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鹿児島での偶然の出会い

今日は偶然乗ったタクシーでのエピソードを書きます。

2020年の12月31日、私は鹿児島にいた。12月31日の昼頃の船便で屋久島を出て夕方4時頃に鹿児島に着いた。屋久島を出るのが1日遅れたことにより、この日は当初の予定を変更して(飛行機の予約を1日遅らせて)鹿児島に1泊宿を取っていた。

日没まではまだ少し時間がある。少し迷って、仙巌園(せんがんえん)に行くことにした。仙巌園は薩摩藩主だった島津家の大名庭園。今も現存していて観光名所になっている。

仙巌園からは桜島が良く見える


港から仙巌園までは少し距離がある。バスで行こうとしたが、ちょうどいいのがなかったので、タクシーに乗ることにした。普段はあまり乗らないけれど、閉園までの時間が限られていたので乗ることにした。

デパートのようなところの前に止まっていたタクシーに乗った。このタクシーの運転手の方が、今回の話のキーパーソンである。


仙厳園。水のある庭が綺麗。

仙厳園までは車で15分ほどの距離。乗ってすぐに運転手の方から、どこから来たのか、何しに鹿児島に来たのか、普段何しているのかなど質問され、屋久島を旅していたこと、普段は会社員で写真を撮って個展もしていることなど、ひとつひとつ答えていた。

話の流れの中で写真の話題に関心を持ってくれていた。(たしか写真を自分でも少し撮っていたと言っていたような気がする)。最近は毎年カレンダーを作って個人的に販売していることも伝えた。

そうしたら、「私買います」とその場で言ってくれた。まだ出会って10分も経っていない。ものすごくビックリしたと同時に心から嬉しかった。運転中だから、もちろん写真も見せていない。何も見ないで買います、と言ってくれた。

僕との会話から何かを感じ取ってくれたのだろうか。縁を感じてくれたのだろうか。いずれにせよ本当に嬉しかった。

その時、手元にはカレンダーを持っていなかったから、住所と名前を聞いて、後日郵送で送ることにした。私の名前も連絡先も伝えていないけれど、先にお金を渡してくれた。

「いいんですか?」と聞いたら、「信頼していますから」と答えてくれた。その時点では、僕がカレンダーを絶対に送るという保証はなかったと思うけれど、それでもその方(郷さん)は僕を信じてくれた。

わずか10~15分の出来事。ほどなく仙厳園に着いて郷さんとは別れた。もちろん、後日帰宅してから手紙とともにカレンダーを郵送した。

見ず知らずの私のことを信頼してくれたことがまず本当に嬉しかった。そして、カレンダーをその場で買うと言ってくれたことも非常に嬉しかった。

2020年を締めくくる心がほっとするような、自然に嬉しくなるような出来事だった。前の文章にも書いたけれど、天候が荒れて屋久島を出るのが遅くならなければ、この時の出会いもなかった。(本当はこの日埼玉に帰っている予定だった)

不思議なタイミングの巡りあわせに何か運命めいたものを感じる、そんな出会いだった。結局、タクシーに乗ったけれど、逆にカレンダー代をもらたから、お金としてはプラスになった。

旅をしているとたまに起きる不思議な出会い。いつか記事にしようと思いながら、なかなか書けなかったもの。2年越しに実現しました。この記事を書いていて、郷さんの住所がまだ手元にあれば、今年のカレンダーいくつか余っているので送ってみようかなと思いました。

読んでいただきありがとうございました。


(完)

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