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筋肉のよろいがこころを守る

以前、心理学では
ストレスがあると認めないことを
「否認」というと書きましたが、
認めたくない感情やストレスが
身体症状となって現れることを
「身体化」といいます。

私たちは日常生活で
いろいろな体験をしていますが、
その一つ一つを気に留めて
意識的に考えたり、
話したりするわけではありません。
例えば、お風呂に入って気づく打ち身(青アザ)は
いつ打ったのか思い出せない、
でも内出血してるんだから
どこかにぶつけたに違いない。
よくあることです。

だから、
友人の何気ない一言や
バイト先で注意された事、
模擬授業で失敗してくすっと笑われた事、
その時は聞き流したけれど
実は心の奥にこっそり刺さっている。

もっと広い社会の事で言うと
コロナの大流行や隣国のミサイル発射など、
心配しだしたらキリがなく
直接今の自分に影響を与えない事は
意識に登らせないまま生活しているものです。

でもあるものはなくならないのですから、
時に様々な身体症状となって現れてしまいます。
いろんな症状がありますが、
不安や怒りは過剰な筋緊張となって現れやすく
長期に続くと慢性緊張(いわゆるコリ)になります。

競技をしていると何故かわからないけれど
調子が悪い、動きが悪い時は
何かを身体化した結果
動きに影響が出ているのかもしれません。

動作法をしていて、
いつもよりからだが硬くなったり、
痛がる学生さんには
〈何かあった?〉とたずねます。
「何もありません」と最初のころは言うので
〈筋肉はこころの鎧(よろい)だから
意識しないことはからだに現れるよ〉といいます。
動作法をして筋緊張が弛緩すると
「そういえば・・・」と思い出すことが
よくあります。

筋肉の鎧はこころを守ってくれていますが、
硬すぎると逆にこころが
自由に感じることができなくなり
視野が狭くなります。
硬い筋肉が可動域を狭くするのと同じですね。