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【卵アレルギー】完全除去だった子どもが、3年後にはスナックパンを1本完食したお話

お子さんが生まれて、離乳食が始まると、多くの親御さんが気になるのは

「うちの子、アレルギーはないかな?」
「これを食べさせた後にちょっと口のまわりが赤くなるなぁ」

といったようなお悩みです。

食物アレルギーのなかでも「卵アレルギー」は、食べられるものがかなり制限されて、ほんとに困りますよね。

子ども本人は、卵そのものをいやがることが多いので(もしかしたら、食べると口の中の感覚がおかしくなるのかもしれないですね)、もうそんなに無理して食べられるようにならなくても……という想いがある一方で、アナフィラキシーを起こしてしまうような重篤な場合は、命にかかわることのため、親御さんもなるべくその危険性を減らしてあげたいと考えます。

以下、広島県医師会HPより一部引用させていただきます↓

アナフィラキシーとは:
生体の中に抗原(アレルゲンと呼ぶ)が侵入すると、生体はその抗原に対して特異的な抗体(IgE抗体等)を産生し、再び同一の抗原が体内に入ると抗原抗体反応が起こり、それを除去しようとします。この抗原抗体反応は生体の防御反応の一種ですが、ときに生体にとって極めて有害な反応を引き起こします。この反応は防御反応(phylaxis)と反対の状態を意味する"ana"をつけてアナフィラキシー(anaphylaxis)と呼ばれています。また、アナフィラキシーのうち、血圧が下がってショック状態に陥ったものをアナフィラキシーショックといいます。
 アナフィラキシーの典型的な症状としてはじんま疹、紅斑、呼吸困難、めまい、腹痛、下痢、意識障害などがあげられます。皮膚症状はアナフィラキシーの最初の症状であることが多く、8~9割に生じるといわれています。

食物アレルギーは、基本的には口から食べ物が入ったときに反応が起こりますが、重度アレルギーの子は少しの量が皮膚についてしまっただけで症状が出ることもあります。

親としては、恐ろしい事このうえないですよね。

なんとかしてお子さんの命を守るため、皆さんほんとに毎日いろいろな情報を集めて、頭を悩ませていらっしゃいます。


以前、わたしの治療院に3歳の女の子が来られました。

その子は、0歳の時からかなり重度の食物アレルギーで、卵は完全除去でした。お医者様には「3歳ぐらいにはだいたいの子が治るから」と言われていて、お母さんもなんとか希望をもって過ごしていたようです。
幼い身体で何度も血液検査に耐えてもらいながら、次回こそは数値が下がりますようにと祈っていました。

※補足※
血液検査はあくまでもアレルギーの程度の目安のひとつであり、血液検査の結果が即、特定の食べ物の除去につながるものではありません。このあたりは、病院や医師の方針による差も大きいそうです。

しかしお母さんの希望とは裏腹に、血液検査のたびにIgEの数値は悪くなり、卵だけではなく、食べられないものがどんどん増えていきました。

そして3歳の検査でついに「卵だけはもうあきらめたほうがいいね。これ以上は良くならないよ」と言われたそうです。

お母さんは、その言葉に絶望しました。そして悩みました。
子ども本人も、卵には興味がなくて、食べられるようになんてならなくていいって言っていました。でも、お母さんはどうしてもあきらめられなくて、うちの治療院に来られた……という経緯です。


鍼灸は、アレルギー体質を改善させられる可能性があるんです。

アレルギー体質は身体全体のことなので、1回や2回ですぐに効果がでるものではないのですが、続けていくうちに、身体の調子がととのいやすくなります。そして、あらゆる不快な症状が軽減したり、皮膚がつよくなったりするんですね。

この女の子、アトピー性皮膚炎がありました。あと、たまに謎の蕁麻疹が出て、とにかく「皮膚がかゆい」ということは日常茶飯事。

アトピー性皮膚炎は、食物アレルギーの発症リスクの一つとなりえる要素です。なので、同時にアトピー性皮膚炎の治療も行いました。

小児はり(子ども用の刺さないはり)をつづけるうちに、便秘がちだったのが、気持ちよく出るようになって、みるみる皮膚がきれいになっていきました。食物や花粉などのアレルギーの数値はまだまだ高かったけど、皮膚がきれいになったことだけでも、生活は少しらくになっていました。

そして小児はりを続けて1年半ほどしたある日、生まれて初めて、経口負荷試験(病院での管理のもと、アレルゲンである卵を少しずつ食べるというけっこう親も子もつらい治療)で、卵を食べることができたんです。

食べられた量はほんのわずかだったけれど、これはほんとうに大きな一歩で、親御さんとわたしはメールで喜びあいました。お子さん本人はやっぱりいやがっていたけれど笑


そして今日、その親御さんから報告がきたんです。

「ギリギリ9g食べられるようになったので、卵加工品が少しだけ解除になりました」って。

あれから週に数回、卵の量を調節して、少しずつ少しずつ、食べる量を増やしてきたおふたり。ただでさえ精密な作業であるのに、まして乗り気じゃない子どもに食べさせるなんていう苦労がどれだけ大変なことなのか、わたしも親だから想像はつきます。

「以前はアナフィラキシーを起こしていたスナックパンも、先日、1本まるまる食べられたんです」
「ハムも、昔は1口食べただけで救急車に乗ってましたが、最近は半分ぐらい食べられるようになっています」

嬉しそうに教えてくださるその方を見て(LINEやけど)、わたしも本当に本当にうれしくて。

3歳で、「これ以上よくならないからあきらめて」って言われたけど、
6歳にはこんな嬉しい未来が待っていたんだって、誰が想像できたでしょうか。

あのとき、経口負荷試験をあきらめなくて本当によかったなって思います。

その女の子のがんばるモチベーションはね、
「ケーキたべたい!あと、マネケンのワッフルもたべたい」なんですって^^

今は2日に1回、卵白固ゆで卵を食べているそうです。食べるほうも、食べさせる方も、相変わらず大変だし、学校の給食なんかでも本当に気をつかうと思うんですが(机を他の子とは離したりとか)、少しずつ少しずつ、「食べられるよろこび」が増えていったらいいなって、心から思います。


わたしの友人の鍼灸師である、さきちゃんがこんなことをブログで書いていました。

体調が悪いとアレルギー反応が出やすくなります。おうちでの摂取をしていく上で体調を整えておくことはすっごく大事。暑くなってくると、汗による痒みも出てきやすくなります。症状が出てからケアするよりも先に出ないようにしていきたいですね!

彼女もまた、食物アレルギーのお子さんを育てているママです。日々、アレルギーと向き合っているからこそ、体調の変化とアレルギー反応の関係がわかるんですね。

小児はりや鍼灸を受ける意義というのはここにあると、わたしも強く思うんですよね。症状が出てしまったら、もうそれは命に関わるので、病院に行くしかない。

だけど、皮膚の不快な症状(かゆみや湿疹など)を予防したり、全体的な体調が悪くならないように小児はりでケアをしておくことが、大きなトラブルを防ぐことにつながるのです。


東洋医学は、人間の身体の調子をととのえ、病気を予防する医学です。
これからも、鍼灸や小児はりを使って、たくさんの人に寄り添っていきたいです(*^^*)



いただいたサポートは、子どもたちのために遣わせていただきます😊いつもありがとうございます!