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スポーツの権利販売方法の変化の必要性(SportsProMediaより)

(この記事は3分で読めます。約1,700文字)

2020年9月17日(木)のSportsProMediaに、Eleven Sportsの会長兼創設者である Andrea Radrizzani 氏が、今後のスポーツのメディア放映権の販売方法におけるPrivate Equity(以下、PE)の重要性を語っていましたので、本日はこちらについて考えていきたいと思います。

(参考記事)
https://www.sportspromedia.com/news/andrea-radrizanni-private-equity-eleven-sports-rights-streaming-revenue

Eleven Sportsとは

 Eleven Sportsは、イギリス・ロンドンに本社を構える複数国に展開するスポーツインターネット配信会社で、スポーツ・メディア・エンタメ分野でののグローバルベンチャーキャピタルである、Aser Venturesを親会社に持ちます。
 日本では、主にプロ野球の二軍戦の無料配信をしています。

記事要約

 本来であれば、ライツホルダーは、テクノロジーとデジタル活用によって、各国・各市場のファンに対してOne to Oneの関係性を築けるはずなのに、現在の放映権の販売方法はグローバルを単一市場とみなし、競合排他的に独占販売をしているため、市場の潜在的なファンに対して十分なリーチができていないとしています。
 従って、ライツホルダー(プロリーグやプロクラブ、国際大会主催者等)は、収益増大や価値創出に対する機会が制限されているため、新たな放映権販売方法を見直すように、アンドレア氏は話しています。
 具体的には、メディア映像配信チャネルを独占販売から、有料チャンネル(衛星放送やOTT等)やソーシャルメディアプラットフォーム、インフルエンサー活用やデジタルメディア活用、携帯電話会社等を活用して、その市場に合わせてよりカスタマイズした販売方法にすることを挙げています。

 上記を推進するために、ライツホルダーは、従来の広告代理店では業務上の要件が適わないから、PEとの株式を通じたパートナーシップを構築することを、アンドレア氏は推奨しています。
 理由としては、PEは、株式を保有するため、ライツホルダーと一緒にリスクを負うことができ、かつ、戦略的な専門知識やグローバル市場環境をよりより状況に導けるような価値のあるノウハウの提供ができること等が挙げられています。

スポーツビジネスのグローバル市場でのPEの動き

 直近の欧州では、ラグビーのPRO14に対して、CVC キャピタルパートナーズが投資したり、イタリアサッカーのSerie Aのメディア権利管理会社に対して、CVC Capital Partners や Advent International、 Bain Capital等が出資に名乗りを上げています。

 例えば、米国のNBAのイースタンカンファレンスのチームには、以下のようなPEやVCが関連しています。
・Milwaukee Bucks:Avenue Capital
・Tront Raptors:Killmer Capital Partners会長のLarry Tanenbaum
・Boston Celtics:Highland Capital Partners(VC)、Bain Capital
・Philadelphia 76ers:Apollo Global ManagemenやBlackstone

 一方で、日本はリーグ単位でも、チーム単位でもほとんど聞いたことがありません。一例ですが、NPBの定款では、外資企業の参入に制約がありますので(資本の49%未満であれば可)、株式を通じたパートナーシップ自体も難しいかもしれません。

 コロナ禍であるため、プロスポーツ市場の安定化等のためには大きな資金を要しますが、経済停滞の状況下ではスポンサー収益獲得の期待は薄いと想定されます。ですので、プロリーグ等はこれを機会に、所属チームに対して中長期的な資産の流動性を上げるルール設計をしてもよいかもしれません。

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