が出てくるはずなので、描かれたらおもしろいのにな、と思っています。
文字の詠めない人に文字を教えようとするまひろと、自分の「志」のために夫と子どもと別れるききょう。
「おのれのためにいきることがほかの人の役に立つような、そんな道をみつけたい」というききょうのことばがとてもよかった。
清少納言じゃん!と思いましたよね。
他の人の役に立つ、で庶民に字を教えるまひろと自分が出仕するききょう。
ふたりのちがいが際立っていてよかったです。
創作ですが。
まひろが庶民というかそのへんの市井の人々に文字を教えることは事実ではないです。『源氏物語』を書く動機のひとつにするのかしら。とはいえ、庶民が『源氏』を手に取るのはそれから700年くらい経たないといけなかったわけですけれど。
紫式部の日記を見ると「卑しい民」は「卑しい民」であるゆえに「卑しい」みたいな感じなんで、まあその点については当時の貴族全員「庶民の学び???はにゃ?」だったと思われます。
検非違使の無理な取り締まりを辞めさせたい道長と庶民に文字をおしえたいまひろと「中関白家というかふつうの貴族」の頭にまるでない「庶民へのまなざし」を持った道長とまひろという図式が描かれていますが、道長はどこでそれをやめるんかな。と思うと、今から「あーあ」って感じですよね。
伊周の和歌の会でふたりは再会しました。
嫁探しに和歌の教養を競わせる。さすが中関白家でございました。
ファーストサマーウイカのききょうがあまりにも清少納言的な「悪意のない毒舌」っぽくて、笑っちゃいました。
このドラマは人選がいいですよね…。清少納言は『枕草子』の中で宮仕えの経験はできるだけしたほうがいい、と書いています。
自分のこころが喜ぶほうへ!そう清少納言は言っていて、先々紫式部となったときに、清少納言のことを「あんなひとはろくな死に方をしない」と罵倒するわけですけれども、それは自由な発想と勇ましさとたくましさ。そういったものを羨望と嫉妬を持つのかな、って感じを持ちました。
来週からは『枕草子』推しですね!!!
重要事件目白押し…でございました。
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