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雲の裏地

久しぶりの高熱にうなされながら、部屋を彷徨い歩いていると、足が柔らかなものに当たりました。
もうろうとした頭で下を見ると、そこには心配そうな飼い猫の姿。

40度近い熱のせいで、猫が縦になってるのか私が横になっているのか、定かではありませんでしたが、いつもの癖でとりあえず抱きしめてミルクティー色の毛皮に鼻をうずめます。
匂いがしない。
「もはや、これまで」とベッドにダイブ・イン。眠れないまま朝を迎えました。


英語のことわざに「Every cloud has a silver lining.」というのがあります。
どんな雲にも銀の裏地がついている、どんな不幸な状況でも、なにかしら良い点はある、というような意味だそうです。
猫を踏んづけそうになった真夜中に、なぜかこのことわざが頭にふっと浮かびました。
数年ぶりにひどい風邪をひいて、心もとない気持ちで眠れもできず、いささか程度の良い半生のミイラみたいに天井を見上げてただ熱が下がるのを待っている。
そんな時に思いついたところで、半信半疑で眉をひそめるでしょうか?
あなたはいかがでしょうか。
「裏地がねぇ・・・・」なんてね。
ことわざというのは、ある意味、情けない状況に陥った自分や、よろしくない状況にいる自分に自分でエールを送るための言葉なのかもしれません。
銀の裏地がなんなのかなんて、あまり重要じゃないのかもしれません。


これを書いている今日は、おかげさまでミルクティーを飲みながら
「あら、ぬるいわね」なんて余裕の表情でおります。
膝の上には猫。匂いはまだしません。

ここまで読んでくださった方に心からの感謝を捧げます。
ありがとうございました。
風邪に気をつけて。
それではまた。


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