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英語ができればいいってもんじゃない【真の国際人になるために】

20歳を超えるまで海外経験がない私が、世界3カ国に駐在・留学して「苦労した本物の英語力」というテーマで書きたいと思います。

このテーマで書こうと思ったきっかけは、最近、妻や友人に英語を教える機会があり、英語ができるようになるためには、英単語や文法を超えた本物の英語力が大事だなあと、改めて実感しているからです。

そして、どうしたら、グローバル人材としての考え方(マインドセット)を言語化して、共有できるのだろうか?と考えて、このブログを書くことにしました。

幼少期から海外経験ゼロだった私も、英語ネイティブの人達とマネジメントというコミュニケーションが重要な仕事をするなかで、1番苦労したのは、英語力ではありませんでした

極端な例ですが、英語を流暢に話すことができ、「すごく綺麗でちゃんとしたことを言っている」のに、相手に全く響かないということがあります。英語は「コミュニケーション」のツールだと考えると、これでは全く意味がありません。私もこのタイプで、英語は話せるが、言っていることが深く入ってこない「薄っぺら」な英語に本当に悔しい思いをしました

この経験を踏まえて、本物のグローバル人材になるために、英語より大切な3つのことについて、書いていきます。

1.クリティカルシンキング

英語には空気を読むという感覚が日本語と比べて薄く、言語として発していないことは無だと理解されやすいため、分かりやすく言語化して伝える必要があります。

よくあるアドバイスに、日本人はもっと「自分なりの意見を持とう」というのがありますが、私は、多くの人が自分なりの意見は持っていると考えています。ただ、その意見のなかにある「本当に伝えたいこと」を見抜いて、ロジカルに説明するスキル(クリティカルシンキング)が足りていないケースが多いと思っています。

なぜなら、日本語は相手の発信する意図を汲み取る(空気を読む)ことが、美徳(人によって程度の差はあれ、欧米と比べると残っています)であり、古文や詩など、言語の伝統文化を考えてみると趣のある表現を大切にしたコミュニケーションが想像できます。海外と対比して想像してみると、例えばドイツでは人と意見を議論して、反対意見でも主張し合うことが、相手に対するリスペクトだと考えられていたり、私が留学していたフィンランドでは幼少期から、自分の考えをプレゼンする機会がたくさんあります。

このクリティカルシンキングがあると、意外と平易な英語で伝えたいことを表現できます。例えば、今日の夜、上司の予定が空いていたら、飲み会に誘おうと思っている時に、日本だと、

友人と私とで今晩飲みにいくけど、予定は空いてますか?
My friends and I are going to drink tonight. Are you available?

といった表現を使いがちですが、
私がオーストラリア人上司にこの通りに伝えたところ、表現がくどくて、ジャパニーズっぽい表現だと言われてしまいました。彼から言われたのが、

What are you doing tonight?(今晩何するの?)
Are you free tonight?(今晩、ひま?)

のようにストレートに表現するのが英語じゃ一般的だということでした。

日常的で簡単な例ですが、これがビジネスの現場でコミュニケーションをとる際に、無意識に婉曲的な表現を好んでいないか?そして、自分が最も伝えたいたった1つのことは何なのかを考えて、発言することが重要だと、考えています。

2.専門性があること

仕事やキャリアに対する価値観・文化の違いとして、海外では専門分野毎の採用が主であり、自分の専門性によって仕事をしていると言う感覚が、日本よりもずっと強いです。

日本には、総合職という職種があるように、営業からマーケティング、開発マネジメントというように、多種多様な経験や知見を持っている人材が重宝されていますが(徐々に変わりつつあると思います)、これは日本独特の就業文化です。

この違いによって、日本人が海外で働こうと思った時に、「あなたの専門性とスキルは何ですか?どういう実績がありますか?」という問いに対して、ストレートに答えることが難しい場合があります。

これは就職活動に限らず、社内で働くときも、相手がどういう専門分野で、どういう見地から発言しているのかというのを常に意識しながら働いています(日本でもありますが、海外の場合、より強い印象です)。そのため、自分の専門性の強さをアピールしないと、発言を信頼してもらうことができず仕事が進まないという状況にもなります。

私が海外赴任した当初は、本当にひどくて、私が言うことがあとから正しかったと分かった事でも、発言に聞く耳すら持ってもらえませんでした。数字で根拠を示したり、仕事以外での信頼関係を作ったり、発言権のある人とのリレーションを活かして仕事をしましたが、大変苦労しました。

逆に言えば、英語力がたどたどしくても、専門性にヒカルものを持っていれば、「あいつの話は聞いてみよう」という具合で、仕事がかなり進めやすくなります。

3.多様性を真の意味で理解すること

英語を話すという共通点はあっても、人によって考え方や価値観は大きく、異なります。関西出身の人と、関東出身の人とでは、話し方やテンポ、好むユーモアの形が異なる以上に、海外では、出身国や宗教、育った環境などに大きな幅があります。

そのため、英語を理解し、話をすることができたとしても、相手の考えていることが全然分からない(頭に入ってこない)ことがあります。

私は、フィリピン人・オーストラリア人・南アフリカ人・イギリス人の方と1つのチームで仕事をしましたが、全然考えていることが違って、英語は、理解できているつもりでも、何を言っているかサッパリ分からないという事が頻繁に起こりました。

私がオーストラリア人上司に口すっぱく言われたのは「分かったふりをするのではなく、分かるまで全力で聞け」ということでした。おそらく、日本人の人なら共感してもらえるかと思いますが、何度も同じことを説明してもらうのが気後れするとか、プライドがあって分からないと言えないことがあるのではないでしょうか。多様な考え方をもつ人達とはハナから分かり合えることは相当難しいということを認識した上で、対話を重ねていく事が重要です。

日本でも似たような環境で育った人とは話しやすいという経験があるかと思います。海外であっても、多様な価値観みたいなものに徐々に慣れてきて、コミュニケーションがスムーズになっていくと思います。

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ご紹介した3つの点は、本当の国際人になるために英語そのもの以上に大切な事だと考えています。どのようにしたら、このようなマインドセットやスキルが身につくのか?どうすれば、英語というツールを身につけるだけでなうく、海外で不自由なく生活したり、仕事で活躍するにはどうしたらいいか?と考えて、空いた時間で英語コーチングをやっています。

毎日10分で伝えたいことを英語にしてもらい、添削をするというシンプルなスタイルで、とにかく毎日、自分の頭で英語を考えて、アウトプットをする習慣づけ(本物の英語脳を養う)を大切にしています。

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微力ながら、これまでの経験や学びで貢献していきたいなと思っています。

参考になれば幸いです。

Photo at Budapest, Hungary



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