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【映画】地下水道 @ シネフィルWOWOW+

【地下水道】

監督:アンジェイ・ワイダ
脚本:イエジー・ステファン・スタヴィンスキ
音楽:ヤン・クレンツ
上映時間:96分

コブラ:タデウシュ・ヤンツァー
ディジー:テレサ・イジェフスカ

マドリ中尉:エミール・カレヴィッチ
ミハウ:ヴラデク・シェイバル
ゼフィル:ヤン・エングレルト

製作年度:1956年
製作国:ポーランド
原題:KANAL/THEY LOVED LIFE/ILS AIMAIENT LA VIE


2022/11/30

※ネタバレ注意※









 アンジェイ・ワイダ監督の【抵抗三部作】の2作目『地下水道』を『世代』に続いて観ました。

 一般的に、『世代』の方が評価も高いようですが、個人的には『地下水道』のほうが分かりやすく面白く感じました。

 時代背景は『世代』の時代と重なっているようですが、『世代』がレジスタンス側から描かれている作品としたら、『地下水道』はポーランド軍側から描かれた作品となっています。

 ドイツ軍の激しい攻撃により、ポーランド軍は遂に撤退を余儀なくされます。
 何とか味方の陣地まで逃れようと、部隊は地下水道に入るのですが、不衛生な悪臭漂う、いつ敵が現れるとも知れない地下水道で、一人また一人とバラバラになり、その先で力尽き気をふれさせていきます。

 地下水道での人間心理が絶妙で、閉鎖感のある迷路の中で出口を求めて彷徨い歩く恐怖は、音楽家のミハウが気をふれさせオカリナを吹きながら部隊を去っていくシーンで上手く描かれていると思いました。

 このミハウ、戦闘員では無いのに、意外に戦線をしぶとく生き残ります。
 ピアノを弾くシーンが印象的ですが、司令官から出されたリクエストがタンゴの“ラ・クンパルシータ”なのには驚きました。と言っても、ミハウは、リクエストを無視した演奏を繰り返しますが。

 また、出口を見付けて助かったと思った瞬間の絶望感が、色んなパターンで描かれていました。
 出口にドイツ軍がいる絶望、頑強な鉄の格子を発見する絶望、そして、手榴弾に吹き飛ばされる絶望。

 コブラは、負傷から熱に浮かされた体力も尽き果て、二人で幸せになる明日を夢見たディジーも、出口にはまった鉄格子に力尽きます。
 また、別の三人が手榴弾を外すすのにかける緊張は、足元との対比でハラハラドキドキの連続でした。

 アンジェイ・ワイダ監督の作品は、【抵抗三部作】の第3作目である『灰とダイヤモンド』が一番有名かもしれません。
 次作も心して鑑賞したいと思います。

★★★★☆

#映画 #映画好きな人と繋がりたい #名作映画 #地下水道