「助けて」が届かない世界で
少し前に読んだ本。
この本には2人のモデル患者さんが出てくる。わたしは特に1人目の男性のエピソードを、「うわー、あるわ。こういうの。めっちゃあるわ」と、しこたまうなずきながら読んでいた。
この男性は、ざっくり言うと、「なんで自分が心療内科になんか来なあかんねん」と思っている。さらに「カウンセリングなんか受けて意味あるんか。俺の悩みが解決すんのか。あーん?」ってなってる。
こういう人はめちゃ多いと思う。
わたしのまわりでも、「夫に心療内科に行ってほしいんですが、『俺はうつ病でもなんでもない、病院には行かん』って言われて行ってくれないんです。でももう明らかに食欲もないし覇気もないし、心配で……どうしたら夫が通院してくれますか?」みたいな悩みを抱えている女性がまぁまぁいる。
男性だからこそ、悩みや、弱いところを見せることに抵抗がある場合もあるし、この本のモデル患者さんみたいに、「話してどうなんねん」という、カウンセリングや心理療法にある種の諦めのようなものを感じていることもあるだろう。
わたしは臨床心理士さんに絶大な信頼をもっているので、カウンセリングにもっとみんなが気軽に通えたらいいのに、ということを願ってやまない。ただ薬を処方されるだけじゃなくて、専門家に話を聞いてもらうことって、やっぱりすごいのだ。
この本の帯に書かれている一文に、わたしはけっこう惹かれた。
だから買った。
「人を助ける人は、なぜ自分を助けられないのか」
わたしの脳裏には、1人の人が浮かんでいた。
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